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「銘柄」を「さわる」ことについて

今日は、個人投資家が使う言葉について、書きたいと思います。
ときどき目にしたり、耳にしたりする言葉。
「私、この銘柄、よくさわってるんですよね~」
についてです。

1.「銘柄」

どの企業の株式を購入するか、検討し、選ぶことを、「銘柄選択」と呼ぶことがあります。
言うまでもなくここでいう「銘柄」は、特定の企業の株式を意味しています。

私も昔はこの「銘柄」という言葉を使っていました。
でも、ある日、ふと思いました。
「これ、その企業の人が聞いたら、どう思うんやろ?」

企業側の立場になったときに、自社のことを「銘柄」って呼ばれるのって、いやじゃないですか?

「銘柄」という言葉から連想するのは、例えば、ワイン、茶葉、ブランド品などです。「銘柄」は、その語感にプレミアム感も含んでいるように思います。総合的に見てポジティブな印象の言葉だとは思います。
しかし、一方で、無生物のような、資金を賭ける無機質なもの、というようなニュアンスも感じられます。
なにより私が引っかかるのは、それぞれの企業には、経営者がおり、従業員がして、顧客がいて、仕入先の会社があります。生きた人間の集まりが、企業です。様々な想いが掛け合わさっています。
また、その企業には、素晴らしい商品・製品・サービスがあり、それによって助けられている顧客がいて、そこに物語があります。
そのような物語が、「銘柄」という言葉からは全て捨象されてしまっているように感じられます。

このため、企業を見て、そこにある数々の感動の物語を知って、株式投資をする者として、「銘柄」という言葉は使わないように心がけるようになりました。

2.銘柄を「さわる」

銘柄を「さわる」という言葉が使われることがあります。
このほかにも「インする(ある企業の株式の売買に参加すること)」という言葉があります。

これらも使わないようにしています。

個人投資家が「最近、○○社の株、さわってるんだよね~」と言ってるのを、その企業の人が聞いたら、どう思うでしょうか?

「さわっていらんわ!」
と思うでしょう(笑)

3.株式投資の目的は金儲け

このような言葉使いの前提にあるのも、やはり
「株式投資の目的は、金儲け」
という考え方だと思います。

「株式投資の目的は、社会に役立つ商品を提供する企業を株主として応援すること」と考えていたら、その企業のことを「銘柄」と呼ぶ発想がまず生まれてこないです。「さわる」という言葉も出てきようがないです。


別稿の繰り返しになりますが、決して「株式投資の目的は、お金を増やすこと」ということを否定しているわけではありません。目的が自由で多様であることが大切である、というのが持論です。


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