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お米をテーマにモノを売ることについて考える(3)~ニューノーマルに対応する

こんにちは。お元気ですか。4月から5月は多くの産地で田植えの季節。一面の青が美しい季節です。昨年2020年は新型コロナウイルスの感染対策で、田植えのための帰省も自粛を求められ、外国人技能研修生も来日できませんでした。生産者(稲作農家)さんにとっては、例年とはすこし様子の違う一年の始まりになったと思います。残念ながら今年もそうなりそうですね。

お米屋さんのみなさん、お店はいかがでしょうか。お米を使う飲食店の状況が厳しいこともあり、お米屋さんもかなり厳しいという話を伝え聞いており、心を痛めています。

わたしたち主婦もコロナ禍に巻き込まれています。
例えば友人のタカコ。遠く離れて暮らす彼女の母親は、80歳を機に運転免許を返納しました。買い物は往復タクシーを利用しているそうです。ところが最近、「感染が不安だから買い物に行きたくない」と言いだし…。
困ったタカコが見つけたのは「おつかいタクシー」。複数のタクシー会社がコロナ禍で新たに始めた買い物代行サービスです。運転手さんに電話などで買い物リストを伝えると、品物を購入して家まで届けてくれます。

外出自粛で人々は移動しなくなりました。在宅勤務が推奨され、ランチや飲み会に出かけることもなくなった。世の中が変わったのです。
しかし、すべてのことを移動せずにできるわけがありません。処方箋薬や飲食店のテイクアウトの受け取り、お買い物など移動が必要なことは多々あります。利用客が減り、大打撃を受けたタクシー会社はそこに着目しました。

移動したいお客様はいないけれど、移動して済ませるべき用事のあるお客様はいる。ならば、タクシーが変わりに行ってそれをすれば、お客様は移動せずに「欲しいもの」を手に入れられる。つまり、タクシー会社は生き残るため、顧客の変化に柔軟に対応して、自らも変わったわけです。

タカコは母親におつかいタクシーを使ってみないか、話をしました。母親は「それも便利だけど」と口ごもったそうです。
「明日、いつものお米屋さんに配達を頼むのよ。ついでに農家さんの直売所にちょっと寄ってくれないか、聞いてみようかねぇ」

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そういえば、わたしの知り合いのお米屋さんは、地元の農家から委託された野菜を店頭で販売しています。お米屋さんが、そうした地元生産者の野菜や卵などコメ周辺の日配品の注文を受けて、玄関先に届ける。そんな「食卓の御用聞き」がお米屋さんの新展開としてあってもいいかもしれません。

コロナ禍で苦境に立たされているのは、売り手だけではありません。買い手であるお客様も苦しんでいます。タカコの母親みたいな買い物弱者、病気を抱えている人や妊婦さん、介護で外出を避けたい人など、今までになかったニーズが生まれています。

「進化論」で有名なダーウィンがこんなことを言っています。「強い者や賢い者が生き残るのではない。変化に対応できる者が生き残るのだ」と。

わたしもコロナ禍だと愚痴ばかり言わず「新しい日常(ニューノーマル)」を受け入れて、青い空を見ようと思います。では次回までごきげんよう。


~たにりり(お米サービスデザイナー・商経アドバイス契約コラムニスト)
「料理がわかるごはんソムリエ」として、お米に携わっている人・毎日お料理する人を応援しています! ◆著書「大人のおむすび学習帳」

※このコラムはお米の専門新聞「 商経アドバイス 」2020年5月13日号に掲載されたものを一部改編して掲載しています。最新号はぜひ購読してお読みください。お米屋さん向けに書いていますが、農家さんなど直販生産者やお米以外のモノを売っている方にも、何かしらのヒントになると思います。よかったらどうぞ続けて読んでくださいね。

※題字とイラスト:ツキシロクミ

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