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私が思う役者の4つのタイプ〜役作りにおける分類〜

私は劇団Яealityという団体で演出を担当しています。
既に7回公演を行い、30人を超える役者さんに出会えました。

これは児童劇団にいた頃から思っていたことだけれど、
役作りって本当に人によってそれぞれで、
「どうしてこの人はこういう演技をしたのだろう?」
という疑問が常に演出中の私の頭に浮かびます。

いつだったか、元団員のΦ村拓海が言い出した「4つの役作り方法
私が言語化できなかった部分を含め、ものすごく納得したので共有します。
(Φ村が言っていたところからちょっと自分なりに解釈し直しているところがあります。)

その4つの分類は以下の通りです。

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全ての役者さんがこの分類にぴったり当てはまる訳ではなくて、
マトリックス的に平面マッピングで考えてください。
「憑依寄りの出産だな」みたいな。



そもそも「役作り」ってなんだろう

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私は4年前までは役者をやっていたのですが、
その度に役作りって何をすればいいんだろう、と考えていました。

いろんな人に意見を聞いても、みんなやり方が違う。。。
もうほぼ挫折です。

後々自分で診断してわかったことですが、
私は合体寄りの憑依タイプでした。
一番少ないタイプっぽいです。あまり見ない。
だから他の人の役作りが参考にならなかった。

演出を始めて、たくさんの役者さんを客観的に見ることができるようになりました。
その中で、私なりの「役作り」の定義がようやくできてきました(4年かかった……)。

役作りとは、役の核を作ることである。

何当たり前なこと言ってるんだって感じだと思うんですが、
核、というのがキーワードです。

私の下手な役者脳では
「この役は上にお兄ちゃんがいてー」
「きっと生姜焼き好きだろうなー」
「宿題やってなくてお母さんに怒られそうだなー」
みたいなこと延々と考えていたんですよ。

ちょっと掘り下げても
「過去にはきっとこんな経験があったんだろう」
みたいな感じ。
起こった事象を並べていただけなんです。

それでは役作りにならない、というのが私の結論です。
役の核を作ることが役作り。

核とはいわゆる信念です。
役の全ての行動原理はなんなのか。
それは役自身の過去の経験から来た教訓なのか
未来へ向かう希望なのかはわかりません。

それを見つけるのが役作り。

じゃあ、役者はこの核を作るのにどんな材料を用意するの?
というのが、今回のマッピングです。


核の材料が自分の中にある人と、自分の外にある人

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大きく分けて、
核を作る為の材料が自分の中にある人と自分の外にある人がいます。

材料が自分の中にある人は憑依・出産型に近い可能性があります。
役と自分が重なるところから役のエッセンスを引き出し、自分事化して考えます。
「私がもしこの境遇に遭ったら……」
「この役の気持ちめっちゃわかる!!」
みたいに考える人はこちらのタイプのことが多いです。

そこ中で出産型は、あくまでも他人という視点を持っていることが多いです。
自分のことのように感じるけどあくまでも他人。
役は子供みたいな感じです。

逆に、材料が外側にある人は合体・建築型の可能性があります。
役を客観視して感情の動きなどをどちらかというとロジカルに考えるタイプです。
「こういうことがあったらこの人はこう行動するだろうな。何故ならばこれを大切にしているから」
という風に考える人はこちらのことが多いです。

でも、合体型は少しだけ特殊で、
「役者はロジカルに考えるけど役は自分の体を借りて勝手に動くぜ!役者が制御するけど!」
みたいな人もいます。

核を作る為の材料が
内側にあるか外側にあるか。
それが一つ目の分類です。


役は自分で動かすか、それとも勝手に動くのか

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次の分類は、役は自分で動かすものか、それとも勝手に動くものなのかということです。
ちょっとこの言い方誤解が生まれやすいと思うので、雰囲気で聞いてください。

役を自分で動かすタイプは出産・建築型です。

出産型は、子供の手を引いて歩くように役を演じます。
役者が役を導き、お客様には子供を見せる。
自分と役は違うけれど、自分に近しい何かの手を引いて自分も歩くイメージです。

建築型は、自身が様々なところから集めた材料で建築を作ります。その建物が役です。
役を多くの人が見ます。その風車を回したり窓を開けたり明かりをつけて、役者は役を見せます。

役が勝手に動くタイプは憑依・合体型です。

憑依型はその名の通り役を自分に憑依させます。
自分の意思はそこになく、役が自分の体を乗っ取ったように演じます。
核を作ったら、あとは気持ちが向くままに演じる。
一番演出に苦労するタイプです。。。

合体型は役と自分が合体します。
戦隊ものの車みたいな。フュージョン!って感じです。
自分の意思もあるけれど役の意思もある。
自分がコントロールしながら、体は役に貸す。
正直いいとこ取りのタイプです。

これで分類分けができました。

核が内側・勝手に動く→憑依
核が内側・自分で動く→出産
核が外側・勝手に動く→合体
核が外側・自分で動く→建築

という風になります。
あくまでも目安です。「合体よりの建築」というようなことも往往にしてあるので
血液型診断みたいなテンションで参考にしてください。

俳優さんは以下の本が参考になるかも?
どれも私が読んで、この記事を作る際にヒントになったものです。

次の記事では、それぞれのタイプの演出方法を書いていきます。

いただいたお金は!!!全て舞台裏のためのお金にします!!!!殺人鬼もびっくり☆真っ赤っかな帳簿からの脱却を目指して……!!!