見出し画像

12.ヒルメは”日の妻”か

今回からいよいよ天照大神に迫っていきます。「アマテラス」は、『古事記』においては一貫して天照大御神と記される一方、『日本書紀』においては49カ所に登場する天照大神のほか、大日孁尊3カ所、大日孁貴2カ所、天照大日孁尊1カ所、日神33カ所という具合に様々な呼称が登場します。
 
筑紫申真氏は、「日神→大日孁貴→天照大神」と変化すると解して神格三転説を説きました。つまり、日神とは太陽の霊魂そのものである自然神としての太陽神、大日孁貴とはその太陽神を祀る女、棚機つ女であり、オオヒルメの「ヒルメ」は「日の妻(め)」の意味であるとします。
 
そもそも筑紫氏が説くように、神格が変化していくことに対応して名称が変化していったとする考え方は適切なのでしょうか。『日本書紀』神代巻第5段の本文において、伊弉諾尊・伊弉冉尊が天照大神を生んだ時の記述は次のとおりです。
 
「共生日神、號大日孁貴。(中略)一書云天照大神、一書云天照大日孁尊」
(共に日神を生んだ。大日孁貴という。(中略)ある書では天照大神といい、ある書では天照大日孁尊という。)

ここから先は

3,506字 / 1画像

天照大神はいつ頃、どのように誕生したのか。その天照大神が祀られる伊勢神宮(皇大神宮)の成立はいつ頃なのか。「古代史構想学(実践編6)」で整…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?