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ダウン・タウン・ブギウギ・バンドとシャ・ナ・ナ


親愛なる友だちへ、ひねもです。



DJでアナログレコードを回したいなという気持ちが昔からあって、そのときのために7inchをちょこちょこ買い集めてきた。

で、そうして集めたレコード達の中から今度のイベントでかけたい曲を選んでいるときにダウン・タウン・ブギウギ・バンドの7inchを見つけて。



誰もが知ってるであろう曲で“スモーキンブギ”

説明不用の大ヒット曲。

んで、これまたロック(ンロール)が好きなら誰もが知ってるように元ネタがある。

それはエルモア・ジェイムスの“シェイク・ユア・マネーメイカー”だ。

エルモアはブルースマンでエレクトリックギターでのスライド奏法を始めた第一人者。

上記の曲は代表作。今ではブルースのスタンダード曲となっていてロック(ンロール)のバンドもこぞってカバーしまくる名曲だ。


ダウン・タウン・ブギウギ・バンドはそれをオマージュしたものに日本語オリジナルの歌詞をつけて演奏していた。

...もうちょっと補足するとエルモアのオリジナルというよりはおそらくフリートウッド・マックのバージョンを参考にしていると思う。おそらくね。

つまりオリジナルのカバーのオマージュ。


ここまでは知っていたのだけどYouTubeで色々と関連を聴いてたらシャ・ナ・ナが“スモーキンブギ”の方をやっていて。

これが今回紹介したいところ。

シャ・ナ・ナはシェイクユア〜の方じゃなくてスモーキンブギをカバーしてるのです。

つまりオリジナルのカバーのオマージュが逆輸入されているという。

それがすごい不思議で。

ちなみに歌詞はショートピースがキャメルになってたり、喫茶店はソーダショップになってたりとアメリカ人がわかるように歌詞は若干変わっているらしい。



シャ・ナ・ナといえばウッドストック。


...というか僕はこれでしか知らない。。

ドゥーワップ系のバンドというか集団というか。グループって呼び方がしっくりくるのかな。

そしてウッドストックフェスティバルのあの出演者たちの中でかなり異質だった印象がある。

ミドルティーンの頃に初めて見た時は正直に言ってカッコ良さがわからなかった。

ウッドストックのライブ映像で誰を見たいかってなったらなんと言ってもジミヘンや


バリバリにかましまくるギターとリズム隊がヤバすぎるサンタナや


ソウルフルなジョーコッカーや

エモーショナルなジャニスや

ラストにP90が載ったSGを破壊し客席に放り投げるザ・フーや


大合唱のカントリージョーなど

そういったところばかりを見てしまっていた。

あとは大人になった今だとテンイヤーズアフターが激ヤバなことに今更気付いたり。元祖速弾きアルヴィン・リーね。


カントリーやブルースやサイケデリックなロックが鳴り響く中でシャ・ナ・ナの楽しい感じはなんだかちょっと違うかも...と思っていた。


何度か見るうちにこれだけ振り切ってやってるってエンタメとしてめちゃくちゃカッコいいな!に変わったけれど。


とはいえそこから活動や作品を追ったりはしていなかったので、僕にとってシャ・ナ・ナの情報はウッドストックのあのライブシーンが全てだった。




今回調べていくと知らない情報がたくさんあった。

一番有名なのは前述したウッドストックフェスティバルでのライブシーン(僕はこれしか知らなかった)なわけですが、当時はヒッピー文化全盛期。

長髪&ベルボトムの観客たち(出演者も大多数がそちら側)の中にリーゼント(ポンパドール)&50sファッション(ラメラメのド派手な衣装や袖捲りしたTシャツ、タンクトップ、革ジャンなど)で登場し時代遅れのロックンロールを大人数でダンスしながら真面目にやっているという。

そう思って改めて見るとめちゃくちゃ凄いわけです。

しかもジミヘンのお気に入りでウッドストックに彼らを出演させるように自ら推薦したとか。

その流れも知らなかった。。

1969年結成なので出来たばかりの無名バンドだったシャ・ナ・ナはジミヘンに大抜擢されて大観衆の前であのパフォーマンスをやっているわけです。

観客は なんだ!?誰なんだ!? って顔で見てますからね。

さらに出演者の中で唯一レコード(音源)を出してないグループだったとか。

もう全てがかっこいい!



そしてその後、日本のロックンロール界にも多大な影響を与えている。

クールスやシャネルズはシャ・ナ・ナのフォロワーだったとか。

この辺りの流れも不勉強で全く知らなかった。

もちろんリアル50sの音楽が好きなのだろうけど、最初の入り口としてシャ・ナ・ナが居たということなのだろう。


僕がやってるブルースで例えるならばレジェンド達はもちろん聴いていたが、現役でブルースミュージックを体験させてくれたのはJSBXだったりホワイトストライプスだったように。


リアルタイムで活動していて直接の取っ掛かりの存在というか。



キャロルのラストライブのインタビューシーンではクールスのメンバーが

”キャロルは日本では良いバンドだし、世界でもシャ・ナ・ナなんかと比べるとまだまだだけど…けっこうクるんじゃない?”

と言っていたり。

そのぐらい大きな存在だったらしい。


前述した通り僕が初めてウッドストックの映像を見た時は出演者の中でかなり異質に感じて浮いて見えてしまっていた。

だが、ずいぶん前に廃れてしまったオールディーズというジャンルの正統派グループが1969年に遂に誕生したという方向で捉えると見方は変わってくる。

僕はフォークもサイケもラテンもオールディーズも何でも好きで聴くからそうは感じないけど、当時50sが好きだった人からしたらロックのメインストリームは長髪ベルボトムヒッピーに奪われてしまってたわけで。

そんな中で一昔前のスタイルで颯爽と登場しエネルギッシュにライブをやるシャ・ナ・ナはかなり痛快だっただろうなと思うのです。

ライブで定番曲をやる際には「I've got (just) one thing to say to you, fucking hippies.」と前口上していたとか。

いくらなんでもそこまで敵対視することもないとも思うが…。


で、オールディーズリバイバルの立役者?火付け役?であるシャ・ナ・ナは遂に1975年に初来日。

その際に前座をダウン・タウン・ブギウギ・バンドがやったらしい。

そしてシャ・ナ・ナがスモーキンブギをカバーしレコードをリリースするという流れに。



やっと話しが本編に戻った。




ちなみにダウン・タウン・ブギウギ・バンドを見たシャ・ナ・ナは

”日本にもブギを演奏できるバンドがある事を知った”

とコメントしたらしい。

これに対しては いっぱいいるだろ! とは思うけど。。



本国アメリカではシャ・ナ・ナはオールディーズを歌う子供向けコメディー・バンドというイメージも強くあったらしい。

なのでブルース界で例えるとブルース・ブラザーズに近い存在なのかもしれない。

ブルース・ブラザーズもカバー曲ばかりだし。

こちらはもっとコミカルというか、そもそものスタートがバラエティ番組のコントだったわけで。

そこから本格的なバンド活動への成り立ちも

現在は下火になっているブルースミュージックをアメリカの真の音楽と知らしめるために...

だったはず。

そして映画にもなった。

音楽はかなり本格的というか凄腕のプロミュージシャンが多数参加していて、フロントのアクションも素晴らしくてブルースミュージシャン&ファンから絶大なリスペクトをおくられてる。

僕も多大な影響を受けている。


どちらも最高だ。



…何気なく手に取ったシングルレコード1枚からここまで色々と派生していくとは。

ちなみに我らがテイラー先生はオリジナルの方のShakeをRollに変えて歌ってたり、憂歌団はスモーキンブギとオリジナルをくっつけてやってたりします。様々なカバー、オマージュなど派生バージョンがあるので興味があったら探して聴いてみてください!

ブラザー&シスター、音楽って良いね!

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