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さくらばあちゃんの創作童話

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さくらばあちゃんが作った短いお話です。 ほっこり、にっこりを目指しています。
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記事一覧

雑草と呼ばないで(創作童話)

みいちゃんはおばあちゃんと散歩の途中、 公園に寄ってブランコに乗りました。 おばあちゃんは待っている間に、草むらで何かをしていました。 「おばあちゃん、何してるの?」 ブランコから下りてきたみいちゃんが聞きました。 「ん?これか?おじいちゃんの好きな花やから、摘んで帰って見せてあげようと思ってね。ほら可愛いやろ?」 おばあちゃんが、草むらで摘んだピンクの花を見せてくれました。 「でもこれ雑草でしょ? そんなん、仏さんにあげてもいいの?」 「なーんも。なーんも。花壇の花も道端の

創作童話「キツネの勘違い」

村の裏山に、チャッカリ者のキツネとのんびり屋のタヌキがおりました。 性格は違いますが、2匹は仲良しでした。  ある日、2匹がいつものように山で遊んでいると、 「わっ、キツネ君見て。山ブドウがあるよ」  タヌキが叫ぶように言いました。 タヌキが指さした先には太い木の枝に山ブドウがからまって、 垂れ下がっています。 タヌキが短い足でピョンピョンしますが 届きそうで届きません。 「くやしいな~。あと少しなんだけどなあ・・・」  タヌキは足をじたばたさせながら山ブドウを睨みつけてい

創作童話「あわてんぼうの桜」

 公園の散歩道に今年初めてつぼみをつけた、若い桜の木がありました。 若い桜は、早く花を咲かせたくてウズウズしていました。 「ねえ、もう3日も暖かい日が続いているわ。これって春じゃないの?」  周りの桜たちを見回して言いました。 でも返事はなく、どの桜もつぼみは固いままです。 「みんなまだ寝てる?ねえ、起きて!春よ!春がきたのよ」 若い桜はさっきよりもっと大きな声で、周りに呼びかけました。 すると、隣の古い桜の木がいいました。 「春になったら教えてあげるから、もう少し待つのよ・

いかんといて(創作童話)

 セミが大合唱しているのに、遠くででカミナリが鳴るという、 変な天気でした。 あかねちゃんのママは、朝から台所とお仏壇のある部屋を行ったり来たり 忙しそうにしています。 「ん?これは何する物やろ?おかあちゃん、どこかにメモとか 残してくれてないのン?」 仏壇の引き出しを覗きながら、ひとりごとを言ったり、 大きなため息をついたりしています。 「ママ、どうしたの?」   あかねちゃんが部屋に入ってきました。 「おばあちゃんの初盆なのに、何をすればいいのかわからないのよ。  困った

母の日は白いカーネーションを(創作童話)

五月になると、クラスの女の子たちは 母の日のプレゼントのことで盛り上がります。 「ねえ、母の日のプレゼント決めた?」 去年までは、その話の輪に入れなかったみゆきですが、 今年は自分から話しかけます。 一年生になった時、新しいママができたから。 みゆきにとって、初めての母の日がやってきました。 お昼ご飯のあと、ママに内緒で、表通りの花屋さんに向かいました。 一人で買い物に行くのは、初めてでした。 ドキドキしながら花屋さんの前で立ち止まっていると、 子供だけでなく、お姉さ

仲の悪い足(創作童話)

けんちゃんは小さいころから、 よく転ぶ子でした。 けんちゃんが右の足を前にだすと、 左の足がからまってくるのです。 反対に、左足を前にだしても 右足がついてこなくて、転ぶこともありました。  けんちゃんは、幼稚園に行くようになると、 人の前で転ぶことをはずかしく思うようになりました。 幼稚園では、もうすぐ運動会なので、 毎日ダンスやかけっこの練習があります。 けんちゃんは、かけっこの練習中に、また転んで、 右足に大きなけがをしてしまいました。 「右足がしっかりしない

ひいばあちゃん

幼稚園から帰ったら、歌声が聞こえてきました。 ばぁばの声ではありません。 誰だろう? 「ちいちゃん、おかえり。こっちおいで。 ひいばあちゃんがきてはるんやで」  ばぁばが部屋から顔を出して手招きしました。 ひいばあちゃんって、だれ?  急いでくつを脱いで、ばぁばの部屋にいきました。 廊下から部屋の中をのぞくと、 小さなおばあさんが、ソファーにちょこんと座って 歌をうたっていました。 髪の毛が短く男の子みたいでした。 「おかあちゃん、ひ孫のちいちゃんよ。 赤ちゃんの時、一

ハンバーグと猫缶(創作童話)

「恵太、太郎の散歩行ったの?」  ゲームをしているぼくの背中に ママの声が突きささります。 「う・・ん、もうちょっと・・待って・・」  ゲームが大事な場面だったので、 とぎれとぎれの返事になった。 「ゲームばかりして、 ママのいう事、全然聞いてないのね。 さっき言ってから、一時間はたってるわよ。 ゲームの時間も全然守ってないし。 今日こそ、ゲーム機没収よ」 ママは目を三角にして怒っています。 ぼくも、さっきママに言われたとき 散歩に行こうと思ったんだ。 でも、あと少

コンと金色の葉っぱ

コンのおじいちゃんは、化け術の先生でした。 この山のキツネたちは、みんなおじいちゃんから化け術を習いました。 コンはそんなおじいちゃんが大好きで自慢でした。 ところが、最近おじいちゃんは元気がありません。 化け術を失敗ばかりしているからです。 何日か前も、子供たちに石に化けて見せたのですが、 「あはは、石に黄色い毛がはえてる」 「石じゃなくて、おはぎだ」と 笑われてしまいました。 すっかり自信を無くしたおじいちゃんは、 巣穴から出てこなくなりました。 コンは、おじいちゃんが

懐かしい写真

今日は主人が久しぶりに釣りに行ったので 夜中の0時頃まではおひとり様満喫中\(^o^)/ 思い立って2階の手芸部屋をかたずけることにした。 家具の配置換えもしようとしたら、 棚の奥に懐かしい写真などを発見。 創作童話の公募に10年ぐらいはまっていたことがあって、 その頃に頂いた賞状とか記念品。 賞状は壁に飾るところがないので、 写真に撮っておいている。 一番最初に貰った賞状は アンデルセンのメルヘン童話大賞(入賞)でした。 まさにビギナーズラック! その後、いくつか

ホットカーペット

(桜のミニ創作童話) 12月になったので、 パパがホットカーペットを出してくれました。 カーペット全体にピンクと白のコスモスの花が散らばっていて、 床がコスモス畑のようになりました。  縁側でひなたぼっこしていた猫のミーが、 トコトコとやってきて、カーペットの上でコロンコロンしました。 「ミーちゃん、このホットカーペットを覚えていたんだね」 パパがミーちゃんの頭を撫でました。 座っていると、お尻がほんわかと温かくなってきました。 「かあさん、ここに来て座ってごら