見出し画像

映画感想「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」


2024年2月9日公開の映画、「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」を観たので感想を語りに来ました!

・事前知識

まずはこの映画について、簡単にご紹介いたします。

原作はアメリカのPCゲーム「Five Nights at Freddy's」です。
その関係から、アメリカでは2023年に既に公開が始まっていたようです。

ジャンルはホラー

主人公は警備員のアルバイトで、廃墟になったピザ屋の警備を務めます。そのピザ屋はエンターテイメント要素が強かったのか、「アニマトロニクス」と呼ばれる機械人形のマスコットキャラクターがいるのですが……

そいつらが何故か襲ってきます。捕まったら最後、骨組みだらけの着ぐるみにぶち込まれて殺されてしまいます
色々な裏設定があるみたいですが、とにかく主人公はそいつらから身を守りつつ、警備室で勤務時間を過ごす事を要求されます。

期限は一日六時間、それを五日。

……そんな危険な職場、初日の時点で辞めろよ!

誰もが一度は心の中でツッコミを入れたであろうその辺りは、ゲーム中では説明されません。説明されているのかもしれませんが、いかんせんボイスが全て和訳されていないのでよく分からない感じです。幸い映画は字幕付きなので、その辺スムーズでした。この辺は、後で語りますね。

とにかくそういうゲームです。シリーズで続編もあり、ニンテンドースイッチでも発売されているみたいですね。

ゲームに手を出す敷居は低いと思います。

・未プレイヤーの視聴について

原作付きの映画……とりわけゲームが原作の場合、プレイ経験の有無が面白さの鍵となるパターンは多々あると思います。

同じホラー原作で分かりやすいのを挙げると「青鬼」とか。

2008年頃に実況プレイヤーを中心にカルト的な人気を博した「青鬼」の映画版。元々ゲームの時点でエネミーである青鬼の正体は判明しておらず、それ故に説明そのものがほとんど必要無いタイプでした。

もう一つ有名なのを挙げると「ザ・マリオブラザーズ・ムービー」とか。

言わずと知れた超人気映画ですね。「マリオ64」「マリオカート」「ドンキーコング」辺りをやっていると分かるネタが散見されますが、別に知らなくても成立します。そもそもマリオが現実世界からやってきている時点でほぼほぼオリジナルですし。

……

いざこうやって挙げてみると、原作ゲームのプレイが必要な映画なんてありませんね。なんなら原作がゲームである事すら知らなくても成立するまであると思います。未プレイヤーへの配慮が窺えますね。
ユアストーリー? 知らない映画ですね……

ちなみにかく言うわたしも「Five Nights at Freddy's」をほとんどプレイしていません
事前知識の段階で偉そうに説明していながらなんですが、あのゲーム心臓に悪いし難しいんですよね。前者に関してはホラーなんだから当たり前なんですけど。
で、積んでました。
でもこの間好きな実況者がやってるのを見て、映画も公開するって話も聞いて、こうして映画館に足を運ぶ事にした次第です。映画面白かったですし、もう一度プレイ頑張ってみようかな。

・感想

さあ、いよいよ感想垂れ流しますよ! 原作あんまり知らない勢なので、小ネタは拾い損ねるかもしれませんが、ご容赦を。

①導入

・体感20分くらい掛けて、主人公周りの環境と人間関係について描写されていました。
確か原作では、主人公のマイクにはほとんどキャラ設定がなかったと思います。ある意味オリキャラですね。でも精神的に不安定で、定職に就くのが難しい状態にある事をきちんと描写する事で、主人公が危険で怖いバイトに手を出す理由付けとして、上手い感じになっていたと思います。

・睡眠薬を常用していたり、突然他人を殴ったりと情緒不安定な彼ですが、その辺りの挙動一つ一つにきちんとした理由があり、後に少しずつ判明していくのが作劇としてすっきりしていると感じました

・ちなみにちょくちょくマイクの家にやってきているマキシンという女性……あれはてっきりマイクの恋人なのかと思っていましたが、後で公式の情報を見返すと、単なるシッターさんなのですね。それにしてはマイクに対してやたらと気安い感じに見えたのは、アメリカンな距離感という事でしょうか。

この段階では、特別言うべき事はありませんね。

②バイト初日

・いや、寝るんかい!

ゲームをやっている身からすると、マイクの行動にびっくりですよ。そりゃあ映画の中では「夜勤はムリ」って言ってましたし、殊更違和感のある行動ではありませんけど……でも寝るなよ! 寝たらマスコットが襲ってくるんだってば!
既プレイヤーがそう感じてしまうのは、監督の狙い通りなのでしょう。すっかり虚を突かれてしまいました。こういうずらし、好き。

・あと、マイクが警備室の外に出てきたのが意外でした。ゲーム中はずっと警備室の中にいますからね。

・それから……
あの人形、なんなんだよ!!

それっぽい画像が無かったのでくるみ割り人形の画像を載せますね。

明らかにアニマトロニクスとは別物ですよね。原作ゲームにもこんなのいないんじゃないですか?

何でもない人形なら、二回も脅かしてくるなよ!
っていうかラストで明確に動いてるし!

結局こいつが何なのか、全然語られませんでしたね。
おまけ要素……というかギャグ要素にしても、もうちょっと説明が欲しかったです。意味不明過ぎて、恐怖よりも困惑が先に来ちゃいますし。

・人形の件ではっきり分かったのですが、この映画のホラー要素って概ねびっくりさせて怖がらせてくるタイプですね。こういうの、ジャンプスケアって言うんでしたっけ。

びっくり系が悪いとは言いませんが、心臓には悪いです。元々原作ゲーム自体がこのタイプのホラーなので、ある意味原作遵守ではあるのですが……映画としてはもう少し凝った手法の方が、わたしは好きですね。

③バイト二日目

・ここでもマイクは無事でした。

と思いきや、まさかの絵に描いたような悪役ムーブの叔母の手先。
ホラーで死にそうなキャラ達過ぎて笑ってしまいました。
そして実際殺される。妥当っちゃ妥当ですが、もはやギャグでしょ。

こういう時、視聴者の心情的にどういう立ち位置で見るべきなんでしょうか。むしろマスコット達を応援する心情だと、ホラーからすかっと爽快な感じになりますかね。わたしはなりました。ナイスフォクシー。

・ここから警察官のヴァネッサが登場します。

明らかに怪しいですよね。ごめん、黒幕だと思ってました。
実際、あながち間違ってないですけど。

ていうかヴァネッサ、警官なら仲間を引き連れてパパを何とかしようという発想は無かったの? 直接立ち向かうのは無理でも、事を公にする事くらいは出来たんじゃないの?
反抗心自体はずっとあったのなら、その辺がすごく気になりました。作劇上の都合と言えばそれまでですが、彼女の警察官という設定は、個人的にかなり足かせになっていたように思いました。

④バイト三日目

・まさかの妹アビー参戦。単体でも危険な職場に、何故妹を連れてきたのか。まあマイク目線だとまだ危険な仕事って認識でもないのか。しゃーなし。

・そしてアビーと仲良くするマスコット達。
この辺りでこの映画の方向性ががらっと変わった気がします。
本来ゲーム中ではエネミーでしかない人形達が、アビーを介して味方のような存在になってしまったわけですからね。無機質な人形もどこか愛嬌が出てきて、印象が変わってきます。

だからこそ、五日目の豹変が映えるとも言えますが。

・アビーによって明かされた衝撃の事実。
マスコット達の意志が誘拐犯に攫われた子ども達の霊によるものだという事。
かなりスピリチュアルな話になってきましたね。原作とは大きくかけ離れつつ、面白い展開だと思いました。

ただ、そうなると二日目でのマスコット達による虐殺の真意が気になります。マスコット達の意志=子ども達の霊だとするなら一連の怪奇現象にも何となく納得は出来ますが、実際に叔母の手先に手を掛けたのは、どういう心理なのでしょう。
暴れまわっていたから処理した、という程度の話なのでしょうか。それとも黒幕(ヴァネッサパパ)の指示でしょうか。ヴァネッサは「悪人だから」という理由で子ども達を擁護するような発言をしていましたが……その辺りに関してはもうちょっと説明が欲しかったですね。

⑤バイト四日目

アビーが感電する日ですね。やっぱマスコットは危ない。

この辺りに関してはあまり言う事は無いかもしれませんね。強いて言うなら、マスコット達がいつ豹変するかとひやひやしたくらいです。しませんでしたが。

⑥バイト五日目

いよいよクライマックスですね。

マイク家にやってくるマスコット。怖すぎでしょ。作中ではなんだかんだ施設から出てこないマスコット達が町に解き放たれているのは、よく考えるとえらい事ですね。警備は何をやっているんだ……!
というか、黒幕はこの状況を放っておいていいのか。意外と放任主義……というかあんまり子ども霊達の行動を縛っている感じじゃないんですね。

・マイク家から廃ピザ屋に戻る過程、好き。
ギャグ要員のタクシー、好き。
実際の所、完全に誘拐の現場なので笑えないのですが、アビーがノリノリなのもあってコミカルなんですよね、ここ。運転手さん、もうちょっと動揺してよ……なんでちょっと場慣れしてんだよ

・夢の中で子どもの霊と話し、襲われるマイク。
子ども達、凶悪過ぎでしょ。
ヴァネッサは普通の精神状態じゃない、みたいな擁護をしていましたけど……実際のところ、どうなのでしょう。黒幕はどうやって霊の子ども達を服従させていたのでしょう。なまじオカルト要素が混じっているだけに、どうしてもその辺は描写が不足しちゃいますよね。

・さて、満を持して登場する黒幕ことヴァネッサパパ。わたしの感じた限り、この映画一番の問題児です。

まずこの人、普段からずっと着ぐるみの中にいるの?
なんでこのピンポイントで登場してきたの?
ずっとあそこにいたのだとしたら、その理由は何?
連続誘拐の動機は何? 単なる快楽殺人鬼?
最後の抵抗で着ぐるみの頭を被ったのは何だったの?

ざっと考えるだけでこんなに疑問が湧いてきます。最後に倒すべきボスとして存在しているのは分かるのですが、登場から退場までいろいろ雑というか、どうしてこうなったのやら……

でも、黄色い着ぐるみは不気味でした。当初から登場していた不気味さに加えて、子どもを容赦なく殺す残酷さ、なんだかんだ捉えて着ぐるみに入れるしか殺害方法の無い他のマスコットと違って直接殺しにかかってくる剥き出しの悪意、理解し難い人間性など、大ボスとしての怖さはありました。

でも途中から、まるで殺してくれと言わんばかりの悪手ばかり。どうしても詰めの甘い情けない奴という印象が強かったです。

⑦ラスト

・さらっといなくなっている叔母。
五日目に家に来たマスコットの攻撃で死んだんですかね。だとするとやっぱ直接殺害してますね。↑に書いた話は見なかった事にして下さい。
でもまあ、作中でヘイト買いまくっていましたし、ホラー映画としてあの人は死ななきゃならない存在だったんでしょうね……

・友達が出来るアビー、前向きになるマイク。
この二人の変化は、この五日間を通しての成長として、すごく妥当だったと思いました。ある意味ご都合的な展開ですが、それが許されるよう作中でイベントをこなした二人なので、素直にハッピーを受け入れられます。

・一方で、父親に刺されて意識不明なままのヴァネッサ。
一応扱いとしてはメインヒロインだろうに、扱い悪いですね。せめて意識が戻れば……いや、でもそれはちょっとご都合的すぎますか。アビーやマイクと違って実際的なダメージを追っているので、すぐに回復するんじゃあちょっとおかしいですしね。
しゃーない。生きてただけましでしょう。

・さらに、他のマスコットに閉じ込められるヴァネッサパパ。

……

ちょっとしぶとすぎない? なんでまだ生きてるんだよ……

これは、あれですかね。ヴァネッサパパも他の子ども達みたいに、死体と霊の力で黄色いウサギを動かしている……みたいな?
それなら説明はつくんですが……そこも言及して欲しかったです。

・まとめ

・良かった点


(1)主人公周りの人間関係や環境がしっかり整っている
(2)霊がロボットに憑依するという、原作に無い斬新な設定
(3)マイクとアビーのハッピーエンド

・気になった点


(1)ホラー描写がびっくりさせる系多め
(2)謎の人形
(3)ヴァネッサが消極的過ぎること
(4)ヴァネッサパパ周りの未解決な謎

こんなところでしょうか。

・総評

正直、ホラーとしてはそこまで良くなかったと思います。
人形による無意味なびっくりや、マスコット達の内部に踏み込み過ぎた結果あまり怖くなくなった感じ、黒幕の小物さなど。
後半でマスコット達に対して明確な攻撃手段を得てしまったのも、対処可能な存在として恐ろしさを失った感じもしました。

ただし、ストーリーはかなり良かったと思います。マイクやアビーの葛藤や精神的欠落からの改善に関しては、文句のつけようが一切なかったと思います。

その辺を加味すると……観てよかったと素直に思えます
原作の知識の有無に拘わらず、一定の満足は得られる……はず。
最初からホラー要素がそこまで濃くない事も分かっていれば、素直に人間ドラマとして楽しめる事でしょう。

もしもこの記事をこんなところまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、是非ともあなたのご意見も頂戴したい所存です。わたしの気づかなかった部分や分からなかった原作ネタ、感じなかった方向の見方等、ご指摘いただけますと幸いです。

映画の感想って、書いてみると楽しいですもんね。

というわけで、今回はここまで。「Five Nights at Freddy's」、プレイしてみましょうかね……

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?