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閃光少女

朝の散歩。


イヤホンから東京事変の「閃光少女」が流れる。


”今日 現在(いま)が 確かなら万事快調よ
 明日には 全く覚えて居なくたっていいの

 昨日の予想が 感度を奪うわ
 先回りしないで”


確かにそうだ。


昔、といっても
小学校中学年のころ、
「予定」に憧れていた。


子どもにはなくて大人にはあるもの、
それが「予定」だ。


明日がすでに決まっていている人が
かっこよく見えた。


だから、
中学生、高校生と「予定」だらけになっていく日々は
自分が大人になれたようで嬉しかった。


でも、こうして大学生になり
「予定」の数は減った。


いま、僕の生活はつまらないのか。
いや、違う。


僕は、
今、ものすごく充実していると感じる。


僕は、
明日のことを微塵も考えずに今日を生きている。


昨日もそうだ。


一昨日も、その前も
毎日、その日のことだけを考えている。


もちろん、スケジュールはしっかり管理している。


でも、意識的に
「明日が今日を侵食」してこないようにしている。


なぜなら、その方が幸せだと気づいたから。


「予定」が急増した高校1年の梅雨の時期、
夢を見た。


翌日の夢だった。


朝起きて、
授業を受け、
寝る。


そこまでが、
正確に再現された夢を見た。


実際に、翌日はその通りに動いた。


でも、正夢 ではない。


だって、翌日の出来事を
「予言」したのではないのだから。


これは、ただの「予定」なのだ。


毎日同じ時間の電車に乗り
毎日同じような朝食を食べ
毎日同じ時間に授業が始まり
毎日同じ場所で昼食を食べ
毎日同じ人と帰り
毎日同じ時間に寝る。


だから、
ちっとも予言ではない。


寝ている僕の脳でもできる
「予定」の再生だ。


でも、この夢を見た翌日は
ものすごくつまらなかった。


今までの人生で、
一番つまらなかった。


地獄だった。


そんなものを夢にまで見てしまう自分と、
その生活に嫌気がさした。


だから、
今日は今日のことだけを考えるようにしている。


そして、それができている
大学生活というのは
僕にとっては非常に有意義だ。


おそらく、
社会人になると
そうは言ってられない日々になるだろう。


それでも、
僕はしっかりと今日のことだけを考えて
いまを生きたい


朝からそんな暑苦しいことを思ってしまった。


日が昇っていく。










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