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電車(2)


電車に乗り込んで、流れてゆく夕景を眺めていました。さっき、あの場ではうまく言葉にならなかった感情が、遠花火のように今になって心の中で弾けます。

「ふーん資料って、呼んでんですよ」と、その時、声が聞こえました。車内に目を移せば、3人連れの男たちが釣り革に半ば体を預けながら話していました。

「ふーん資料」の声の主は、一番若い茶髪クンでした。「課長って、心配性じゃないですか。だから会議の前には必ず、「念のため」の資料を作らせるんです。

で、苦労して作った資料を見せると、ちょっと眺めて、「ふーん」って。それでお仕舞い。オイオイって、思いますよぉ」。彼の不満と私の不満が共鳴します。


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