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渓流釣りと「ツキノワグマ」


【頭数】

  渓流釣りで、ツキノワグマに会う可能性は、ほとんどありません。その理由の一つが、ツキノワグマの頭数そのものが極めて少ないことです。例えば、広い面積の秋田県でも、約3000頭位しかいません。子沢山の年で、頭数が多少増えたとしてもたかが知れています。母グマが産む子供の数は、多くても二匹です。そのため、爆発的に増えることがありません。ツキノワグマが出没する地域に住んでいても、人気のない山奥で、ごく稀に見かけるだけです。山に行かない人は、野生のクマを見たことがない人も沢山います。

 【川】


 ツキノワグマは、そもそも北海道のヒグマとは違います。ヒグマのように、生きた魚を捕まえて食べません。ただし、ツキノワグマは、泳ぐことが出来ます。そのため、普通に川を渡ることは可能です。しかし、わざわざ川の方には来ません。ただし、まれに真夏の暑い日には、水浴びにくることはあります。襲われたケースを見ても、川の中ではなく、林道の移動中などが多いようです。  


【視界】 

  釣り人の目線は、たいてい水平方向です。そのため、広く周囲を見渡すことが出来きます。その上、川の中は、視界が悪くありません。たとえ、ツキノワグマがいても、こちらが先に見つけることが容易です。 それに対して、栗拾いやキノコ採りは、目線を下に落とします。そのため、周囲を広く見渡せません。そもそも、栗やキノコは、ツキノワグマの餌です。当然、ツキノワグマもやって来ます。わざわざクマのいる所へ行っているようなものです。また、山菜採りは、藪の中など視界の悪い場所で行われます。そのため、隠れているツキノワグマと遭遇する可能性が高いです。 

 【熊避け】 

  そもそも、ツキノワグマは、人間を餌としては認識していません。もともと臆病な性格なので、人間を見たらたいてい逃げ出します。襲ってきたとしても、それは自分を守るための防御的なものです。こちらが先に見つけて、不用意に近づかなければ、わざわざ向こうからは襲ってきません。そのため、注意深く周囲を警戒することによって、危険な遭遇は避けられます。もともと襲われることは、ほぼありませんが、それでも用心に越したことはありません。 

  ツキノワグマ避けになるのが、熊よけの鈴や笛です。自分の存在をアピールすることによって、ツキノワグマを遠ざけます。ただし、逃げない個体もいるので、万全ではありません。また、音が邪魔で、ツキノワグマの気配を察知出来なくなる可能性もあります。 

 【熊撃退スプレー】 

  万が一襲われた場合に、最も効果的なのが、熊撃退スプレーです。これにはカプサイシンが入っています。カプサイシンとは、トウガラシの辛味成分です。体にかかっても、特に害はありません。嗅覚の鋭いツキノワグマには、かなり効果的です。ただし、風上や密生した藪では使えません。スプレーの射程距離は、約5mぐらいです。かなり至近距離からしか打てません。スプレーを発射する事前の練習と、ある程度の度胸は必要です。


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