見出し画像

2019年5月31日〜6月6日 鬱

5月31日 向こう側

 今日も眠りから覚めてしまったことに気がついて、目を閉じたまま完璧に絶望してしまう。

 胎児みたいな格好で、泣き出したいのに涙は出ない。発熱したいのに体力がなくて熱が出せない時のような感じ。ようやく立ち上がった時や、歩いている時に、どうしようもなく涙が流れる。暗い気持ちが肉体にも伝播して怠くて怠くて倒れそうになる。数年ぶりに、自分がどうしようもない鬱持ちであることを思い出して来た。

 何度も道端で立ち尽くしながら取材に向かっている。「もうだめだ死にたい」と「うるせえ、ぶっ殺すぞ」の波が短く交互に襲ってきて、ただ立っているだけでものすごく疲弊する。常に脳内が騒がしくて、正気を保つことだけに体力気力のほとんどが持っていかれる。何かたくさんの思考が脳内で渦巻いているんだけど、喧騒の中に放り込まれたみたいで、ひとつも手にとって理解することができない。自分の考えていることなのに。

 セロトニンが減っているのか、情報がうまく処理できなくて、大小様々な負荷なことが、自分と直接関係あるものもないものも全部ごっちゃになってしまう。いまのところ、大きな負担になっていることと小さな負担になっていることを、頭では区別できているんだけど、ものすごく思考の視野が狭くなっているので、気を抜くと漠然とした嫌なことの塊に思えてしまう。少し考えれば違いのわかること(私が仕事でショックを受けたのと、登戸の事件にショックを受けたのは別のことで、私が攻撃的になっている原因はあくまで病気の症状であって、自分と犯人は同一人物ではない等々)が徐々にわからなくなっている気がする。このまま分別がつかなくなっていったら、ふとした瞬間に負荷が限界に達して無関係な人を攻撃してもおかしくない。その時はもう私にコントロールできる私ではなくなっているだろう。黒い塊にぎゅっと過集中してしまう瞬間が、眠さが限界に達した時みたいに何度も何度もあって、その度にハッとさせられる。向こう側に行ってしまって我に帰ることが1日に何度もある。いつかそのまま向こう側から帰ってこられないんじゃないかと思うと本当に怖い。恐怖がまた強烈なストレスになる。

ここから先は

7,987字 / 3画像

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?