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競技MTG同人誌のつくりかた

おつりか!
バーチャルメイドデュエリストの曳山まつりかです。
普段はMTGを競技的に楽しんでおりMTGアリーナやMagic Onlineをプレイしたり、弟をテーブルトップの予選に参加させたりしています。


まもなく2023年も終わりです。
それはつまり、第103回コミックマーケット(C103)も目前に迫っているということです。
MTGとコミックマーケットに何の関係があるのかと思う方もいるでしょう。

もちろん基本的には何も関係ありません。
しかし、来る12月30日のC103ではボクのサークル「バーチャルコロシアム」から競技MTGに特化した同人誌「Omni-thopter 2023 winter」が発行されるのです。

通販予約はこちらから

今年の世界選手権で準優勝を果たしたテルテルさん(小坂和音さん)をはじめ元プロリーグメンバー公式実況キャスターまで、ボクも含めて10名のライターがこの一冊に集いました。


テーマは「競技MTGの夢と希望と現実と

とても面白い内容になったと思うのでぜひ読んでください。

通販予約は12月28日中までにご予約頂ければ(できるだけ)年内発送いたします!
お正月はこたつとみかん、そしてOmni-thopterできまりです。





というわけで新刊の紹介と宣伝を兼ねながら
MTGプレイヤーに向けて
同人誌制作をお勧めしていくのが今回の記事です。


なぜお勧めするのか?
それは、MTGの同人誌がもっと増えて欲しいからです。
完全なるボクのエゴです。
楽しいMTGの同人誌はいくらでも読みたいものです。


何より界隈が盛り上がってくれればボクの本も読んでくれる人が増えますからね…!そういった邪な思いを元に筆を取りました。

……ボクの本は何人もの協力によって成り立っています。
せっかく書いていただいた記事を可能な限り多くの方へ届けようとするのがサークル主宰の義務だと思っています。

このnoteを読んでいるのも何かの縁、最後までお付き合いくださると嬉しいです。


1.同人誌って何?


今回の新刊です

そもそも同人誌の存在を知らない、聞いたことはあるけどよくわかっていないという方もいるでしょう。

最大の同人誌即売会である「コミケ」はニュースでも取り上げられることが多いので名前は聞いたことがあるかと思います。

同人誌については色々な定義があるかと思いますが…
簡単に言えば「自主発行の本」です。

自分で漫画や文章などの本の中身を書き(表現)、それを本の形にし(製本)、読み手に自ら届ける(頒布)……。

これらを主体的に行うのが同人誌づくりだとボクは考えています。

自費出版に近いですが、出版社が多くの部分で介在する部分を自らの手弁当で行う点で少し違います。

手間は大変にかかりますが、その分かかる費用は実費だけですし何より自由度が高いです。

手間暇かけて出来上がった同人誌はまるで我が子のよう

そして、それが誰かに読まれ感想を述べてもらえること。
これは何よりの快感です。それまでの苦労も吹き飛びます。
承認欲求が満たされること間違いありません。


本にする……というのは中々大変ではありますが、難しいことではありません。

MTGプレイヤーならきっと作り上げることができるでしょう。
そう、今まさにご覧になっているnoteや、古くはDiarynoteで記事を書くことと大きく変わりません。

自分が生み出したコンテンツが実体を持って本になる。
これだけでも中々クセになりますよ。


2.コミケに申し込もう!


さて、同人誌に興味が湧いてきましたでしょうか?湧いてください。
とりあえずちょっとでも興味が湧いたらコミックマーケットに申し込みましょう。

え、中身が何も決まってないから申し込めない?
いえいえこれでいいのです。順序が逆なんです

コミケに申し込んでから何を作るか決めましょう
ここまで読んで興味が湧いたということ何か表現したいことがあるはずです。なので申し込みましょう。
申し込めばあら不思議、当日にはなぜか本ができています。
そう。できていなければならないのです。
コミケに申し込んで、そして当選した時点でもはや本を作らなければいけなくなっているのです。あとは締切に任せましょう。

中身に悩んだところでいずれ時間が決めてくれるのです。
締切だけが本を作るためのホンモノの原動力となってくれます。
なのでまずはコミケに申し込むべきです。

とはいえこれはボクの場合であって、きちんと自らの意志の力を持って発行にこぎ着ける人もいるでしょう。

ヴィンテージ界の影のフィクサーと呼ばれる添削さんによるOld School環境の同人誌です。こちらはコミケでは発行されていません。
そうです。強い意志の力を持ち得る人なら必ずしもコミケを介す必要はないのです。


とはいえ同人誌を作るならコミケはお勧めの場所です。

MTGプレイヤーにはあまり縁がなさそうな場所とはいえ、毎回20程度はMTG関連のサークルがあります。
カードゲーム関連なら何倍もの数がいますし、ボードゲームやTRPGなど所謂ゲーム(非電源)ジャンルには非常に多くのサークルがあります。

そういったものが好きな方には純粋に堪らない場所であるはずです。
一度、一般参加で買う側として訪れてみるのもよいでしょう。そこで琴線に触れればきっと向いているはずです。
そして同じような趣味の人がきっとあなたの作った本に出会えば手に取ってくれるかもしれません。

正直、MTGに絞ると同人誌を頒布するリアルな場所としてはコミケ以外にはほとんどないというが実情です。
最近は文学フリマなどもあるそうですが…(ご存知の方がいたら教えてください)。

いつかMTG同人誌界隈が盛り上がってオンリーイベントが開催されたら嬉しいですね。

今からC103へのサークル参加は難しいですが、次の夏コミ(C104)はまだまだ間に合います。さあ申し込みましょう!
申込手続きはロータスコンボぐらい複雑ですが頑張って!




3.中身をつくる


コミケに申し込みましたか?申し込みましたね?コミケに申し込まないと本は完成しませんよ。とりあえず申し込みましょう。申し込みました。

では当選しましたか?
当選しましたね?
おめでとうございます!(肌感ですが非電源ゲームは比較的当選しやすいと思います)




次は中身づくりです。

とはいってもどんな風につくりましょう、とアドバイスするのは中々難しいです。

ボク自身、どんな本を作るか毎回悩みます。

悩んだ結果おおむね最終的には「書きたいこと」や「読みたいこと」をテーマにすることが多いです。

今回の新刊はまさにそうで、競技MTGにまつわる「お金」に関することを書きたく、また読みたかったのです。
今年は成績が振るわず、賞金はあまり獲得できない一方費用が嵩むばかり。
そんな自分の消耗した状況を吐露したい部分と、では他の人たちはどうなのかいう素朴な疑問。
ボク自身が競技MTGにポジティブに向き合うために自らを吐き出すための記事を書き、多くのライターさんの記事によって鼓舞してもらう。

良くも悪くも同人誌。本を作るのは自分のためです。
ライターさんも読者の皆さまも、ボクのエゴに付き合ってくださりありがとうございます…….。


ともあれ、まずは何かやりたいことや伝えたいことを探すのが良いのかなと思います。
申し込んだということはきっと何かあるはずです。

それを見つけてら形にしていくのです。

文字でもでも漫画でも…。
何も本に限る必要はありません。
ダイスやマーカー、スリーブやプレイマットなどのサプライを作るサークルもたくさん存在します。

きっと自分の魂にあった表現の形があると思います。

もし何か指針が欲しいと思った場合には

新刊のOmni-thopter 2023 winterに掲載されている茂里さんの記事を読みましょう。
MTGのプロのひとつの姿としてコンテンツクリエイターが提示されています。
プロに限らず、クリエイターとして何を発信しどう表現するのが良いのか。その指針を見つけるヒントになるはずです。
(このnoteの目的は新刊の宣伝です)


4.本にする


さて、中身ができたら本にしましょう。
できたら、と申し上げましたが本にするには印刷という物理的な制約を受けるので中身を作りながら本をどう作るかも一緒に考えると良いでしょう。
(作ってから印刷所を探すとスケジュールが大変なのことになります)

本にする、といっても立派なものを想像する必要はありません。
「ウスイ本」とよく呼ばれるように同人誌は16〜32P程度の厚さのものが多いです。
ボクの本は回を重ねるごとに肥大化し、今回は120Pの大ボリュームになってしまいましたが一番最初に発行した「Omni-thopter」の冊子版は20Pでした。

極論、1枚の紙を折れば4ページの「本」です。
それを2枚重ねてホチキスで留めれば8ページ。
4枚重ねれば16ページです。

とは言え印刷所で印刷する人が一番多いでしょう。

一般的な印刷会社の他に同人誌専門の印刷所があります。
ねこのしっぽさん、栄光さん、緑陽社さん、サングループさん、などなど…。
たくさん業者さんがいて目が回りそうなほどです。
どこにすればいいのか分かりませんよね。ボクも分かりません
千差万別だからです。

綺麗な印刷のところ、
安いところ、
納品が早いところ、
一風変わったことができるところ、
親身に相談に乗ってくれるところ、

色々あります。
ひとつ参考になるとすれば、気に入った同人誌の奥付けを見てみましょう
どこの印刷会社でつくられたものなのか明記されているはずです。

ちなみにボクはグラフィックさんを多用しています。
ここは正確には一般的な印刷通販の大手で同人誌専門ではありません。
(同人専門メニューもありますが一般メニューから発注しています)


何故グラフィックさんを使うかというと

・印刷の品質がオンデマンドでも比較的安定している
・早割という概念がない
・土日も営業日換算
・比較的細かい仕様でも自動見積もりができる
・入稿が楽
・紙の種類が豊富でサンプル帳がある

といった点から選んでいます。
ボクは要素からグラフィックさんを選んでいますが、上記の要素にピンと来ない方もいるでしょう。

自分の作りたいものと、印刷所さんが得意なこと、それがマッチするところにお願いするのが理想です。
中々大変だとは思いますが根気よく探してみましょう。


5.頒布する


とうとう印刷が完了しました!
満を持して頒布します。
何度も申し上げているように自分で作った本が人の手に渡るというのは、他には代え難い喜びがあります。

さて、この頒布という行為。
ものすごく難しいです。

まず、何部印刷するべきなのか
いくらで頒布するべきなのか
どこで頒布するべきなのか
全然売れなかったらどうしよう
ちゃんと楽しんでもらえるだろうか
在庫が山になってしまったらどうしよう
ひどい感想を言われて苦しくならないか
そもそも感想をもらえなくて悲しくならないか

ちょっと書き出しただけで不安になることが山ほど出てきます
部数やチャネルの話はひとまず置いておくとして、
基本的に不安の正体はかけたリソースに対してのリターンがちゃんとあるかどうかです。


趣味とはいえ心血注いだものは何かしらの評価を得たいものです。
評価を得たいからこそ即売会で本を出し、衆目に晒すわけです。

よほど同人に慣れた人でもきっと毎回不安はあるんだろうと思います。
ボクは常にこんな事ばかり考えて不安を抱えています。
しかもそれは本番が近づくにつれ日毎に増していくのです。

こんな思いまでしてなんで本を出しているんだろうと自問することもあります。

ハタからみれば同人誌づくりが狂気の産物だと呼ばれるのは頷くばかりです。


あれ?なんでボクは同人誌を作ってるんですかね…….?


書いている今この瞬間にもわからなくなってしまうほどです。

どうしてそれでも作っているのか。

やはりこれも何度も言うように代え難い喜びがあるからです。
こればっかりは実際に本を作って頒布するまで伝わらないかもしれません。

しかしMTGプレイヤーなら、特に競技にのめりこんでいる方は近い感覚を知っているはずです。

何度負けようとも打席に立ち続けた先にある勝利の瞬間を。
大きな大会も小さな大会も、勝者はひと握りです。

趣味というには、いや趣味だからこそでしょうか。
こんなに厳しいゲームに虜にされるというのは。

競技MTGという狂気のゲームの魅力に取り憑かれた人は、きっと同人誌づくりに向いていると思います。

だからこそ、この記事で仲間に引きずり込もうしているのです。



さて、実践的な頒布についてです。
チャネルについてはコミケ以外もあることを覚えておきましょう。
コミケは頒布場所としても交流の場所としても、締切の装置としても非常に有用ですが一点問題があります。

それは「MTGプレイヤーがあまりいない」です。
あまりにも身も蓋もないと自分でも思いました。
居たとして、基本は他の本が目当てで「MTGの本」を目当てに来ている人の絶対数はそこまで多くないでしょう。
ブルーアーカイブの本を求めている人のがずっと多いです。

MTGプレイヤーがコミケにあまり来ない以上、読んでもらうにはコミケ以外の導線も必要です
それは委託であったり、通販であったり…。
それこそ同人文化の原点に回帰して手渡しなどでも良いでしょう。

ボクの場合、主にBoothという同人通販サービスを使っています。

Boothは商品管理がしやすく、何より手数料が安いです(50円+5.6%)。

最初期に比べれば手数料は上昇したのですがそれでも他所に比べれば安いです。
さらにPixiv運営ということで同人界隈ではアカウントを持っている人が多いので購入までのハードルが少ないです。(MTG界隈ではあんまり持っている人がいませんが…)


他にはピコ通販というサービスもおすすめです。

手数料面ではほぼサークル側に負担がないのが低リスクで取りかかりやすいと思います。
正直もっと早く知りたかったです…..。

ボクが存在を知った時点ではBoothを使い始めて時間が経っており、すでに多くのフォロワーさんがいることや管理するためのデータが蓄積されていたので移動して失うもののが多くなっていました。
今から始めるならピコ通販を利用することでしょう。


ボクの実体験として通販は非常に重要なチャネルです。
お盆と年末に東京へ本を買いに来ることができる人というのは限られています。
わざわざ足を運んで頂いて恐縮するばかりです。本当にありがとうございます。

そしてそれは通販や電子で購入してくれる方も同じです。
現地で買うよりも送料や梱包費用の分割高ですし、到着までお待たせすることになります。
アカウントを作ったり決済も手間です。お手を煩わせてすみません。
何より頒布日よりも前に売れたことが分かるのは非常に安心するのです。
印刷する前であれば部数の参考にもなります。

いくら趣味とはいえ、ボクの場合は大きな赤字を作ってしまっては継続が困難になってしまいます。この場を借りて感謝を申し上げます。




通販サービスの紹介をしましたが、ボクの望みとしてはこの記事や、ボク自身が活動し続けることでコミケに「MTGの本」や「カードゲームの本」を買いに来る人が増えると嬉しいと思っています。

最初に述べたようにもしもそうなればボクの本も見てもらえる可能性が増えるという下心もあります。でも、それは他のサークルさんも同じです。

つまり……。
新たに同人活動を始めようと、これを読んでいるあなたのサークルも、です。

ぜひ界隈を盛り上げていきましょう!


6.さいごに


というわけでいかがでしたでしょうか。
このnoteを書くにあたり新刊の宣伝をすることが目的と述べましたが、実はもうひとつきっかけがありました。
夏コミ(C102)でMTG島のサークルさんとご挨拶した際に、なんとボクの本を参考にして作られたと仰ってくださった方がいたのです。それも複数。

おこがましいとは思いますが自分が多少なり活動することでコミケのMTG島に貢献できているのであればとても嬉しいことだと思ったのです。

このnoteがその一助になれば嬉しいです。



最後にMTG島で今回ボクが気になっているサークルさんを勝手に紹介します。

土曜日 ホ-12a くじからPromotions さん


土曜日 ホ-11a 鱗親和学会 さん


土曜日 ホ-05b 檜山商店 さん


土曜日 ホ-02b 空想魔導 さん


土曜日 ホ-11b 点数で見たマナ・コスト さん

ここは特に楽しみにしているサークルさんです。

どんな本かは既刊がBoothにあるのでぜひ買ってみてください



補足:コミケの入場方法

少し前まではコロナ対策のためチケットの事前購入が必要でしたが、前回より当日現地でリストバンドを購入して入場できるようになりました!
師走ではありますがとても楽しい場所なのでMTG本を目当てにコミケにいきましょう。


それではまたお会いいたしましょう。
おつりか!



追記:


ここまで書いて、肝心のボクのサークルのお品書きを書くのを忘れていました。
ぜひ土曜日 ホ-30a 「バーチャルコロシアムにお越しください!

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