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ヤリタナゴ


【ヤリタナゴ】 

  ヤリタナゴは、タナゴの一種類です。河川の改修などにより、その生息数は減少しました。今では、準絶滅危惧種に指定されています。ヤリタナゴは、タナゴ類の中では、体高が低く、細長い体つきです。そのため「槍」と呼ばれています。その近縁種だと言われているのが、アブラボテです。そのため、アブラボテとは、交雑します。 

 【生息場所】 

  ヤリタナゴは、タナゴ類の中で、最も広く分布しています。その生息域は、北海道と九州を除く日本全域です。河川の中下流域や、止水の湖沼や池などに生息しています。また、よく見かける場所が、田んぼの近くのホソ「小水路」です。ヤリタナゴは、タナゴ類の中では、やや流れのある所を好みます。タナゴの仲間は、小さくて弱い小魚です。そのため、隠れることを好みます。隠れる場所は、水草や、岩や杭などの障害物の周りです。 

 【形態】 

  ヤリタナゴは、成長すると、約10cm位になります。これは、タナゴ類の中では、大型の部類です。体色は、全体的に銀白色で、背は青色を帯びた褐色をしています。他のタナゴ類同様、平べったく、体の厚みがありません。そのため、ヤリタナゴを上から見ると細長い姿をしています。また、他のタナゴに比べて、ヒゲが長いのが特徴です。 

 【生態】 

  ヤリタナゴの寿命は、2、3年くらいです。一年くらいで繁殖が出来るようになります。ヤリタナゴの適水温は、23〜27度です。ただし、在来種なので、低水温にも耐性があります。水質汚染にも強く、生命力の強い魚です。 ヤリタナゴは、体の割には大食漢で、何でも良く食べます。餌は、小型の底生動物「水性昆虫、小型甲殻類」など、やや動物食に偏った雑食性です。それ以外、植物性の付着藻類や、死んだ水草の破片なども食べます。 

 【産卵期】 

  ヤリタナゴの産卵期は、地域によって差があります。だいたい3~8月くらいです。普段は、オスとメスを見分けるのが困難な魚です。しかし、繁殖期のオスには、鮮やかな婚姻色が出ます。婚姻色とは、繁殖期に魚の色が変わることです。体側が赤や緑色に、背中は緑、腹は桃色や黒色、背びれと尻びれの先端が赤色になります。その他、ホルモンによって、現れるのが「追星」と呼ばれる口の先のぶつぶつです。 メスの場合は、背ビレと尻びれの先端側が赤くなります。薄黄い産卵管は、タナゴ類の中では、比較的短めです。卵は、二枚貝の出水管に産み付けられます。 

 【釣り】 

  ヤリタナゴは、タナゴ釣りの代表格です。比較的口が大きく、タナゴの中では、釣りやすいとされています。一年中釣れますが、最盛期は、春から秋にかけてです。冬場は、水温の安定している深場で群れています。ヤリタナゴも、あまりに低水温だと活性が下がり、深場から動きません。冬にあまり姿を見かけないのは、そのためです。通常、岸辺にいることが多く、主に中層を泳いでいます。障害物周りに群れているので、狙うならその周辺です。

 【飼育】

  ヤリタナゴは、病気には強く、比較的飼いやすいとされています。また、水温や水質にそれほど、神経質になる必要がありません。そのため、ヤリタナゴは、初心者にも飼いやすく、観賞魚としても人気があります。性格は、大人しく、他の魚とも混泳が可能です。だだし、縄張り意識が強いので、攻撃的になることもあります。


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