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徒然草に

徒然草に「すべて、何も皆、事のととのほりたるは、あしき事なり」とあります。何事においても完璧はよくなくて、やり残しがあった方が味わい深い、と。

やり残しとは完成までの時間を生き延びさせる工夫なのだ、ともあります。東照宮の陽明門で魔除けの逆柱を見上げながら、未完の美について考えていました。

物事は、完成と同時に衰退が始まる。だから、この柱だけ、わざわざ逆さまに立てて、それによって建物を未完の状態に置いています。

隣で門を見上げるSの横顔を盗み見ます。咲いた花は、散る。満ちた月は、欠ける。だから私たちは、このままでいい。友達のまま過ごす、2度目の冬でした。

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