ちょうど

ほんとは誰かに話したかったんだけど
その情報を伝えてもいいと思う相手が
どうしても思いつかなくて迷っていた
あなたはちょうど大事な仕事の前だし
他の人でも色々考えると言いにくくて

わたしが動いてみた結果が出たときは
あなたにいちばんに報告していいかな
というかたぶんそうなるんだろうけど
事前に言うのはちょっと違うかもって
考えがどうにも頭をよぎっているから

わざわざ近くに来るってことを
言ってくるくらいにはわたしに
親しみとか愛着みたいなものを
持ってくれているんだろうけど
思い返せば人生のあらゆる場面
報告し合うような間柄だったり

会える時間帯なら会いに行って
これからしようとしていること
応援していてと事前に話をして
ついでにお酒が好きなあなたに
早めのバレンタインとか言って
健康的なおつまみでも渡すけど

だけどあなたとわたしは
いつもそんな感じだから
会えないでいることが
会わないでいることが
あなたとわたしの「ちょうど」で

あなたには果たすべき仕事があって
わたしには動いていく一歩があって
そのときが図らずして同じになるのも
そのときにいつもより近くにいるのも

あなたに言うと幸せとか運とかが
逃げそうだしなとか思っちゃって
そんな訳ないのに言わないでいる
わたしのずるさは見せないでいる

あなたとわたしはちょうど
いつもちょうどずれている
動いたかと思えばお互いに
いつもちょうどずれている

だけどひと息ついたら
おめでとうを言うから
お疲れさまを言うから
おめでとうを言ってね
お疲れさまを言ってね