聴いてみなければわからないこと

先日からなんで?と思われる発言をする男子生徒がいる。
もうずっと変だな、と思いながら、一生懸命に指導をしてきた。
どうにもどうしていいのかわからなくなってきた。

ちょうど受験指導のさなか。
私のモードも変わる。
どうも家の教室の生徒は私のことを先生だと思っているけれど、おかんだと思っている様子がある。

先生、レモネード切れてますよ!

先生、コップが・・・。

先生、ココア―!

など、まるで子育て時代のような会話もある。

昨日など、教室に着くと、大学受験組の男子が、

先生、スコップを壊してしまいました・・・。

と謝ってくれるので、要するに雪かきしてくれたってことねー!?と喜んでいたら、いきなり、

スコップいくらくらいしますか?弁償しないと、と思って。

そんな○○(なぜか呼び捨て。すみません。)が雪かきしてくれるなんて、スコップなんて壊れたって全然。めっちゃくちゃ嬉しい!

と話していた。
喜び勇んで、今日は壊れたスコップの代わりのプラスチックのスコップと鉄製のスコップを買ってきた。色鮮やかで嬉しい。私の心もウキウキ。

そういう母親的な会話もしながら、そうどこかで精神的な面を育てながら、一方受験指導はパシパシやっている。

私の頭がときどき混乱しそうになる。
子どもたちには母親の顔オンリー。職場でも教師の顔オンリーだったのが、自分が主宰する教室ではどちらの顔も使い分けなければならない。

男子などに甘い顔をしていたら締まりがなくなるし、かといって厳しいばかりではついて来れなくなったりする。
だから頃合いが大切である。

ただ、男の子には男の子なりの難しさがある。
昔、息子の前で一度本気を出してピアノを弾いてみたとき、いつもはポピュラーソングを気楽に弾いていたのだけれど、そん時はちょっとだけベートーベンの大曲を弾いてみると、顔色が変わった。受け入れられない・・・、という様子。
そしてしばらくして、

今のはこう弾くんだと思うよ・・・。

と言って彼には到底無理だった。
しばらくしてから、

ママ、ピアノでは負けるけれど、バイオリンでは負けないからね!

と超絶、そして彼が生まれてから初めての、らしくない発言をした。

息子は私を風下に置いておきたい。
それで、ちょっと可愛いままでいてほしかったらしい。

彼は私のことをお料理を作ってくれて、
お洋服を縫ってくれる人だとばかり思っていたことだろう。

そういう気持ちって、わりにもちやすいのかもしれない。


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