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デザインフェスタギャラリーはいいぞ

ぼくは陶芸家の相方とユニットを組んでいて、
今まで二回だけ個展を開いたことがある。
そのどちらも会場は、原宿にある「デザインフェスタギャラリー」というところだった。

SNSのフォロー欄には、過去二回の個展で出会ったクリエイターさんたちが並んでいる。
ある時、ツイッターを眺めながら「ああ、DFGで個展を開いて本当に良かったな」と思った。

展示をしたいけれどお金がないと思っていたぼくらは、アクセスの良い土地でできるだけ安く、こじんまりと展示ができる場所を探していた。そんな中でインターネットの海で探し当てたのがDFGだった。
よく見ると、あの天下のデザフェスを運営しているところが持っている常設ギャラリーだというし、販売手数料を一切取らないそうだ。
ぼくらのような弱小貧乏アーティストにもってこいなギャラリーだった。
(もちろん展示を開催しているアーティストみんなが弱小貧乏なわけではありません)

釘打ちもできて、空間使用の自由度はかなり高い。
空間の種類も多くて、展示の内容や量に合わせていろいろなところが選べる。そんなぼくたちは、壁を中心としたスペースを選んだ。

部屋と部屋をつなぐ通路のようなスペースだが、ふたりとも、気軽に入れそうでいいね、と気に入った。

一回目はコロナウイルスの影響と台風の影響で客足は少なかったが、
二回目は海外からの観光客も増えて、通りすがる人もだいぶと増えた。
幸いなことに英語をすこし話せるので、自分達のことを英語でも説明した。はじめましての方にも、海外から来た方にも、商品を買ってもらった。
この空間に来る人が、とにかくありとあらゆる「アート」を愛してやまないことだけは伝わった。愛があって、あたたかくて、会期中はとても疲れるけれどパワーをもらえて、何より楽しい。

ぼくがDFGはいいぞ、と思うのは、何よりアーティスト同士の交流があることだ。
一回目の時、隣の大きなお部屋は有名なイラストレーターさんだった。
台風にもかかわらず、連日たくさんのお客さんがいらしていたが、彼女は一日中笑顔満点で元気いっぱいだった。ぼくらは、何かを作って人前で発表する人生を選ぶ以上「いい人でいる」ことが何よりも大切だと教わった。

別の棟で個展を開催していた作家さん、隣の部屋で会期途中から展示を始めたアーティストさん、上の階で同じく初めての個展を開いていたアーティストさん、お互い時間のある時に見合って、交流があったのが面白かった。
お互いのSNSをフォローして、機会があれば次の個展にもお邪魔した。

ぼくが一方的にそう思っているだけだと思うけど、友だちや、仲間が増えたような気がした。

二回目の時は来場者が多く、なかなか別のスペースを覗くことはできなかったが、前回のお客さんがファンになってまた来てくれたり、告知をしてくれたり(!)、また新たなアーティストとの出会いがあったりした。
一回目のお隣さんにも僭越ながらツイッターでメッセージを送ったら、爆速でお返事をいただけた。
スタッフさんからも「去年もやってくださいましたよね?申し込みがあった時、また見られる!と思って嬉しかったんです!」とお言葉をいただいた。
それはとても嬉しかった。

個展を開くたびに、相互フォローが増えていく。
SNSはいい。
一度フォローすれば、離れてしまってもこっそり応援ができる。
あ、あの人すごく頑張っている、もがいている、と思う気持ちは自分を奮い立たせる。DFGだったからこそ、そういうつながりが生まれて、そういうモチベーションが生まれたんだと思う。

余談だが、文学フリマに出店したときに配ったチラシに、個展の様子を掲載した。そしたら「これ、原宿ですよね?私今年見たかも…」と声をかけてくださった方がいた。
同じ場所でコツコツと続けること、露出を増やすことって大事なんだな、と基本的なことが胸にズンと響いた。

あの小さくて迷路みたいな建物には、人とのつながりが詰まっている。
表現したくて、誰かに何かを伝えたくて、世界を変えたくて、誰かを癒したくて、誰かの居場所を作りたくて、自分を救いたくて、穴から這い上がりたくて、何かを照らしたくて、心と体をささげて作った作品は、人を呼び、交流を呼ぶ。

見てくれる方、読んでくれる方、作品を手に取ってくれる方、連れて帰ってくれる方だけでなく、同じ「ものを作る人」との出会いがたくさんある。
タイムラインにいっぱい並ぶ、出会ったアーティストの告知を眺めて、
ありがとうの気持ちとがんばるぞの気持ちが溢れたのだった。
DFGで個展を開いて良かった。もうちょっとお世話になります。


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