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鮒について


【鮒】

  鮒は、日本人を代表する魚としてよく知られています。鮒を品種改良して出来たのが、観賞魚の金魚です。鮒は、人の手を借りずに全国に分布しました。似たような魚に鯉がいます。しかし、鯉の方は、中国から食用で持ち込まれた外来種です。童謡にも歌われているように、鮒は、昔はどこの川や池でもよくみられました。しかし、今では、護岸工事や水質汚染によって産卵床が失われ、その数を減らしています。

 【生息場所】

  鮒は、水系ごとに繁殖集団が独立しており、地域によって特徴があります。その生息場所は、平地の川や水路、池や沼などの止水域です。川では、流れのゆるい箇所を好み、あまり流れの速い所にはいません。四季や天候によって移動し、深場に潜ったり、浅場に来たりします。基本的には、寒い時期は深場で、温かい時期は浅場です。温かい時期には、浅場に出てきて餌を活発に食べます。餌は、主にミミズやアカムシです。 

 【生態】 

  鮒は、群れを作る魚です。特に春と秋には群れを作ります。回遊型の魚であり、いつも同じ場所にいるわけではありません。時間帯によって周期的に場所を移動します。ただ基本的には底近くを泳ぐ魚です。群れでエサ場を回遊しており、活性が上がれば、その回遊性も高くなります。 

 【繁殖期】

  繁殖期は、春の3月中旬~4月上旬の平野部で桜が開花する頃です。水がぬるくなると産卵場所を求めて、鮒の群れが深場から浅場に移動します。川から水路へ、さらに水田へ遡上するのは産卵のためです。この鮒の移動のことを「乗っ込み」といいます。特に大挙して乗っ込むのは、大雨の後です。この時、何度かに分けて産卵します。産卵するのは、水草や藻場などです。繁殖期には、鮒の動きが活発になり、餌をよく食べます。

 【釣り】 

  鮒釣りは、川釣りの基本です。そのため、すべての釣りの原点と言われています。雪深い地域を除けば、だいたい一年中釣れる魚です。仕掛け作りやテクニックは、それほど難しく考える必要がありません。初心者でも十分釣れる魚です。淡水域で釣りがしたいのであれば、まず鮒釣りから始めてみるのも良いかもしれません。釣り方は、基本的に二通りあります。フナが集まる場所を求めて移動する「探り釣り」と、好ポイントでじっくり腰を据えて釣る「並べ釣り」です。並べ釣りでは、ポイントの選定が重要になります。

 【ポイント】  

 フナ釣りで一番重要なのは、場所選びです。まずは鮒が集まっている場所を探さなくてはいけません。春と秋は、群れを作っているので見つけやすくなります。鮒は、ぐるぐる回遊する魚なのでいつも同じ場所にいるわけではありません。また鮒を見つけたとしても、その鮒が餌を食ってくれるかどうかは状況に次第です。いつでも餌を食べてくれるわけではありません。

 【餌】 

  場所の次に重要なのは、餌ではないでしょうか。鮒は、雑食性なので基本的には何でも食べます。定番なのは、鮒がその臭いを好むミミズです。その他、アカムシや強力な匂いのする練り餌でも良く釣れます。身近な食材なら食パンまどです。鮒は、一度餌をくわえたら、途中でやめることがほとんどありません。そのため、アタリはとりやすい方です。他の魚に比べても、あまり釣り逃しがありません。

【仕掛け】 

  仕掛は、それほど難しく考える必要はありません。鮒釣り用の仕掛けを買えば、特に問題ないです。仕掛けには、主に「シモリ釣り」と「ウキ釣り」の二種類があります。どちらかと言えば釣りやすいのは、シモリ釣りの方です。シモリ釣りは、ゆっくりと餌が落ちるので、目につきやすく、鮒の食い気を誘います。その他のメリットは、感度がよくアタリがとりやすいことです。また、ウキ下の調整をする必要もないので、手間もかかりません。 

 【鮒の移動】 

  鮒は、季節ごとの動きがはっきりしています。深場で越冬していた鮒が、餌を探すために活動するのが、梅の花の咲く2~3月頃です。この頃、日当たりが良く水温が高い場所や、適度に流れがあって、水中の酸素量が多い場所によく集まります。例えば、合流点、水門まわり、ワンドなどです。ただし水温が低下すると、再び深場(家)に帰ってしまいます。

  やはり鮒が良く釣れるのは、乗っ込み期です。この時期、浅い岸辺や、田んぼの用水路、ホソ(小さな流れ)などに集結します。特に、ぽかぽか陽気の日には活性が高いです。 

  高水温の夏場は、全般的に活性が低くなります。活性が高いのは、湧水など、水質が良く、水が流れている場所です。水が動いている場所は、新鮮な水が常に供給されます。そういう場所を鮒が好むのは、水中の酸素量が多いからです。夏の鮒は、深場の直射日光が当たらない場所に潜みます。活性が高くなるのは、雨で少し水温が下がった時です。 

  秋の鮒は、群れを作り荒食をします。食事をする場所は、深場のカケアゲリの底近くや、障害物まわりなどです。 浅場から深場へ落ちる「乗っ込み」とは逆方向に移動します。

  冬の鮒は、全体的にあまり動きません。川幅が広く流れのゆるやかな深場のオダなどに身を潜め、そこで巣を作り越冬します。この時、鮒がベットにするのが水藻などです。鮒の巣は、なかなか見つかりません。


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