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昭和生まれゲイと男子大学生の実話⑬ 強がり

少しだけ連絡を続けてくれた。
別れた理由を改めて聞いたら
合わないと思うところがあったと言われた。

それならどうしてその後
旅行に行ったりしてくれたのかと聞いたら
断れなかったからだと答えた。

旅行に関してなのか
それ以外の事も含めてなのかは分からない。

旅行から帰った後
「もっと好きになった。」
と言ってくれたこと。

夏休み前に
「しばらく会えなくなるかもだから。」
と言って遊びに来てくれたこと。

ホタルを一緒に見に行って
暗いところで手をつないだこと。

バイト先に差し入れを持っていったら
「嬉しかった。」
と言ってくれたこと。

「ひろくん(私)に嫌われるのが怖い。」
と言ったこと。

全部、全部

嘘だったのかな。

最後に
やっぱり性欲だけで
一緒にいたかもしれないと伝えた。

だって好きなところ
見つからないんだもん。

なんて強がってみたりして。

本当は

嫌いな食べ物が多いところも
箸の持ち方が変なところも
馬鹿みたいに
急に叫びだしたり
踊りだしたりするところも

全部、全部

愛おしいと思っていた。

でも
本当の”好き”とは違ったんだと思う。
"憧れ"と"好き"はやっぱり違う。

ただ触れていたかった。
ただぬくもりを感じたかった。
たださみしさを埋めたかった。

結局いつもと同じだったじゃん。

「もしまた会う事があったら
完全に割り切った関係で会おう。」

また強がって

一方的に伝えて終わらせた。



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