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【超ショートショート】(281)~瞳のコンタクト~☆CHAGE&ASKA『告白』☆

休みの日、
買い物に疲れた僕は、
駅近くの大きな公園で、
噴水を眺めひと休み。

噴水ショーの水しぶきが、
陽射しに当たり虹を作る向こうに、
僕と同じようにひと休みする君がいた。

僕らは、
噴水ショーが終わって静かになった水面を見つめていた。

お互いボーとしていたんだろう。
無意識に視線を上げた2人が見つめ合っていたなんて、
僕は気づかない振りをした。


翌日、
仕事からの帰り、
倒れている自転車を親切にも直している人がいた。

僕は、
あと残り3台の倒れている自転車を直すのを手伝った。

「ありがとうございます(笑)」
「いいえ、僕は何も・・・」
「いいえいいえ、こちらこそ助かりました(笑)」
「はぁー(苦笑)」

僕はその人の微笑むオーラに照れ、
瞳を見れずいたら、
その人から突然驚きの声があがった。

「あれっ?!どこかでお会いしませんでしたか?」
「えっ?」
「そうだ!きのうの噴水!!」
「噴水?」
「はい!きのう◯◯公園の噴水見ましたよね?」
「えぇー」
「その時、あなたは私と瞳が合ったの覚えてませんか?」
「いいえ」
「あっそうですか・・・」
「いえ、いえ、あの~僕、視力がちょっと悪くて(苦笑)」
「じゃあ、よく見えなかったんですね?」
「はい、まぁ~、その~(困)」
「うふふ、私、ずっと見つめられてると思って、
ちょっとドキドキしたんですよ!
変な期待した自分がちょっと恥ずかしくなってきました」
「いえ、あの~、すみません」
「うふふ(困)」

僕らは、
そのまま別れるつもりだったが、
帰り道が同じだとわかり、
一緒にちょっと気まずいまま、
同じ帰り道を肩を並べて歩いた。

君の家に着いた時、
君に声を掛ける人がいた。

「おい!誰としゃべってるんだよ!」
「あっ!」

君の様子から彼氏だとわかったよ。
僕は何も話さず会釈をして、
君の後ろ姿を見送った。

少し間をあけて、
僕は君の家の道路を挟んだ向かいの家に帰った。
ここに引っ越して来たのは、
ほんの1週間前のこと。


僕らは、
お互い向かいの家の同じ階だと
自然と気づいていた。

僕は、
君が彼氏とどんな恋をしているのか、
君から教えてもらわなくても、
よく知っていた。

どんなに耐え、たくさん尽くし、
毎日幸せとは言えない涙を流さない日はなかったね。

君がその恋を終えた頃、
ご近所の好(よしみ)として
お手製のあたたかい野菜たっぷりの味噌汁を
君の部屋に届けた。

君は、
呼び鈴からしばらくして、
インターホン越しに僕と話した。

「今、開けますね」

君は、たくさん泣いた瞳を隠す眼鏡をして、
僕とお手製の味噌汁を迎え入れてくれた。

「こんなにたくさんは・・・
一緒に食べてくれませんか?」

君のその言葉を素直に待っていた僕、
悲しみに暮れる君に見えないように、
にやけた僕の顔は、
味噌汁に微笑んで見せた。

それからの僕らはご近所の仲良しさんになった。

休みの日、
朝洗濯物を干すと、
君も洗濯物を干して、
2人で「おはよう」の手を振った。

雨の夜は、
雨を眺めながら、
君はワイングラス、
僕はレモン酎ハイで、
雨越しに乾杯をした。

クリスマスの夜、
僕はケーキを買い、
窓の向こうの手招きを待った。

翌朝、
僕は僕の家を向かいの部屋から眺めた。

テーブルには、
2枚のクリスマスカード・・・

「君へ
I LOVE YOU」

「あなたへ
来年のクリスマスも一緒に
ケーキ食べてくれませんか?」


(制作日 2022.7.23(土))
※この物語はフィクションです。

今日は、
明日7月24日(日)がシングル発売記念日の
CHAGE&ASKA『SAY YES』のカップリング曲
『告白』を参考にお話を書いてみました。

CHAGEさんがメインボーカルの『告白』は
チャゲアスの隠れた名曲!

『告白』の曲タイトルを、
そのままストレートに表現した歌詞が、
恋の始まりのドキドキやせつなさを
思い起こさせますね。

ぜひ一度聴いていただきたいと思います。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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選曲した曲
CHAGE&ASKA
『告白』
作詞 青木せい子 作曲 CHAGE
編曲 十川知司
☆収録シングル 
CHAGE&ASKA
『SAY YES』
(1991.7.24発売)

 

 

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