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利上げと銀行業の関係

日銀が3月19日にマイナス金利政策を解除しました。政策金利を引き上げるのは17年ぶりで、金利がマイナスの世界から金利のある正常な環境への回帰が期待されています。

そこで期待されるのが銀行株ですが、日経を読んでいると良い記事があったので、備忘録的に残しておきたいと思います。

"金融機関は預金や短期金融市場で調達した短期の資金を、住宅ローンや企業向け融資などの長期運用に回す満期変換から主たる収益を得ている。長短金利差が収益の重要な源泉となる銀行株への買いも続く"

出所:日経平均364円高 「脱デフレトレード」で不動産株急騰:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2728C0X20C24A3000000/

短い文で端的に銀行業の本質を説明している良い記事だと思います。ここにある通り、銀行業の本質は短期調達・長期運用の満期変換にあります。イールドカーブ・コントロールが解除されて長期金利が上がれば、長期運用の銀行の収益が上向くことが期待されます。保有国債の価格が下落して損失を被る可能性もありますが、銀行は長い低金利環境を経て、日本国債の保有を減らしているので、金利が上昇すれば国債保有を増やすかもしれません。

米国ではパンデミック後の供給制約からインフレ率が高くなり、それを抑えるために急速な利上げをしたので、米国債を保有していた米銀は多大な含み損を抱えることになりました。保有国債を売るに売れない米銀は金利の上がった米国債に乗り換えていくことが難しく、預金金利も引き上げも進んでいません。結果として短期運用をしていて利回りが有利になったMMFへ預金が流出するという事態が起きてしまいました。

日本では米国のような深刻なインフレも連続利上げも予想されていないことから、金融環境の変化も緩やかなものになることが想定されそうです。

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