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時代の起点はネットから。「売れていない」を売るためのマーケティング戦略〜ひなたMBA「つくる経営」⑤〜

ネット全盛時代の今、市場動向リサーチや商品・サービスを売るための価値構築、戦略的アプローチは欠かせません。今回は、目的達成のためにどのようなマーケティング手法を選択すべきかを学べる講座となりました。小規模なローカルビジネスであっても、的確なマーケティングが成功の決め手と言えそうです。

<講座詳細>
■講 師:田中 健郎 氏(フリーランスWEBディレクター/プランナー)
■開催日:2024年1月24日(水)10:00〜17:00
■会 場:ホテルニューウエルシティ宮崎

<講師プロフィール>

田中 健郎(フリーランスWEBディレクター/プランナー)
1988年7月28日生まれ、都城市出身/在住。主にWEB領域におけるデザイン面とマーケティング面の両方の業務経験を活かし、サイトや広告の受託制作業務・各種運用支援/コンサルティング業務などに従事。2007年宮崎日本大学高等学校情報デザイン学科を卒業。2014年WEB制作会社や個人事業主を経験したのちWEBマーケティング企業の起業に参加。2018年同社でEC事業の立ち上げを行い責任者としてサイト運営に携わる。2020年デザイン会社にて執行役員として新規事業の推進を担当。2023年に独立後、県内外のクライアントのWEB制作やWEB集客支援等を行う。


マーケティングとは?

講師は、都城市を拠点にウェブディレクター&マーケターとしてご活躍中の田中健郎さん。午前中は「マーケティングの成り立ちとトレンド」についての座学が行われました。

「マーケティング」って一体なんでしょう?

実は専門家の中でも見解が一致していないこともあるほど、マーケティングが意味する領域は広く複雑なようです。広告や宣伝のことと捉える人もいるでしょうが、「マーケティングと『販売』は異なる」のだと田中さんは言います。

「人がほしいと思う製品やサービスを提供することが『販売』であり、販売することはマーケティングの一部でしかありません」(田中さん)

コトラー(※)のマーケティング理論等を参照しながら、

「マーケティングとは、
どんな商品が必要なのか?
どうやったら売れるのか?
ものが人の手に渡るまでの『仕組み』を作ること」

※フィリップ・コトラー(1931〜):アメリカの経済学者、マーケティング学者。さまざまなマーケティング理論を構築し「マーケティングの神様」とも称される。

ということを、まずは全員がインプットするところからスタートしました。


マーケティングの歴史

マーケティングとは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてアメリカで起こった鉄道と通信網の発達と、それによる市場拡大が契機となって生まれました。つまり、商圏の広がりとともにより広範囲でものを売るための理論が必要になったのです。

そんなマーケティングも、時代とともに変わっていきました。
製品中心のマーケティングから顧客志向のマーケティングへ、さらには消費者の精神の充足・社会貢献による精神の充足を求める消費者に働きかけていくマーケティングへ。
徐々に顧客サイドのニーズ、願望に寄り添う形に発達してきているそうです。

自己発信するものから、人の欲求を満たすものへ。インターネットの台頭により、ウェブの世界ではより早い展開でマーケティングの手法が変化していきました。
・バナー広告
・SEO、リスティング広告
・ブログやSNSの活用
・データドリブンマーケティング
・コンテンツ・オウンドメディアマーケティング

2018年頃からは、小売店を通さずにメーカーが直接消費者に売っていくD2C(DIRECT TO CONSUMER)。2020年頃になると、インフルエンサーを起用した販売戦略「インフルエンサーマーケティング」や、インフルエンサー自身の影響力を活用した商品販売、P2C(PERSON TO CONSUMER)が広がっていきました。

田中さんはここで、いくつかの成功事例を紹介しながら、ネットを活用した様々なマーケティングの手法を具体的に説明しました。

以前ならあり得なかったことが実現するようになり、ネット広告市場はますます拡大。

ネットで流行ってリアル展開、が当たり前の時代に突入しました。
「マーケティングの起点はネットから」これはもう、本気で取り組まなければなりません。

「この中でご自身の会社で商品をお持ちの方はどれくらいいますか?」
田中さんの質問に、会場の過半数が手を挙げました。

「そのうち、困っている状況の方は?」
その半分から手が挙がりました。

田中さんがマーケティング支援を行うなかでも、商品を作ってから「さて、どうやって売ろう?」という企業さんが比較的多かったそうです。
そんな経験をもとに、午後は「売れないを売る」ための改善点を、ワークを交えながら学んでいきました。

売れないを売る「5つのチェックポイント」

まず、チェックポイントの一つ目は「ターゲット・ペルソナ設定がざっくりしている」のではないかということ。年代、性別、主婦等だけではざっくりしすぎていて、うまく機能しません。

また、ターゲットとペルソナは似ているようで違っています。ターゲットは属性によって分類しますが、ペルソナには一人のユーザーをイメージして設定します。

田中さんから、ターゲティングによって成功したコーヒーブランド、ターゲットを変更してマーケティングに成功し、売り上げ8倍を実現した日用品メーカー等の紹介がありました。誰もが知るあの店、あの商品にそんなマーケティングストーリーがあったなんて、驚きです。

また、「広告媒体や手法が合っていない」のではないか、ということもチェックポイントの一つです。

検索エンジンGoogleやYahooにいる人は、何かを探しています。
SNSを見ている人たちは、“ながら”で情報を流し見している人です。

ネット上でもリアルにおいても、それぞれの媒体に特性があります。媒体特性が商品やサービスとマッチしてるかはペルソナ設定と同じくらい重要なポイント。

自社商品やそのターゲットやペルソナを具体的に設定し、媒体特性との相性を考慮しながら広告手法を選ぶことが必要だということを学びました。

それ以外に、
・思い切った内容にできていない
・「強み」が曖昧
・思い入れが強すぎる

という合計5項目が、チェックポイントとして挙げられました。

チェックポイントを理解した状態で、グループ内で感想をシェアしました。
「これまで自分が売りたいものを売っていた。ペルソナが必要だと気づいた」
「SNSを中心に広告・宣伝をしていたが、GoogleやYahooの検索エンジンもやった方がいいかもしれないと思った」
「上層部の意見がバラバラだと強みも一貫しない」
「思い入れが強すぎて押しつけになっていた」

学んだことを自社の事業に照らし合わせながら、たくさんの気づきが生まれたようです。

WEBマーケティング参入のススメ

「売れていない」と思っていても、ただ適切なマーケットに露出していないだけ、という場合も。そんな時は商品にテコ入れする必要はなく、ウェブ広告やリスティング広告、SEO対策等を充実させてみるだけでも変化が生まれると、田中さんはローカルビジネスならではの可能性を伝えてくれました。

適切なターゲット・ペルソナ設定ができているか。
何かのミスマッチが「売れていない」状況をつくっていないか。

自社のマーケティングを見直してみると、起死回生のポイントが見えてくるかもしれません。

「みなさんと対話する中でいろんな気づきをいただきました。『売れないものを売る』そんな魔法はないけれど、目の前のサービスやお店がもつ商品力を信じて、輝ける場所や方法を探してあげてください」(田中さん)

なんとなく取り組んできたマーケティングの目的や課題が、この講座を通してよりリアルに、明確になってきたのではないでしょうか。今日の参加者の中から、誰もが知るヒット商品が生まれる日もそう遠くないかもしれません。

田中さん、参加者の皆さん、ありがとうございました!



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