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星新一(NHK感想)『薄暗い星で』『白い服の男』『ものぐさ太郎』『窓』

ちょっと遅くなりましたが、
星新一のドラマの感想です!
最後の週は楽しい感じのがなくて「怖い~」と思いながら観てました^^;



『薄暗い星で』

人間に捨てられたロボットが、宇宙のどこかの星にたどり着く。
そこで、偶然にも同じ人型ロボットに出会う。
ただ死を待つだけのロボットたちのお話。

地球で人間の為に働いていた人型ロボット。
でも、人間はいらなくなったロボットを処分する時、工場で分解するのではなく、宇宙に捨てる。

「人間はソレ(分解して処分する)ができないらしい。でも宇宙に捨てる方が残酷」

ロボットはそう言う。
だって、運よく星に漂着したけど、後は死ぬのを待つだけ。
たしかに残酷な気もする。
でも、人間の気持ちも分かる…自分たちと同じ姿をしたものを、目の前で壊すのは、心理的にどうしても抵抗あるだろうな。

ロボットの死を描く、
薄暗い星で、薄暗い話でした~




『白い服の男』

幾たびの世界大戦を終え、平和になった地球。
戦争の歴史を繰り返さないために、「戦争」そのものを無かったことにしようとする世界。
戦争の「セ」を口にすることも許されない。
もし「セ」を知ろうとしたり、写真や文書を手に入れようとすれば、それは重罪な犯罪で、特殊警察(正式名称忘れた…)に捕まれば人権すらなく、公開処刑される。

「戦争という概念を無くす」

それが国の決めた方針で、「セ」を知ろうとする者を捕まえるのが特殊警察の仕事。

物語は、新人が配属された先に向かうと、署長(白い服の男)が出迎え、業務を案内をするという話。

「セ」は忌むべきもので、国民の会話を盗聴し「セ」の話をしている者を調べたり、写真を所持した者を捕まえたり…。

途中で出てくる図書室みたいなところでは、床に本がいくつも投げ捨てられている。
そこの責任者が新人に言う。

「歴史の書き換えを行っている」

書物から戦争を無くし、書き換えできないものは処分する。
すべてを書き換え、「セ」の概念を消そうとする世界…。


でも、そんなこと可能なのか?と思う。
たしかに、人々の記憶から忘れられたら、名前も消え、概念も消える。
「セ」もそうして無くなれば、大勢の人から概念を消すことはできるかもしれない。
だけど、一部の人はやっぱりそれを覚えているだろうし、それを知ろうとする者も出てくると思う。

「セ」を抹殺するための特殊警察の仕事はゾッとしますね。
最後のシーンも……
こんな世界嫌だなぁ…と思いました。





『ものぐさ太郎』

昭和時代の設定で、ものぐさで引きこもり男が、銀行から「このままでは貯金残高ゼロになるので働いた方が良い」と言われる。
すべて男の部屋で電話でのやり取りで進む。
人材派遣会社に電話して、寂しい老人の話し相手の仕事に就く。
とはいっても、たまに老人に電話するだけ。
その老人がちょっとした裏世界のドンみたいな人だったらしく、いろんな話を太郎にする。
太郎は、物まね講座みたいなのに申し込み、電話でレッスンを受ける。
そして太郎はドン老人の声をまねて、いろんな人に電話し、キャバクラ?NO.1の子と寝たり、お金を儲けたりする。

ほとんどが電話とのやり取りで、コミカル。
「~ざます」って言う人いたけど、アレ昭和に流行ってたのかな?
スネ夫のママも「~ザマス」って言うよね。

声真似だけなのに、相手はすっかり太郎をその本人と信じてしまい、太郎はどんどんエスカレートして、最後は世界中を混乱に招く…という話。

多少あいまいな会話でも成立しちゃうの怖いな~と思いました。





『窓』

これ怖いやつだ…と思いながら観る。
SNSのフォロワー3000人の、それなりに可愛い女の子が主人公。
有名になりたいと思っている彼女。

SNSに投稿すれば、フォロワーがすぐコメントくれる。
ちゃんと可愛いし、それで満足すればいいのに、彼女は有名になりたい思いが強いみたい。

ある時夜中に見たテレビで、「助けて」と叫びながら部屋を駆け回る女性の見て「何このへたくそな演技。私の方がもっとうまくできる」と思う。
同じ頃、ちょっとテレビに出ただけでフォロワー30万の同世代の女性がいて、すごく嫉妬してたんだと思う。


派遣で働きながらも芸能人に憧れる彼女の下へ、ある日男が「テレビに出ませんか?」と声をかけてくる。
どう考えても怪しい…のに、女の子はすっかり惹かれてるようで、一度は「考えます」と言ったのに、二回目に会った時に「やります」と答える。

多少怪しくても、チャンスだと思っちゃったんだろうな。
彼女は自分に自信もあったと思うし、
「どうして私じゃなくあんな子が人気あるの?」って思ってただろうし。

でも、私の持論だけど、自分と似たような子が人気あって、自分はそこそこというなら、二人の間に差があるなら、それにはちゃんとした理由があると思うんだよね。
売れてる、人気がある理由って、絶対あるんだよ。
自分と何が違うのかを考えれば良かったのに…と思う。

彼女は、男に案内され、付いていく。
何のテレビに出るのか、とも聞かず、
連れていかれた先の建物が薄暗い古い建物で、
明らかに怪しいのに、たぶんこれが「チャンス」だって思って自分を納得させて、そこへ入ってしまう。

中には、コンクリの部屋に椅子があるだけ。
ちょっと廃墟っぽい?

男は実は悪魔で、
彼女に「光には影が必要だ」と言う。

「有名になりたいと言う人は五万といるが、影になりたいと言う人はなかなかいない」


テレビに出ている輝いている人たちが光。
影が必要だからと、男は彼女を選んだ。


彼女が部屋から出ようとしても鍵は開かないし、男は悪魔なので、ドアをすり抜けて消えてしまう。

「出して!」と叫ぶ彼女。
でも出られない。

しばらくしてから、部屋の中に窓があることに気づく。
そこに駆け寄ると、窓の向こうに人の姿が見え、ソファーに座ってこっちをみている。

必死に「助けてください」と訴える彼女。
でもその人は彼女を見て「何これ?へたくそな演技」と笑ってみている。
そこで彼女は気づく。


「あれは私…」


いつかテレビで見た、「助けて」と叫ぶ女性を「へたくそな演技」と観ていた自分に重なったんだろう。
自分がテレビの中にいる(出ている)ことも理解したんだと思う。


というところで、話は終わり。


たぶん彼女は一生そこに閉じ込められてるんじゃないかな。
最初から怖い話だろうと思ってみてたけど、やっぱり怖かった~。



今週もいろいろ考えてしまうお話でした。
全体を通して、役者さんもさすがって感じで、うまく世界観を作ってくれてて、楽しくドラマを観られました!

星新一のドラマはここで終わり。
またやってほしいな~!!
アニメとかでも見たいですね!!


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