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紅葉の下でプロポーズされたい

俺がまだ小学生の頃、近所に5つ上のお姉ちゃんが住んでいた。

(ピンポーン)

好花:は〜い

〇〇:好花ちゃん、今日遊べる?

好花:ええよ、入って?

〇〇:お邪魔しま〜す

好花ちゃんが居間のゲーム機を起動する。

好花:マリオカートでええやろ?

〇〇:うん

ちなみに俺は好花ちゃんにマリオカートで勝ったことは無い。

〇〇:……。

好花:(苦笑)大丈夫?

もちろん、今回も全戦全敗である。

〇〇:何でそんな強いん〜?

好花:年上としてのプライドかな?(笑)

〇〇:大人気なっ!

好花:(爆笑)



そんなある日、

好花:ねぇ、明日時間ある?

〇〇:あるけど…、どうしたん?

好花:△△山に紅葉狩り行かん?

△△山とは、俺たちの家から見える紅葉で有名な名所だ。

〇〇:…遠くない?

好花:自転車で1時間漕げばいける

〇〇:(苦笑)

そして翌日、両親が仕事に出かけたあと好花ちゃんの家に向かう。

〇〇:おはよう

好花:おはよう、じゃあ行こっか

ヘルメットを被り、自転車にまたがる。

好花:出発進行〜!

△△山に向けて走り出した。

そして△△山の麓まで走ってきたところで一旦休憩することに。

好花:ふぅ〜…

〇〇:ホンマ小3相手に容赦ないよね、中学生と同じ体力があると思わんといてや…

好花:ごめんて(苦笑)

息も整ったところで、再び走り出す。

〇〇:…むっちゃ急なんやけど……!

好花:ファイト…!

なんとか△△山の駐車場まで登りきり、端に自転車を停める。

好花:…こっから徒歩で登るよ!

〇〇:……でしょうね…

自転車で疲労した足を山道でさらに酷使する。

〇〇:…好花ちゃん、一旦休憩せぇへん?

好花:じゃあ△△寺行く?

〇〇:行く…

△△寺とは△△山の中腹にあるお寺だが、奥まった所にあるせいか紅葉の時期でも人がほとんど居らず、地元民の穴場となっている。

好花:よしっ、誰も居らん

〇〇:まずはどっか座ろ?

本堂の石段に腰掛け、水を飲む。上を見上げると、空を覆うほどの紅葉が紅く風に揺れていた。

好花:……〇〇…

〇〇:…ん?

好花:紅葉、綺麗だね……

〇〇:うん…

好花:……プロポーズはこういうとこでされたいなぁ……

〇〇:…じゃあ15年待ってて……///

好花:……ふふっ(笑)〇〇がかっこよくなってたらな?(笑)

〇〇:なってるから!…///
……………………………………………………
それから15年後、

〇〇:すみません、これをひとつ

花屋:はい、1800円ね

花屋で花束を買い、私たちは△△寺にやってきた。

〇〇:好花ちゃん久しぶり、元気にしとった?

〇〇:紹介するよ、婚約者のひなの

ひなの:初めまして、上村ひなのです

好花ちゃんのお墓に花をお供えする。

〇〇:……時が経つのも早いよなぁ…

〇〇:好花ちゃんが事故で亡くなってからもう11年も経つねんで?

お線香に火をつけ、2人で手を合わせる。

〇〇:……。

ひなの:……。

ひなの:…きっと素敵な人だったんだね

〇〇:……うん

立ち上がり、好花ちゃんのお墓を後にする。

〇〇:…あっ……

すると、私の肩に紅葉の葉が一枚舞い落ち、2人で上を見上げる。

ひなの:……〇〇…

〇〇:…何?

ひなの:紅葉、綺麗だね……

〇〇:…うん……

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