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秋の落とし穴

「おかあさん、おとしあなをつくろう!」

とある公園の砂場で、突如、穴を掘り始める息子。

「おかあさんもいっしょに、ほろうよ」

誘われたが、

掘る道具もなく、足で掘っているのを横目に、

「穴を掘るのは、好きじゃないんだ」と

お断りした。

そのうち、掘った穴に満足した息子は、

「けがしないように、かれはをいっぱいにしよう」

落ち葉を集め始めた。

「おかあさんも、てつだって!」

これには「いいよ」と答えて、しゃがみこむ。

赤い葉っぱ。黄色い葉っぱ。茶色い葉っぱ。

緑と赤が入り交じった葉っぱ。

きれいなグラデーションな葉っぱ。

裏は同じような茶色なのに、

拾いあげて、くるっとひっくり返すと、

目に飛び込んでくる鮮やかな色、色、色。

少し暮れかけた太陽の光にかざすと、

ますますきれい。

拾った落ち葉を握りしめて、

落とし穴まで駆けていく背中を見ること、何回かな?

うん。もう数えられない。

最後にそっと砂で蓋をして、

「だれか、はまってくれないかな~」

息子の期待の眼差し。

はてさて。

人生で初めて落とし穴を作った日。

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