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【超ショートショート】(240)~心の曇り空~☆ASKA『どんなことがあっても』☆

どんな未来で
どんな結末をたどるのかは
誰にもわからない。

地球の空は何日も快晴にも関わらず、
ひとりの人の心はずっと曇り空。

ときどき、
通勤ですれ違う挨拶を交わす仲の
小学生たちも驚くほど、
笑顔も挨拶も失って
まるで別人のように歩く人。

彼に何があったのかは、
誰にもわからなかった。

ただわかることは、
あれだけ町の人気者が、
ある日を境に消えたことだけだった。

彼は毎日をただたんたんと過ごした。
何かを取り乱すこともなく・・・

それから何年か過ぎた頃、
挨拶を交わす仲の小学生たちも
すっかり高校生になっていた。

ある日、
その高校生になった小学生たちが、
同窓会を開いた。

あの彼も同窓会に呼ぼうと、
一応招待状を送っていた。

高校生の同窓会は、
まだ懐かしさなんてそれほど感じない
いつもの集まりくらいな
子供っぽいもの。

普通にゲームで楽しめた。

彼らがゲームに飽きた頃、
招待した彼が気になりだした。

結局、
同窓会の最後まで、
彼がくることはなかった。

それはそれで、
予測されてはいた。

なぜなら彼は、
高校生になった小学生の
ただの朝の挨拶を交わすだけの知り合いだから。

寒い冬の風が運ぶ梅の香り。
甘酸っぱさを感じなから歩く彼がいる。

空は彼の心のように曇り空。

そんな彼とすれ違う大学生が、
彼の表情を見て二度見する。

驚く大学生を置いてけぼりする彼は
ひとり曇り空を
心晴れやかな満面の笑顔で見上げてる。

公園を出たところにある信号機。
誰かが赤信号を向こう側で待っていた。

流れる車が止まること数秒、
横断歩道の信号機が青になる。

信号待ちしていた誰かが、
横断歩道を渡って公園へ
やってきた。

そんな様子を、
彼が笑顔で眺めていた。
さっきまで曇り空を見ていたのに。

彼が誰かを笑顔で
迎えると、
その誰かは満面の笑顔となり、
2人だけの空間を
曇り空の中で
晴天を作った。

ふたりに何があったのかは
誰にもわからない。

ただ、
間違いないことがある。

それは、
彼にとって
その誰かは必要な人だということ。

彼は、
その誰かをずっと待っていたのだろう。

何の約束もなく、
待つことしかできずにいたのだろう。

その不安が、
あの日を境に笑顔を失わせたのだろう。

どんなことがあっても、
心の曇り空から逃げなかった彼は
ついに幸運を手に入れた。

彼にとって、
誰かのそばにいるということは、
それほど難しいことではなかった。

心で想いづつければいいだけたからさ。

とても難しかったことがあるもしたら、
それは寂しさだろうか?
それは不安だろうか?
それは自分の心変わりだろうか?

彼は自分の中で生まれたて
難しい問題に、
常に勝つことだけを
信じて過ごした。

結局、
太陽が世の中から消せないように
心に抱いた愛は
彼自身も消せなかった。

だってそれは
彼にとって本物の
彼がいちばんに抱いた愛だったから。

どんなことがあっても、
彼はその愛を守ると、
心を曇り空にして、
雲の中にその愛を隠して
逃げないようにしていたんだ。

絶対に失くさないって。


(制作日 2022.2.2(水))
※この物語はフィクションです。

今日は、
ASKAさんの『どんなことがあっても』を
選曲して、
お話を書いてみました。

どんなことがあっても、
本物の愛だと思えば、
たとえそれが片想いでも、
叶わなくても、
待つ人は命の限り待つのではないかと思いました。

そんな寂しい人生、
天涯孤独みたいな人生で
かわいそうと思われることさえも、
お話の彼にとっては、
自分の心に嘘をつくほうが
嫌だから・・・
それは、自分にも、
そして誰かにも。

待った未来に叶うことが、
たった一言の挨拶程度でも、
お話の彼にとっては
一生分の幸福なのかもしれません。

その想い出を、
またどんなことがあっても
守り続けるのでしょう。

こんな幸せ、
誰にも見せないで
自分の心の曇り空の中に
隠すのでしょう。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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選曲したい曲は
ASKA
『どんなことがあっても』
作詞作曲 ASKA
☆収録アルバム
ASKA
『SCRAMBLE』
(2012.10.17発売)

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