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鯉について


【名前の由来】 

  鯉「こい」の名前の由来には、諸説あります。その太った見た目からつけられたのが「肥え」という説です。別説では、黒っぽい魚体からの「濃い」ではないかとされます。鯉の雌と雄が寄り添って泳ぐ様子からつけられたという見解が「恋」です。ある時、天皇が、絶世の美女の関心を引くために池に鯉を放ちました。そこから、その魚を恋と呼んだという説もあります。鯉は、もともと食用の魚でした。味が他の魚に勝っているので「越」とされたという説もあります。冠位12階には「大位」「小位」という位がありました。それを魚に当てはめ、大位を「鯛」タイ、小位を「鯉」コイにしたという説もあります。

 【文化】 

  鯉は、魚編に「里」と書きます。里がつくのは、人間に身近な魚だからです。人間と関わりが深い魚として様々な言葉になっています。「俎板の鯉」とは、俎板の上で動かない鯉のことです。その鯉は、命の危機にありながら、逃げようとしません。その様子から勇気の象徴とされました。また「生簀の鯉」とは、自由がないことです。5月の節句には、鯉のぼりを飾ります。鯉のぼりの由来は、中国の鯉が滝を登ると龍になるという伝説からです。この伝説を登竜門と言います。そこから、鯉は子供の立身出世の象徴とされました。 

 【生息域】 

  鯉は、淡水に広く生息しています。その生息域は、湖沼や河川の上流から下流まであらゆる場所です。特に平野部の流れの緩い河川にいます。逆にあまり流れの早い河川にはいません。川の淀みや淵など比較的流れの緩いエリアを好みます。鯉は、どちらかと言えば高い水温を好む魚です。しかし、低水温にも強いため、川の上流部にも生息しています。 鯉は、水がキレイすぎる水域にはあまりいません。エサが足りずに餓死してしまうからです。多少、水に汚れがあった方が鯉のエサが多くあります。鯉は、極めて環境適応能力が高い魚です。水質の悪化にも耐えることが出来ます。また低酸素にも強く、水のない所でも長時間生きることが可能です。 

 【形態】 

  鯉は、長く筒型の体型で、背から腹にかけて幅が広くなっています。オスの方が頭が大きく、全体的に細長い体型です。それに対して、メスは、太く短い体型をしています。模様の特徴は、円形の鱗と縦縞のスジです。口には、二対のひげがあります。この口ひげは、匂いや味を感じる器官です。鯉の口は、下を向いています。下向きなのは、口を底につけ、餌を泥の中から吸い出すためです。また口にした餌を一度吐き出す習性があります。

 【食性】 

  鯉の口には歯がありません。その代わりに、喉の奥に咽頭歯「いんとうし」という器官があります。咽頭歯は、三列に並ぶ臼状の歯です。それによって、大好物のタニシやザリガニなどの硬い殻を砕いて食べることが出来ます。鯉には、胃がないので、食いだめが出来きません。生命を維持するために、四六時中餌を漁る必要があります。そのため雑食性で、貪欲になんでも食べてしまう悪食になりました。 

 【生態】 

  鯉の成長は早く、二年で40センチにもなります。性成熟は、オスが二年で、メスは3年です。 鯉は、魚としては長寿で、きわめて巨大化します。その平均寿命は20年です。個体 によって70〜80年も生きるものもあり、最長は150年とされています。鯉の産卵期は、4〜7月です。7月頃までに2〜3回産卵します。産卵を始めるのは、水温が15度以下になった時です。雄と雌が、浅瀬に集まり、水草に産卵します。この時、オスのヒレに出るのが、追星と呼ばれるブツブツです。

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