2015.10.18 横浜吟行 四句

秋うらら白い洋犬ばかり見る

甘栗屋はどこも暇そう中華街

手相見のリュックはコーチ秋の風

秋晴や赤くない中華街門

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 作句はからっきしだめで、ビリにはならなかったがここに記録するのをためらうほど冴えなかった。締め切り時間がきてもまったく出来ておらず、投句用の短冊に上五中七、まで書いて、あと五音……あああもうだめだこれで、と書いて出したような句もある。当日は、前日の冬のような雨から一転、夏が戻ったような陽気で、横浜のそれぞれの景色が写真で見るようにキラキラと美しく、俳味が感じとれなかった気がしないでもないというのが苦しい言い訳である。歳時記をいくらめくっても「秋晴れ」「秋空」「秋うらら」などと賢くなさそうな時候ぐらいしか体感的に使う気になれず困った。

 中華街も歩き、俳句のネタになるかも、と人生で初めてお金を払って手相占いをやってみた。手相に限らず、占いにお金を払うことじたい人生で初めてかもしれない(おみくじは大好きなのでよく引く)。手相は1回1,075円だった。税抜き955円で、「千円払うと"御縁が得られる"」と言いたいらしいのだが、消費税80円をきっちりとり、サービスとして五円玉を返してくれるシステムであった。

 1,075円払い、手のひらや指の関節、手の組み方などを見せて言われた自分の性格は、この33年間、テレビや雑誌やネットで見かけた星占いや血液型占い、動物占いや心理テストなどあらゆる性格診断的なあそびで言われてきたこととほとんど同じで、新たな自分発見はなかったものの、それら占いの一貫性に感動した。星の位置だろうが手の皺だろうがお金が発生しようがしまいが、わたしの情報はわたしに指向しているのだ。

 母親ぐらいの年ごろの占い師は「人に支えられる」「先祖に守られている」とやたらに言ってくれた。運と縁に恵まれているらしい。それは占われずとも実感している。

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