Hina Oikawa 及川陽菜

ニューヨークで活動するSaxophone, woodwind playerです。作曲と…

Hina Oikawa 及川陽菜

ニューヨークで活動するSaxophone, woodwind playerです。作曲と編曲も。趣味は短歌、興味関心は哲学と宗教。プロテスタントのクリスチャン。 https://www.hinaoikawa.com/

マガジン

  • Essay

    音楽のことからニューヨークでの生活まで、分類していないごった煮のエッセイです。

  • Snapshots of Nightmare

    夢という〈意識下でつづっている創作ノート〉———安部公房氏の「笑う月」のように夢をスナップショットした小品を綴ります。覚えているのは大体悪夢。

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三浦綾子「塩狩峠」感想

本との出会いはふしぎなもので、その時々に必要な本、読むべき本というものが与えられているような気がする。今回もとても良いタイミングで、読むべき本が与えられた。 読んだ本は三浦綾子の「塩狩峠」である。名前とあらすじこそ知ってはいたものの、読んだことはなかった。今回夫のご家族——いわば私の大切な家族でもある——が日本からわざわざ買ってきてくれた。元々その本をお願いしていたわけではないけれど、もしまだ読んでいなかったらとご好意でプレゼントしてくれた。 この本は、共感と感銘、そして

    • 怒涛の2月

      お久しぶりです。 2月は本当に怒涛のひと月でした。本当は2月の終わりにこのnoteを投稿するつもりだったのですが、気がつけば3月に…… 25歳のこの1年間、ずっと目まぐるしく日常が過ぎていっていましたが、最後の月にこんな大変なことになるとは思わなかったほど怒涛でした。1月がかなりスローだった分、余計そう感じたのかもしれませんが。 1月は結構暇だったのです。そのため新しい練習メニューを試したり、フルートの練習に集中してみたり、仕事がないなりにできることをしていました。時間が

      • 2023年に読んだ本。

        2023年に読んだ本たちです。 大学院卒業、結婚、みたいな一生に一度あるのかないのかというレベルの大きなイベントを立て続けに行った年でした。読書が趣味ですという割には冊数は少ないけれど、卒業演奏の準備などがあったり、いろいろ忙しかったし、何よりニューヨークにいる割には頑張って手に入れられたし、読めたんじゃないかなと思っています。 余は如何にして基督信徒になりしか 内村鑑三 信じる気持ち-はじめてのキリスト教- 富田正樹 自分の薬を作る 坂口恭平 深い河 遠藤周作 日本人に

        • 無となれるか

          演奏する時の気持ちの持ち方、意識の向け方というものを最近はずっと考えている。サックス奏者のImmanuel Wilkinsは自身のアルバムへのコメントに と言っていた。「無」であるという状態、ここに自分を持っていきたいと思いながら、それはとてつもなく長い道のりであるように思われてならない。 3日前にDizzy'sに行った。夜11時15分からLate Nightのショーをやっていて、比較的若いミュージシャンが演奏している。友人のベーシストが弾いていたので遊びに行ったのだが、

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        三浦綾子「塩狩峠」感想

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        記事

          アニメが見たい

          結局全然更新してませんでした、note。 11月はコペンハーゲンにハネムーンに行ったり、そのまま2年半ぶりの一時帰国をしに日本に行ったり、とにかくめちゃくちゃ忙しかったです。 その時のこともまた書けたらいいなと思っています。 やっとニューヨークに帰ってきて、1週間が経ちました。ギグもあるしビザの準備もあるし、生活のために働かなきゃいけないし、自分のプロジェクトも進めなきゃいけないし、練習もしたいし(そうそう、ソプラノサックスも日本で購入したのです。これでアルト・ソプラノ

          アニメが見たい

          君は同じ曲を延々と繰り返したことがあるか

          日記書く、とか言って全然サボっていました。 というのも、言い訳をさせてもらうと先週は非常に、ひっじょ〜に忙しかったのである。特に火曜日、水曜日、木曜日と3日連続でギグがあって、そのギグがひっじょ〜に特殊なギグだったため疲労困憊していたのだ。 その特殊なギグとは、企業のプロモーションギグだった。コーポレーション向けのチームチャットアプリ(というのかな?)のSlack。 https://slack.com/intl/ja-jp/ 普通にユーザーだったので、依頼が来たときは

          君は同じ曲を延々と繰り返したことがあるか

          勘弁してくれよ 2023.10.21

          嫌なことがあった日というのは日記を書きたくなくなるものだな。 今日はギグだったが、行きの電車で中学生くらいの不良少年たちが暴れて、電車は止まるわギグには遅れるわで散々だった。10人くらいのリトルギャングみたいな連中で、駅の看板を破壊しようとしたり、運転室に勝手に入ってブザーを鳴らしまくったり、もう本当に迷惑だった。事故ってもおかしくないなと嫌に冷静になりながら一部始終を見ていたけど、もう勘弁してくれ以外の感情がなかった。それでも駅員が来るとか警察が来るとかそういう対処もなく

          勘弁してくれよ 2023.10.21

          長い金曜日 2023.10.20

          もうすでにnoteで毎日日記を書くのが面倒になってきている。はやすぎる。 今日は朝6時に起きてとある場所へ。どこで何をしているかはまた別の機会に書くけど、朝から大変有意義な時間が過ごせました。(別に秘密にすることでもないんだけど) そのあとはまた図書館で仕事。来年は自分のバンドのちゃんとしたコンサートをやりたいと思っていて、今日はその企画書を書いた。そのコンサートでしっかりとしたビデオを作って、レーベルだのヴェニューだのいろんなところに売り込みに行くのだ。ニューヨークで音

          長い金曜日 2023.10.20

          日本食料理屋 2023.10.19

          昨日は一日中動いていたので、今朝起きると体がだいぶ重くてしんどかった。今日は夜にTomijazzで演奏がある以外は予定がなかったから、ゆっくり練習したり夫と散歩したりした。 Tomijazzというのは毎日ジャズ演奏をしている日系レストランなのだけど、これがもう大人気で、毎回お店の前は長蛇の列ですごいことになっているのだ。共演したボーカルの女の子曰く、コロナ前は予約システムがあったけどコロナ後はなくなったらしく、お店に来たい人は並ぶしかないらしい。私はコロナ後にニューヨークに

          日本食料理屋 2023.10.19

          ニューヨーク生活のリアル 2023.10.18

          この間友人に「ニューヨークでの生活なんて、普通に暮らしているだけで面白いんだから何かに残したほうがいいよ!」と言われて、それがずっと薄い霧みたいに私の心を覆っていた。わかってんだけど、わかってんだけどなぁ...…といった具合に、やらない理由みたいなものをついつい探してしまうのだ。とりあえずなるたけ毎日、noteを1000文字以内で更新してみようかなと思う。これ、何ヵ月か前も全く同じことを言っていたので、二の舞にならなければいいのだけれど。 今日は11:00amからリハ。来週

          ニューヨーク生活のリアル 2023.10.18

          それでも私は 2023.08.07

          時代遅れだとか偽善的だとか、まあ色々あるでしょうけど。 とにかく自分の生きていきたい世界観、信じたいものを見つけることは今の時代本当に難しいことであると思います。 ただ、そうしたこの世の中において、一生を賭けて守りたいもの、人、想いがあるということは強みであると同時に誇りであると思う。音楽であれ、自分の家族であれ、なんであれ。 あなたに出会えて本当によかった、ということを本心から伝えたい時、人はあまり言葉を器用に選べないのではないか。 それでも、堪えていた涙が溢るるほどに

          それでも私は 2023.08.07

          The cloisters 2023.07.27

          先週は夫といっしょにThe MET cloistersに行きました。ここはメトロポリタン美術館の別館で、本館のあるセントラルパークからは少し離れたブロンクスに位置しています。中世ヨーロッパの美術作品を中心に展示しており、「The clositers」の名前通り5つの回廊があるのですが、その回廊は実際にヨーロッパから持ってきたものらしいです。完全にまるまる持ってきた、というよりパッチワークのように部分部分を持ってきたという方が正しいらしいですが、それにしても「回廊を運ぼう!」と

          The cloisters 2023.07.27

          クラニキとローカル線 2023.07.19

          先週の土曜日、ギグ中に喉の異変を感じた。 それからはサラッサラの鼻水が止まらなくなり、3ステージあるうちの2ステージ目から大変な状況であったため、かなりきつかった。3ステージ目にもなると、ソロを3コーラス取れば鼻水だばだばになるような状態だった。(汚くてすみません) そのあと普通に風邪をひき、なんやかんやと長引いている。今日(水曜日)にもなるとさらさらではなく詰まる系の鼻水になったが、それゆえ耳が遠くなってしまいギグでは結構演奏しづらい状況であった。現在やってるレストラン

          クラニキとローカル線 2023.07.19

          さよならルッキズム 2023.07.18

          寝苦しすぎる。 日本のニュースを見ると、連日暑い日が続いているようだ。特に私の地元の埼玉県なんかは、もともと暑い地域ではあったが今年はずいぶんな猛暑であると聞いた。そちらに比べたらニューヨークの暑さは湿気が少ない上にそこまで気温が高くない分マシかもしれないが、それでも最近は大変寝苦しく、朝5時だか6時だかに目がさめ水を飲み、二度寝するという睡眠リズムになってしまっている。 この間はビザの相談をするために弁護士とアポを取った。今の私のビザはOPTといういわば「働くことのでき

          さよならルッキズム 2023.07.18

          書くこと話すこと 2023.07.04

          眠いので短めに。 昔より話すのが下手になったと思う。もちろん話すことは別に上手くなかったが、好きではあったと思う。なんでもないことを何時間も、一方的に話すこともできたと思う。それは対話ではないが、まあ「できる」かどうかでいえば「できた」のだと思うし、好きだったと思う。 でも最近は、どちらかというと「話すこと」がむずかしいと感じることの方が多い。双方的なコミュニケーションがむずかしいとかそういう意味でもなく、ただ「話すこと」は得意なフォーマットではないのかもなと漠然と感じて

          書くこと話すこと 2023.07.04

          焼きの女 2023.07.01

          安部公房の作品で何が好き?と聞かれたら結構迷うと思う。安部公房好きなので。「赤い繭」もいいし戯曲の「友達」も絶妙にキモくて良い。「バベルの塔の狸」も好きだし、まあなんだかんだ「砂の女」もやっぱり最高だよねという話。 それはそうと2日前は友人の誕生日だった。せっかくなのでみんなで祝おうと、うちに招待して誕生パーティーをした。アメリカのいいところのひとつとして、頻繁にホームパーティーが行われるところを挙げたい。なんだかんだ安く済むし、気負いしなくていいし、なにより人を招待するこ

          焼きの女 2023.07.01