柳宗悦に触発された松本民芸館の展示には、説明らしい説明がありません。「なんてやる気のない」と憤慨し掛け、１枚の「説明」書きに虚を衝かれます。

「何故何処で何んに使ったかと云うことではなくその物の持つ美しさを直感でみてください」。まったくのところ、私たちは、解説と鑑賞を混同しがちです。

その物について得た知識でもってその物を理解した気になりがちです。柳は、「どうしたら、美しいものが見えるようになるか」と問われ、いいました。

「別に、秘密はない。初めて『今見る』想いで見ることである。うぶな心で受け取ることである」。バスに乗りながら、「対人関係も同じだな」と思いました。