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竜飛崎について

竜飛崎について太宰は、いいます。「ここは、本州の極地である。この部落を過ぎて路は無い。あとは海にころげ落ちるばかりだ」。私たちもそこにいました。

灯台近くに「津軽海峡・冬景色」の碑があり、不用意にそのボタンを押した私たちは、大音量で流れ出した石川さゆりの歌声におののき、そして赤面しました。

他に人影もなく、歌声は、吹雪を縫って響きます。そして私たちは、気が付きました。津軽海峡・冬景色とは、あれは、連絡船の中から見た景色なのだ、と。

こちら側から見る景色は、「絵にも歌にもなりやしない。ただ岩石と、水である」。そういえば、太宰もそのように警告していました。

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