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#09 イースターエッグ

草木が芽吹く春とイエスキリストが死から復活したことを重ねた「命の誕生」からお祝いするイースターホリデー。
イースターの象徴でもあるイースターエッグだが、日本では、物価の優等生であり、いつも冷蔵庫にある食材の卵🥚でしか見ていない人がほとんどだろう。

ところで…

タマゴはお好きですか?

(アレルギーで食べれない人はごめんなさい。)
私は、大・大・大好き!
冷蔵庫を開けて、タマゴがお行儀よく整列し、待っている姿を見ては、愛おしくて笑みが溢れる。
我が家のキッチンの片隅で、無造作にカゴからヒョコっと顔を出せば、洋書に出てくるキッチンだと錯覚し、お洒落なエプロンを選び、マーサ気分でケーキを焼く。

もちろん見た目だけの判断ではない!味は言うまでもなく最高!
炊き立てのごはんにタマゴをポンっと割って、お醤油をタラリ…口に掻きこんだ時のトロけるような食感、甘味と風味、そのまま背後に倒れてしまいそうになるぐらい美味しい。
朝食の時には、目玉焼きにスクランブルエッグ、はたまたオムレツかで悩む毎日…
卵焼きに親子丼、プリンにタマゴサンド…どんなメニューにも温玉をのせるだけで、一気にまろやかでクリーミーな一品に変身する。
主役でも脇役でもいい仕事をし、栄養価も抜群、タマゴ料理は無限大!
タマゴ料理のことだけで、永遠に話せそうだが、ちょっと待った!

今朝のこの目玉焼き、どこでどんな風に育った鶏のタマゴなの?
食卓に載るまでを巻き返してみる…食卓→キッチン→冷蔵庫→市場→養鶏場(どんな所?)

私は、お買い物はほとんど「よってって」という産直の市場で買っている。地元の野菜や果物、魚介類が豊富に揃っており、新鮮で安心な素材が選べるのでお気に入りである。
タマゴは“平飼い卵”を買うように心がけているのだが、田舎のスーパーのタマゴ売場では、チラシの目玉商品の卵が山積みにされており、平飼い卵は隅の小さなスペースに表示があるものの品がない日が多く、買えたためしがない。多分、売れないから仕入れもしていない様子。
なので、平飼い卵を欲しさに少し車を走らせ「よってって」まで行くことにしている。
タマゴ売場には「平飼い有精卵」と表示され、パッケージには鶏たちが元気に‘コッコッコッ’と歩いてる姿と青草をつついてる写真が貼ってある。
私が住んでいる所は大阪の南端にある泉佐野、和歌山がすぐ隣にあり、このタマゴは和歌山県有田町の養鶏場から運ばれてきているようだ。

鶏のことを思い、環境や餌を考慮し、飼育されている光景が記されており、鶏も元気で嬉しそう。これで安心して美味しく食べれる。

簡単に安価で手の入りやすい卵と、ちょっと高い平飼い卵…
鶏の育つ環境を知ってしまうと、目を見張るものがある。
日本での養鶏場の飼育方法として大きく2つの流れがある。

① バタリーケージ(エンリッチドゲージ)
日本のほとんど(92%)はこの方式で育てている。
狭い金網の中にひきしめ合う鶏たちが卵を産み落とし、ベルトコンベアーで自動的に卵を集める画をTVなどで目にしたことがあるはず。
巣箱と止り木がある少し改良されたエンリッチドゲージ」という方式もあるが、日本はその状態さえ追いついていないらしい。
日本はタマゴの消費量、世界2位(国際鶏卵委員科 IEC)1人あたり年間338個も食べているとのこと。

>>確かに私も1日1個は食べている1人。この消費量を補うには工場型(=バタリーゲージ)で生産しないと追いつかないのか?
もしくは美味しく栄養価の高い卵が、いつでも安く手に入るから食べてしまうのか?
これこそ「鳥が先か卵が先か」のジレンマである。

②ゲージフリー
・平飼い飼育
言葉どおり、自由にノビノビと動き回れる土の鶏舎で育てられる。ストレスなくオスとメスが育つように陽が入る明るい鶏舎には、止り木や砂場があり、青々した草を食べ、産みたい時に産卵場で卵を産む。
・放し飼い飼育
鶏が自由に野外と鶏小屋を行き来する飼育方法。自然のなかで育てられるため、日光浴を楽しんだり、木で羽を休めたり、草をつついたり、土遊びしたりと鶏らしく、たくさん食べてたくさん運動して健康的な生活を送っている。

  >>もし私が鶏だったら…断然「放し飼い飼育」で育ててほしいよ。

動物たちが育ってきた環境や「アニマルウェルフェア」という概念を知ったことから、タマゴは平飼いか放し飼いを選ぶようになった。
ただ、放し飼いタマゴは、高価でなかなか手に入りづらいことから、とりあえず日常は、平飼いタマゴとしている。

『アニマルフェア』
アニマルウェルフェアとは「動物福祉」のこと。
「動物は生まれてから死ぬまで、その動物本来のこうどうっを取ることができ、幸せでなければならない」という考えが故に、家畜のストレスが少なく、行動要求が満たされた健康的な生活ができる飼育方法を目指す畜産在り方。
基本原則【5つの自由】*OIE(国際獣疫事務局)
1飢えや渇きからの自由
2不快からの自由
3痛み、外傷や病気からの自由
4本来の行動する自由
5恐怖や苦痛からの自由

私たちが生きるために、動物のいのちを犠牲にしているというのに、生きている時さえも人間の身勝手な考えで苦痛を感じさせているなんて・・・
少なくとも生きている間は、自由で心地いい環境で育ってほしい。

生産者さんも、毎日世話をしている動物たちが、生き生きとしている姿を見ている方が命を育んでいるとの実感があり、幸せな職業と捉えられるのではないか…
そして食べる私たちにも、ストレスなく育った健康な動物の命をいただく方が、身体のためにもいい。
これこそが、幸せの循環では!?

海外での流れ
1960年代、イギリスの家畜福祉の活動家ルース・ハリソンが著書『アニマル・マシーン』の中で工業的な畜産の虐待性を批判したことから一般市民の注目を集め、議論が始まり、ヨーロッパを中心に世界的に広まっていく。
EUでは「産卵鶏の保護のための最低基準」において、2012年からバタリーケージを禁止する動きがある。スイス、フィンランド、アメリカの6州、ブータン、インドでも禁止されている。
*詳細はこちら

ヨーロッパでは、消費者の認知が高くなり、消費者らがお店なに対応を求める声をあげ、アニマルウェアフェルの商品を優先的に購入する人が増え、知らない人も知るようになり、好循環となってどんどん広がっていった。畜産動物を配慮した認証制度もあり、消費者も認証ラベルをみて、消費者は商品を選ぶ。
今や飼育方法の違いでの価格差はほとんどないそうだ。アニマルウェルフェアに取り組む生産者に補助金を出すなどして、支えた結果でもあるようだ。

この議論は、まだまだ未来を見据えたことも考えていかなければないようだ。
突き詰めていくと、食べるタマゴを減らしていくこと、やめていくことも選択に入ってくる。最近、キューピーなどは「エッグスマート宣言」をし、代替え卵の商品なども売り出している。
本音をいうと、今のままのタマゴを食べていきたいと思うが、未来の食卓にも本物の美味しいタマゴ料理がのるよう持続可能にするためには、好き放題食べるよりは、「ときどき鶏タマゴ」という選択が好ましいのかもしれない。
日本ではまだまだ平飼いや放し飼いをしている生産者は少なく、いつでも購入できる環境も整っていない、そして価格も高め。
まずは消費者が、養鶏方法の違いを知り、毎日が難しければ、ときどきは鶏のことを考えたタマゴを食べるなどして少しずつ意識と行動を変え、私たち消費者に選ぶ力がつけば、自然と日本の生産の仕方も変わっていくのだろう。




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