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【読書感想文】空力の鬼才、エイドリアン・ニューウェイの半生を語る【おすすめ本】

皆さんごきげんよう。暇人33号です。

筆者は4年前からF1を再び観戦し始めています。個人的に見所が多くてとても楽しいスポーツですね。非常に奥が深い。

それからというもの、特に雨の日に通勤したりドライブする時には、高湿度の条件下で可視化された、車の気流進路がどのようなものなのかを観察するのが日課となりました。

何故流体力学の専門家でもない私が、ニワカ流体力学者ごっこに勤しんでいるのかと言うと、わけがあります。

それは今回お話するF1界きっての空力の鬼才、エイドリアン・ニューウェイ氏の著書がきっかけなのでした。

筆者の読書感想文第二回目は、エイドリアン・ニューウェイ著の「HOW TO BUILD A CAR」をお送りしたいと思います。

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エイドリアン・ニューウェイとはどのような人物なのか

著書に触れる前に、簡単に著者がどういう人物なのかをご紹介します。F1ファンなら知らない人はいないでしょうから、蛇足になるかもしれません。しかしF1にそれほど興味が無い人にも、コレをきっかけにF1に興味を持ってくれたら嬉しいなという思いがあるので、敢えて書いて行きます。

生い立ち(空力デザイナーに至るまで)

エイドリアン・ニューウェイ氏は1958年12月26日に、イングランド中部ストラトフォード・アポン・エイヴォンで生まれました。獣医師の父はキットカーを自ら組み立てるほどの車好きで、幼少期のニューウェイに大きな影響を与えます。14歳の頃には既に中古のカートを入手して、溶接なども自ら行うほどでした。

しかし、学業面では劣等生(はみ出しものという奴です)で、名門の寄宿校レプトン・スクールでは、問題行動が多く放校処分となるほどでした。

マーチやブラバムなどの、当時の名門レーシングチームが実際に風洞を使用しており、うまく取り入れるチャンスがあるかもしれない、という理由で、サウサンプトン大学の航空宇宙工学科を専攻します。卒業研究のテーマに「グラウンド・エフェクト空気力学のスポーツカーへの応用」を選び、論文を作成します。この研究が評価され、一等優等学位を授与されます。1980年、卒業。

また、在学中に、「ざっと1ダースほどの」F1・F2チームや自動車メーカーに就職を希望する旨の手紙を送りまくります。しかし、ほとんどのチームから良い返事をもらえることはありませんでした。そんなある時に、ロータスのロードカー部門からオファーが来ます。当時のニューウェイにとって、選べる中で最良の仕事で、オファーを受ける返事をしようとしていた時に、電話が鳴りました。

電話主は、フィッティパルディ・オートモーティブのテクニカルディレクター、ハーヴェイ・ポスルスウェイト氏でした。彼はニューウェイの卒業論文の抜粋を読んで気に入ってくれたのです。その翌日(または翌々日)にフィッティパルディ・オートモーティブ本社に愛車のドゥカティ900SSで赴いたニューウェイ。受付の前で座っていたニューウェイを出迎えたのは、満面の笑みを浮かべたハーヴェイ本人でした。

好きなバイクの談義をした後、ハーヴェイはニューウェイの愛車にまたがり、ドライブへ。しばらくして戻ってきたハーヴェイは、ニューウェイにこう告げます。

「よし。」

「いつから来られる?」

エイドリアンニューウェイの空力デザイナー人生の始まりでした。

ハーヴェイ・ポスルスウェイト氏が手がけた、ティレルP34。6輪が一際目を引くマシン。その他にも多くの名マシンを手がけた。

本書について、感想を織り交ぜながら語る

実は先述の生い立ちは、本著のプロローグ部分が少し含まれております。構成は大雑把に書きますと、

  • プロローグ

  • ニューウェイが強く印象に残っているマシン紹介

  • マシン紹介と併せて、当時のニューウェイの仕事・プライベート面の描写

  • ニューウェイが設計したマシンのカラー写真集

  • あとがき

となっています。こう見るとものすごく単純なように見えますが、ニューウェイが当時マシンを制作する際、どのように仕事をしていたか、チームとの政治的駆け引き、思考法、方法論、人間性はどうだったか等が生々しく描写されており、かなり読者を引き込ませる文章になっています。

総ページ数は600ページをゆうに超えますが、退屈にならないような文体で描写されており、その長さを一切感じられません。長く感じないのは、筆者が読書の習慣があるからなのかもしれませんけど。しかし、普段読書はしないけど、F1ファンでありエイドリアン・ニューウェイに興味がある、という方にとっては全く苦痛にならないものだと感じました。スラスラ読めますよ。

ニューウェイにとっては間違いなく悲劇であったであろう、伝説のドライバーアイルトン・セナが事故死したマシン、ウイリアムズFW16を設計したのもニューウェイですが、それについても事故の原因の分析を含め赤裸々に綴られております。

FW16Bへのアップデートが間に合っていたらと、どうしても考えてしまう。画像はセナが最後に搭乗したマシン、FW16。当時のトレンドだった、リアのメゾネットウイングが特徴だ。

また、ジャガーを買収する形で成立したレッドブルレーシングですが、そこへニューウェイは最高技術責任者(CTO)として移籍します。旧上級スタッフとの衝突や、コンストラクターズ選手権で7位以上になったことがなく、決して強くなかったチームを強豪へと押し上げていく過程での、彼の「勝利の方法論」を窺い知ることができます。これは仕事を頑張っている方々にとっては、大いに勉強になり、カンフル剤としてうまく作用するものかもしれません。

レッドブルレーシングが初めてダブルタイトルを獲得した、2010年マシン、RB6。ここから4年連続でダブルタイトルを獲得したのは、ニューウェイの力によるものが大きいだろう。

本書はおすすめか?否か?

本書は非常に高価で、本体価格(税抜価格)で4800円です。ですので、価格面ではおすすめしづらいです。しかし、F1界きっての名デザイナーが綴った、600ページを越す本書は前編に渡り内容が濃く、読み応えは十分すぎるほどにあります。

おすすめしづらい、と書きましたが、個人的にはF1ファン必携の書、と言っても過言ではない名著だと感じました。興味を持たれた方は是非、ご一読を。

最後に

如何でしたでしょうか?

F1関連の書籍は、他にも所持しておりますので、またの機会に投稿したいと思っています。少しでもF1に興味を持っていただけたのなら、幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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それでは、今日はこの辺で。

また会いましょう🤗。

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