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モンステラみたいに生きたい

昨年の誕生日に、会社の同期が小さなモンステラの鉢をプレゼントしてくれた。
植物に関係する会社に勤めているというのに、鉢植の植物に対する苦手意識が強い。
病気について分からないし、土の種類、水の量、そういう色々なことが分からなくて不安なので、自分で買うようなことはなかった。そんな自分の苦手意識を知っているかのように、誕生日プレゼントとして送ってくれた。

同期や会社の人にしょっちゅう色々なことを聞きながら、なんとか冬まで育て続けた。

モンステラは比較的強い植物なので、モンスを枯らすことの方が難しいかもしれないが、植え替えを乗り越えて元気でいてくれることが嬉しい。

さて、モンステラという植物はもともと中央アメリカ原産の植物らしい。つまり、暑いところからやってきた植物だ。今は技術の発展で、色々な国や気候の地域からやってきた植物をお花屋さんで買うことができるが、やっぱり暖かいところからきた植物は寒いお天気は苦手ですぐに元気を無くしてしまう。

ぼくが初めて近くで見るモンステラの冬は、とても穏やかなものだ。

暑い時はびっくりするくらい早いスピードで、新しい葉っぱが生えてくる。あっという間に土も乾いて、ぐんぐんとお水を飲む。そして驚くべきはやさで背が高くなっていく。

冬になったら、あんなに早く生えてきていた葉っぱは全く生えなくなった。土が乾いても、しばらく元気に生きている。根腐れを防ぐために、土が乾いてから2〜3日後の水やりでいいらしい。だけれど、一番最後に芽吹いた葉っぱは、少しずつ少しずつ、濃い緑色になってきた。
穏やかに、静かに、部屋の一番日当たりのいいところで息をしているように見える。

思えば、モンステラはぼくに似ている。
夏は元気に、色々なものを吸収して、その力で新しい命を生み出して、大きくなっていく。
冬は穏やかに、必要最低限のものを吸収して、大きくなることはしない。
ぼくは、こういうふうに生きればいいはずだ。

冬は自分にできることを一つ一つ、時間をかけてこなしていって、命をどうにか繋いでいく。夏にはその有り余るエネルギーで、誰かのためになるものを作り出そうと頑張る。そういう人生でありたい。

まるで自分の「中の人」が交代してしまったかのように頭も体も動かない冬。集中力も持たなくて、この1000文字を書くのにも一時間かけている冬。突然悲しくなって泣きながらご飯を食べる冬。泣きながら寝る冬。天災や家の火事が怖くて大切なものを毎日持ち歩く冬。
おうちに帰ってモンステラを見てみようっと。

こいつなんか、
穏やかに生きてるわ。

いただいたサポートでココアを飲みながら、また新しい文章を書きたいと思います。