伸ばした手

小学生の頃だったと思う
感受性がつよすぎたのか
想像力が逞しすぎたのか
戦争体験記を聞くと大抵
入り込みすぎて不安定に
悪夢に襲われたりもした

見たことも行ったこともない場所の話を
自分が経験してはいない今や歴史の話を
この季節になると毎年のように聞くけど
未だにほんのちょっとは身構えてしまう

人間は簡単に忘れるから
この時期だけに見えても
思い出すなら意味がある
そのための節目と思って

伸ばした左手は平和を表していると
道徳の本で読んだような記憶がある

今はほんの少し その手を伸ばして