飲めよ

水分摂取量が少ないからもっと水分を取りましょう
と言われて母が嘆いてる
みんなどうしてそんなにどんどん水分が取れるのか
と不安がりながら母は繰り返す

彼女はずいぶん前から病んでいる
だけどいくら病んでいても
決して止めない習慣があって
それを見るたび私はただ思う
宗教ってのはすげえな

昔歌っていた歌の一節を思い出す
「渇ける者よ 神の愛知れ 命の水に来たり飲めよ」
思いついて自分で笑ってしまう
命の水の前に普通の水を飲めよ

でも今日も変わらず
命の水だと思って彼女は必死でしがみつき
普通の水は摂取量が少ないままになるんだろう
そして今日もまた私は
自分で思いついた挑発的だけれど
うまいこと言えた気がするこのセリフに笑ってしまうんだろう

飲めよ
命の水は好きになさったらいいけども
医療的見地からして普通の水は飲めよ

命の水の前に普通の水を飲めよ