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3月20日にIPCCがAR6を公表した際に直ぐに速報していた環境省地球環境局が、4月にAR6に関する概要報告書を公開しました。

つい2～3日前には日本でも報道されましたが、カナダの山火事が制御不能になっていて夏が終わるまで全国で続くようです。

北京やエジプトで巨大砂嵐が報道されたのも記憶に新しいところですし、毎年のように報道される米国での竜巻被害、世界各国での洪水被害、日本でも100年に一度の激甚災害が続いています。

地球温暖化の影響でこれからますます山林火災を始めとする激甚災害のリスクは高まっていきます。

今回は、そんな未来を考えるAR6の概要報告書を紹介します。

✅IPCCのAR6って何ですか？

IPCC（気候変動に関する政府間パネル）は、国連における世界気象機関（WMO）及び国連環境計画（UNEP）によって1988年に設立された政府間組織です。2023年３月現在、195の国と地域が参加しています。

そのIPCCでは、これまで世界中の研究者の協力の下、出版された文献（科学誌に掲載された論文等）に基づいて、定期的（５～８年ごと）に評価報告書を作成してきました。

その定期評価報告書の第6次にあたるものがAR6です。

上記のとおりAR6は、ワーキンググループ１(WG1）から3（WG3）までの報告書を統合した最終報告書になっています。
じーじは、これまでWG1とWG3に関しても投稿してきましたので、よろしければ読んでみてください。

✅AR6が説明している現状認識と未来予測

１）今の地球温暖化の原因は人間活動で排出しているCO2
人間活動が主に温室効果ガス（以下GHG）の排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことには疑う余地がなく、1850〜1900年を基準とした世界平均気温に対して2011〜2020年の平均気温は既に1.1℃温暖化している。

２）大気、海洋、雪氷圏、及び生物圏に広範かつ急速な変化
人為的な気候変動は、既に世界中の全ての地域において多くの気象と気候の
極端現象に影響を及ぼしている。このことは、自然と人々に対し広範な悪影
響、及び関連する損失と損害をもたらしている。

３）現状の対策では不十分
パリ協定に賛同する各国が2021年10月までに発表した「国が決定する貢献（NDCs）」によって示唆される2030年の世界全体のGHG排出量では、温暖化が21世紀の間に1.5℃を超える可能性が高く、温暖化を2℃より低く抑えることが更に困難になる可能性が高い。

✅現状認識の下での近未来予測

１）2040年には1.5℃上昇に達する
継続的な温室効果ガスの排出は更なる地球温暖化をもたらし、考慮されたシ
ナリオ及びモデル化された経路において最良推定値が2040年（※多くのシナ
リオ及び経路では2030年代前半）までに1.5℃上昇に到達する。

２）このままでは自然災害の激甚化が進む
地球温暖化の進行に伴い、損失と損害は増加し、より多くの人間と自然のシステムが適応の限界に達する。

３）この10年の取り組みが未来を決める
将来変化の一部は不可避かつ/又は不可逆的だが、諦める必要はない。今からでも世界全体の温室効果ガスの大幅で急速かつ持続的な排出削減をすれば気候変動を抑制しうる。
温暖化を1.5℃又は2℃に抑制できるかは、主にCO2排出正味ゼロを達成する時期までの累積炭素排出量と、この10年の温室効果ガス排出削減の水準によって決まる。

４）気候変動への緩和・適応への投資が必要
全ての人々にとって住みやすく持続可能な将来を確保するための機会の窓が急速に閉じている。この10年間に行う選択や実施する対策は、現在から数千年先まで影響を持つ。 気候目標が達成されるためには、適応及び緩和の資金はともに何倍にも増加させる必要があるだろう。

AR6は、結構シビアなことを言っていますよね。

今のままでは（決して各国がさぼっている訳ではなく、日本も2030年までにGHGを2013年比46%削減するとのNDCを国連に届け出ていますし、先進国を中心にどこの国もかなり野心的で実現困難に見える目標を届けているのですがそれでも）、2040年時点でパリ協定の目指す2100年時点での気温上昇（1.5℃未満）に達してしまい2℃以内に抑えるのすら困難になってしまうと書いてあります。

前編はこのあたりにして、後編では、少しポジティブな気持ちになるようなところを見ていきましょう。

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