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検査の基礎知識(ねじ篇)

みなさんこんにちは♪
HILLTOPの検査室で勤務しているTです🧚‍♀️
 
以前投稿したコラム、『ねじの仕組み・注意点』でも触れたように、ねじ(ボルト)は奥深いものです。
ねじ検査もこれまた、奥深いものとなります。
今回は

・検査ビギナーの方
・検査担当ではないけど、ものづくりに携わっている方

向けに、ねじ検査についてお話ししたいと思います🧚‍♀️

■メートルねじ用限界ゲージ について

図面でM5やM6と表記されているような一般的なねじ穴の検査は、
『メートルねじ用限界ゲージ』を使用します。

◎めねじ検査の場合
→ねじプラグゲージを使用

ねじプラグゲージ

◎おねじ検査の場合
→ねじリングゲージを使用

ねじリングゲージ

ねじはとても複雑な形状で出来ているので、
『有効径』『ピッチ』『山の角度』『山の径』『谷の径』など、
測定しないといけない箇所がたくさんあります。
でも、ねじゲージを使うと誰でも簡単に、短時間で正確な合否判定ができます。
検査室では、なくてはならない検査器具のひとつです!

□使い方

限界ゲージは通り側と止まり側の2種類が対となっているので、
通り側が有効深さまで入り、止まり側が2回転を超えてねじ込まれなければ、検査合格です。
力を込めて、グイグイとねじ込むのは厳禁です。
現行JIS(ISO)と旧JISでは、止まり側のみ検査基準が微妙に違います。

◎現行JIS
→2回転を超えてねじ込まれなければ、合格

◎旧JIS
→2回転以上ねじ込まれなければ、合格

なので、ちょうど2回転までなら、現行JIS(ISO)なら合格。
旧JISなら不合格となります。

■管用(くだよう)ねじ について

管用ねじとは、主に配管の接合の用途で使用されるねじです。

・耐密性が求められる水道管やガス管など、
 液体や気体などが通る管を結合する管用テーパねじ

・配線ケーブルなどが通る管のような、
 耐密性が求められない機械部品の結合に使用される管用平行ねじ

の2種類があります。
管用テーパねじは、テーパの名前通り先がだんだん細くなっていく形状をしています。

そして、管用ねじの名称をまとめたのが下の図です。

「管用平行めねじ」が2つ…!?

パッとみて「管用平行めねじが2つある!?」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。しかしこの2つは全くの別物です。

①管用平行めねじ(Rp, PS)

管用テーパおねじ(R, PT)と組み合わされる、管用平行めねじ。
管用テーパおねじと組み合わせることで、おねじとめねじがしっかり密着するため、耐密性が求められる箇所に使用されます。

②管用平行めねじ(G, PF)

管用平行おねじ(G, PF)と組み合わされる、管用平行めねじ。
前述した『M5』『M6』で表記されるメートルねじと同じく、ストレート形状となります。
管用テーパおねじ(R,PT)とは組み合わせることはありません。

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このように、使用する際の組み合わせが違うのですね。

■管用ねじゲージ について

図面でRc、PT…などで表記される管用ねじの検査は、『管用ねじゲージ』を使用します。
 

□管用ねじゲージの種類

『ANSI規格(アメリカ規格)』を追加した表を参考に見ていきましょう。

🍔

■突然ですが、ここでクイズです!

Q:なぜ、管用ねじゲージだけこんなに沢山の種類があるのでしょうか??

チッチッチッチッチ…チーン!! ⏰

A:実はそんなに種類はありません(えっ!?どっち!?)

実際のところは

①JIS規格に準じた管用ねじ
②ANSI規格(アメリカ規格)に準じた管用ねじ

この2種類だけなのです。
その中でさらに、

・旧JIS規格に基づいたもの
・現行JISに基づいたもの
・おねじとめねじで表記が違うもの

があるため、数が多く見えるのですね。

①管用テーパねじプラグゲージ

こちらのゲージは、切欠きがあるタイプのものになります。
メートルねじ用限界ゲージのように、
『通り側』『止まり側』はありません。

ねじ記号によって切欠きの段数が異なります。
 
◎PT用→切欠きが1段

使用感が…(汗)

◎Rc用→切欠きが2段

◎NPT用🗽🍔→切欠きが3段

 □検査方法

Rc 1/4 の検査の様子

どのゲージも、ねじ込んだ際に

・『最大限界位置(ハンドルに近いほうの切欠き)』と
 『最小限界位置(先端に近いほうの切欠き)』の間に、
 検査する部品の端面がある

状態であれば、検査合格です。
 

②管用平行ねじプラグゲージ(G,PF)

メートルねじ用限界ゲージと同じく、『通り側』『止まり側』があります。
検査方法もメートルねじ用限界ゲージと同じです。

③管用平行ねじプラグゲージ(Rp, PS)

実は、『Rp』『PS』を検査する『管用平行ねじプラグゲージ』は存在しません!
じゃあどうやって検査を行うのかというと、
『管用テーパねじプラグゲージ』の『R』『PT』で行います。

『Rp』『PS』のめねじ製品と接合されるのはテーパおねじなので、
実際の使用環境と同じ方法で検査するということは、
当然といえば当然ですよね。
 

■最後に…

ねじ検査ひとつにしても、

「どの検査器具を使用するのか」
「どうやって検査するのか」

などなど、人の手も時間もかかるものとなります。 

「製品が出来上がれば、ものづくりは終わり!」

と思われがちですが、出来上がったあとの検査は必ず必要なものであり、検査工程も、ものづくりの大事なプロセスです!
 
そのことを胸に日々検査に励みますので、またこのコラムにてお会いできるのを楽しみにしています😌🎶

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