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昭和生まれゲイと男子大学生の実話④ 別れ

お互いの自宅に
入りびたるような関係ではなかった。
時々ランチに行ったり、
昼寝して過ごしたり。
なんとなくそんな感じ。
ゆるゆると過ごしていた。
それでいいと思った。

でも別れは突然やってきた。
直前までいつものように
くだらない近況報告を続けていたのに、
突然長文のラインが来た。
「付き合って落ち着いてきて
冷静にいろいろ考えた。
将来結婚したいとか、
子供が欲しいという話をして
無神経だった。
ごめんなさい。
一緒にいて楽しいけど、
あなたのことは、
恋愛的に好きかは分からない。
期間限定の恋なら
お互いのためによくないと思う。
友達でいたいけど
無理かもしれないと
覚悟して連絡している。
成長させてくれて
ありがとう。」
的な。

あぁ、
思ったより早かったな。
とは思ったけれど、
ショックは
そんなになかったように思う。
いや、そんなことはないか。
その日の夜、
よく眠れなかったもんな。

次の日の昼過ぎに
会って話をすることになった。
感情が爆発してしまうかもしれないから、
家で話したい。
とのこと。
私も自分の感情を言葉にするのが
苦手だったので、
手紙を書いた。

彼は泣いていた。
一か月くらい前から考えていたという。
メッセージをくれたのと
同じ内容を
声を絞りだしながら話す。
私は書いた手紙を読まないと言ったけど、
彼は聞きたいというので読んだ。

いまだに自分の性に悩んでいる話。
一人で悩んで苦しくて泣いた話。
別れたくないなんて
いうつもりはないと言ったけど、
やっぱり好きだし一緒にいたいと
思っているということ。
読みながら泣いて、
彼は聞きながらまた泣いていた。

私は、好きなら付き合っていれば
良いのではないかと思っていた。
別に結婚という未来が
あるわけではないけれど、
付き合うということは
お互いの感情に責任を持つ
ということだろう?
というか独占欲に近いもの。
だから彼が別れたいと
言った理由を聞いても
本当は納得はしていなかった。
でも、一緒に居たかったから、
彼がそうしたいならそうしようと思った。
「友達」としてでも
一緒に居られるなら、
彼の望む形で
過ごそうとそう思った。

今思えばこの時、
少し距離をとれば良かったのかもしれない。

好きと、好きかわからないは

いつか必ずすれ違う。


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