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ブラウントラウトについて

【外来種】
 ブラウントラウトとは、海マスの陸封型で、アメリカから移植されました。原産地は、北米、カムチャツカ半島、ヨーロッパなどです。環境省が選定する侵略的外来種ワースト100の一つに数えられています。ブラウントラウトは、人の手によって放流されました。放流されている河川では、他のトラウトに対して、餌を奪うなど生存競争で優位に立ちます。ブラウントラウトは、適応力が高く、繁殖力が強い魚です。そのため、放流された河川で、数を増やしてきました。生息数は増加傾向にあるので、絶滅の心配は無いとされています。
 ブラウントラウトは、在来トラウトより力が強く、引きが強い魚です。逃れようとして、身をくねらせてジャンプしたりするので、エキサイティングな釣りを楽しめます。そのため釣り人には人気の魚です。そのため、釣り人が、もともとブラウントラウトのいなかった川へ、放流してしまうケースもあります。

 ブラウントラウトは、やや緑かかった茶色しており、お腹のほうに行くに連れて白くなります。特徴的なのが、体の側面にある赤い斑点です。その周りは、明るい色の輪っかで覆われています。大きさは、トラウトの中では中程度です。平均してだいたい体長30〜40センチ位になります。

【生態】
 ブラウントラウトは、成長が早い魚です。1年で約10センチになり、7年では、70センチ位になります。性成熟するのは、大体3〜4歳位で、平均寿命は、5〜8年くらいです。ブラウントラウトは、酸素量が多く、雪解けによる増水の影響をあまり受けない河川に定着します。冷水を好む冷水魚なので、夏場に水温が高くなりすぎる水域には定着できません。適水温は16〜18度で、他のトラウトと比べて、やや高い水温を好みます。定着性が強いので、あまり遠くまでは回遊しません。
 ブラウントラウトは、どちらかと言えば夜行性です。特に大型のものは、夜中でも活発に餌を探し回っています。ブラウントラウトは、身を隠す習性のある魚です。明るい時は、深場か岩場などの障害物に隠れ、じっとしています。そこで餌を待ち伏せることも出来るからです。よく、餌が集まりやすい流れ込みや、カケアガリなどでも待ち伏せをしています。ブラウントラウトは、直射日光を嫌い、日陰となる場所を好む魚です。そのため、昼間は木陰の下や、流れの緩い深い淵の底に潜み、あまり姿を見ることが出来ません。これはイワナに近い性質とされています。1番活発に活動する時間帯は朝と夕方です。

 ブラウントラウトは、生命力が強く、イワナやヤマメなどの在来トラウトに対して、生存競争では優位に立っています。イワナと同じように、淵の底の餌をとるために、縄張りを形成する魚です。縄張り争いをした場合、イワナは排除されてしまいます。しかし、イワナの方が、低水温には強いので、上流域での生存競争は、イワナの方が優位です。イワナと交雑し、タイガートラウトという種が生まれることがあります。ただし、これは一世代限りです。
 ヤマメとは、利用する空間が違うため、あまりエサの取り合いにはなりません。また、稚魚が泳ぎ出す時期が違うので成長のタイミングがずれています。そのため、あまり生存競争にはなりません。ヤマメと共存していることが多いのはそのためです。

【食性】
 ブラウントラウトは、深場から長い距離を上がってきて捕食し、餌を食べたら、また深みの棲家に戻ります。同じ外来トラウトのニジマスと比べ、動きが遅く、どちらかと言えば獲物を待ち伏せるタイプの魚です。獰猛ですが、比較的警戒心が強いので釣りにくいとされています。
 ブラウントラウトが、好んで食べるのが昆虫です。夏には蝉を食べ、秋にはバッタをよく食べます。ブラウントラウトは、1日中餌を食べ続ける悪食のトラウトです。特に大きい餌を好んで食べ、食いだめをします。時には、ネズミすら食べることがあるようです。幼魚期は、水生、陸生昆虫を食べ、成魚になると、魚食性が強くなります。魚食性が高いのは、栄養価の高い魚を食べた方が効率的だからです。他のトラウトと比較して、この魚食性は強いとされています。


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