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【じーじは見た!】 前編:国谷裕子さん ~国谷さんの「クローズアップ現代」は良かったよ~

ジャーナリストの立花隆さんがお亡くなりになりました。ジャーナリズムとは権力の監視が第一義の役割であり、ジャーナリストは権力の監視役でなければならいことを教えてくれた方でした。
そのジャーナリスト魂をフリーのキャスターとして引き継いでいたのがクローズアップ現代の国谷裕子さんではなかったでしょうか?

#国谷裕子

クローズアップ現代のキャスターだった国谷裕子(くにや ひろこ)さんをご存知でしょうか?
立花隆さんの訃報にふれて、何故かクローズアップ現代のキャスターを23年間続けられた国谷さんの著書「キャスターという仕事」を読んでみたくなりました。
彼女は、番組の中でスタジオゲストとの話を始める際に、「何々がご専門でXXのご研究をされている誰それさん、この件はこの後どうなっていくのでしょうか?」といきなり本題に入り、絶対に「よろしくお願いします。」と言わない(時間を無駄に使わない)キャスターとして有名でした。

✅言葉の力

百聞は一見にしかずというように「映像」の持つ力は物凄く大きいと思うのです。その中で「言葉の力」が求められたのがクローズアップ現代という番組でした。

その番組づくりのポリシーとなった米国ジャーナリスト ハルバースタム氏の言葉が最初に書かれていました。

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テレビによってより深く国際社会を理解できるようになるのでしょうか?

複雑な出来事の説明はされているでしょうか?

テレビによって私たちは世界をより深く理解するというよりも、恐怖心をあおられるのでしょうか?

私たちが既に持っている偏見によって違った習慣を持つ人達を見るのではなく、ありのままの姿を見ることはできるのでしょうか、そうでなければ、私たちが持っている偏見を認めることになってしまいます。

視聴者はそれを望んでいます。

既存の偏見を認めることは、偏見を取り除くためにより深く考えるよりもはるかに楽だからです。

しかし私たちのようにジャーナリズムに携わる人間は、テレビをいかに賢く使うかを毎日考えるべきなのです。

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映像の力は、圧倒的で「事実の豊かさを、そぎ落としてしまう」危うさがあることを指摘しています。

例えば、9.11の映像を繰り返し見せることだけでは憎悪と分断を助長するだけで問題の本質「なぜこんなことをされたのか」から目を背けてしまう、だから言葉の力が必要なんだと、是枝監督の言葉👇を紹介していました。

「わかりにくいことを、わかりやすくするのではなく、わかりやすいと思われていることの背景に潜むわかりにくさを描くことの先に知は芽生える」

※この言葉、凄く深いですよね。分かり易いと思うことの背景に潜む分かりにくい事実は、映像では見えてこないので、国谷さんは言葉の力でそれを伝えようとしてきたのです。


✅クローズアップ現代

国谷さんがキャスターを務めたNHK「クローズアップ現代」は23年間の放送の中で、最初の7年間が29分番組、その後は26分番組になりました。

番組構成は、①前説→②VTRリポート1→③ゲストトーク(ゲストとキャスターの対談1)→④VTRリポート2→⑤ゲストトーク(ゲストとキャスターの対談2)で、29分番組だった時は、VTRリポート3があったそうです。

国谷さんが大切にしていたのは、「自分の言葉」で語るということ。

それは、個性の発揮や私見を述べることとは違い、キャスターは素人であってはならない、そのテーマについて完全な素人目線ではなく、専門分野の人が見ても、的確に問題点が押さえられているというプロフェッショナリズムとアマチュアリズムを合わせ持った「自分の言葉」で語ることが必要だったと書かれていました。


✅キャスターの仕事=言葉探し

例えば、「犯罪被害者」という言葉、「ウーマノミクス」という言葉、クローズアップ現代が問題提起したこれらの言葉。

犯罪被害者という社会的な認知は、その後刑事裁判制度の見直しにある程度の貢献を果たしたと書かれていましたし、いまでこそダイバーシティという言葉で女性活躍推進が語られるようになりましたが、それ以前に女性の働き方に注目してきたことの象徴がウーマノミクスという言葉に現れています。

言葉の使い方次第で、民意を誘導してしまいかねないという国谷さんの言葉には重みがあります。

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「なかなか理解が進まない安保法制」という言葉には、(中略)安保法制に反対が多いのは、人々の理解がまだ進んでいないからだ、という暗黙の示唆を潜ませることにならないだろうか。

この言葉は、今は反対が多いが、人々の理解が進めば、いずれ賛成は増える、とのニュアンスをいつの間にか流布させることにつながりかねないのではないだろうか。

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「ねじれ国会」という言葉がメディアで頻繁に使われていた。(中略)「ねじれ」という言葉が、やはりある文脈のなかに置かれれば、この事態がなにか正常ではない事態、是正すべき事態を意味する言葉として流通してしまうということなのだ。

(中略)「ねじれ」状態を解消することが正常化すること、つまり衆議院と同じ政党が多数派になることが「正常」であるとの見方を流通させることにつながったとは言えないのだろうか。

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言葉探しを非常に大切にされてきた国谷さんの気持ちがよく分かる事例だなと思いました。

クローズアップ現代は、国谷さんの強いこだわりから生放送だったそうです。

26分間の真剣勝負、ゲストにも緊張感があったと思いますが、そんな緊張感の中で「よろしくお願いします」という言葉の応酬の数秒すら無駄にしたくないという国谷さん、凄いですよね。

(さていかがでしたか?プロのキャスターとしての矜持を感じたのは私だけでしょうか? さて、つづきは明日の後編で!)

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