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クソでかニキビができた時

「ああ、クソでかニキビができてしまったので会社に行きたくない」と思うことが、ここ数年でたまにある。
ぼくは、この気持ちをここ数年で初めて知った。

なぜならいわゆる「思春期」という時期の1番のコンプレックスがニキビだったからだ。
ニキビが顔にできていることは普通のことで、「ニキビができた」とあらためて思うことはあまりなかった。

この前も、顎のあたりに痛いほど大きなニキビができた。ニキビが大きすぎて誰にも会いたくねえ〜と思ったがその次の瞬間、ああ、それってつまり顔がきれいになったということだから嬉しいことじゃないか、と気づいた。
ぼくにとって、クソでかニキビはとても嬉しいことになった。

”思春期”の時は、自分の顔にできている色々が気になって、写真に写るのも嫌だった。笑顔がかわいいと多くの人に言われて育ったけれど、それをチャームポイントだと言いたくなかった。あんまり顔をみないでほしかった。テレビに映っている人が、化粧でカバーできないところにデキモノができていると嬉しかった。人の顔と自分の顔ばかり気にする日々だった。

そういうことの色々は、とにかく時間と加齢が解決した。
この世には、加齢で解決されることがけっこう多い。
ニキビで悩んでいた日々はあまりにも長く感じられたけど、終わってみたらあの日々はなんだったのかと思うくらいには遠い記憶になった。そんな遠い記憶は、たまにできるニキビで思い出される。

10歳くらいからしばらくのぼくへ
時間が経ったら体が大人になって、ニキビとかどうでもよくなります。でも肌が弱いし興味もないし血色もいいから、化粧をあまりしない大人になります。結果的に、同世代に羨ましがられるくらいのきれいな肌が手に入ります。あんまり悲観的にならないように。

いただいたサポートでココアを飲みながら、また新しい文章を書きたいと思います。