見出し画像

昭和生まれゲイと男子大学生の実話⑤ 盲目

不思議なことに
それからも私たちの関係は
びっくりするくらい
変わらなかった。
それまでと同じように
連絡を取り合って、
自宅に行き来して。
時々旅行に行ったり、
彼の地元に遊びに行ったり。

やっぱり楽しくて、
幸せだと思った。

私は彼に笑っていてほしかった。
とにかく喜んでほしいと思っていた。
出張のお土産や、
大学院の合格祝い、
誕生日プレゼント。
どれもこれも一生懸命選んだ。

私は彼と一緒にいるために、
いつも自分の意見を殺していた。
好き嫌いが多い彼に合わせて
食事を決めた。
会いたいときに
会いたいと言えなかった。
過去の恋愛の話をされたとき、
やめてほしいと言えなかった。

そうしないと一緒にいられない。
彼にとってめんどくさい相手に
なってしまってはいけない。
そう思い込んでいた。

今思えば健全な関係ではなかったと思う。

私は彼に依存して、
彼は私を都合の良い相手と思っていた。

気が付かないうちに、

少しずつ、

私は疲れていた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?