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小3の娘にとってのお金

今日は娘の誕生日で、9歳になりました。小学3年生です。

3年生の割には成長が早く、5年生ぐらいの大きさがあります。でも、心は小学3年生。知能や理解のレベルも小学3年生です。

3年生にもなると、だいぶ話が分かるようになって来ますが、大人に片足を突っ込む中学生と、片足を保育園に突っ込んでいる小学1〜2年生の間にいて、ある種類の話ではものすごく理解が出来るのに、ある種類の話では突然幼い反応をしたりします。

娘は小さな時から「モノ」に興味と執着があるらしく、「欲しい」「買いたい」「買って欲しい」という欲求が強いです。

私のウチでは、手伝いをすると、少ないながらもお小遣いがもらえるシステムです。何かが欲しくなると、子供たちが「営業」しに来ます。

ちょっと高い釣り竿が欲しくなった息子は、風呂掃除の営業に来ます。息子の風呂掃除は、歯ブラシまで使って、スミからスミまでやる本格的な掃除です。「業務用」ってレベルです。風呂掃除は単価が高く、500円です。風呂掃除は難易度が高く、まだ娘には出来ないので、息子の既得権益だったりします。

一方で娘は、なぜか「トイレ掃除の利権持ってるのは私」みたいな雰囲気を出しています。でも、トイレ掃除の単価は安く200円なので、娘は「1階と2階のトイレの両方やるから500円ちょうだい」と言ってきます。普通は2つ合わせたら割り引く気がしますが、強気で割高にしてきます。アメ横で冷凍マグロを売ってるおじさんが「もってけドロボー!1本で1000円、2本で3000円、3本で5000円だ!もってけドロボー!」って言ってる感じでしょうか。

息子は釣りが趣味で、タックルベリーという中古の釣具を売っている店によく行くのですが、そこでは50円とか30円で中古のルアーを売っているので、ウチでは人気の無い100円の洗濯物干しでもやりますが、娘は安い案件はあまりやりません。「父ちゃんでさえ安い案件やってるぞ…」と言いたいところなんですけど。

娘は「ブツ欲」がすごくあるのですが、コツコツお金を貯めて買うという意識が無く、一気に大金を手にしたいタイプです。タイプと言うか、この年代の知能ではまだ、ある種の「諦め」から来る「コツコツ」の意識が育っていないのかも知れません。

娘が「トイレ掃除したら200円くれる?」と言ってくるので、私は「いいよ」と返します。でも言ってるだけで、トイレを掃除する気配はありません。そのうちにまた「トイレ掃除したら200円くれる?」と言ってきます。私は「いいよ」と返します。それでもまだ、トイレを掃除する気配はありません。そのうちにまた「トイレ掃除したら200円くれる?」と言ってきます。私は「いいよ」と返しますが、まだまだトイレ掃除は始まりません。

絵本の「おおきなかぶ」みたいな展開ですが、10回目ぐらいの「トイレ掃除したら200円くれる?」で私の態度が変わります。「おい!うるさいよ!トイレ掃除やってから言えよ!やらないくせに欲しい欲しい言ってんじゃないよ!」

すると娘は、ある時はシクシク泣き、ある時は反抗的な態度を取り、ある時は顔を隠して動きを止めます。その態度でさらに私に叱られます。

最初は、子供を温かく見守る姿勢でいたのに、子供の行動によって私の気分がどんどん悪くなって行き、最後には叱ってしまいます。「本当は怒りたくないんだよ。なんで怒らせるような事するんだよ。」みたいな事を、私は言ってしまいます。

「本当は怒りたくないんだよ。なんで怒らせるような事するんだよ。」

「本当は怒りたくないんだけど、お前のために怒ってるんだよ。」

これらのセリフが映画で出てきた時、それはその親をネガティブに描く時に出てくるセリフって事ぐらい知ってます。ダメな親として、間違った子育てをしている親を描く時に言わせるセリフって事も知ってます。不良の親が必ず言うセリフですね。数十年前の映画だったら「そうなのかい!ゴメンよ!おとっつぁん!」となったかも知れませんが、現代の映画ではそうはなりません。

私はそんな事を言っている自分にも幻滅して、イライラします。

娘は今日、トイレ掃除を2つ、バスタブの中だけの掃除、乾燥機にかけた洗濯物たたみ、の4つの手伝いをし、800円稼ぎました。誕生日ということで、通常よりいい単価にしてますが。

そして、そのお金と娘が持っていた200円を足した1000円を持って、ゲームセンターに行きました。どうしてもクレーンゲームをしたいとの事だったんです。私はゲームセンターみたいな場所は本当に嫌いで、出来れば行きたくない場所なんですが、娘の誕生日だし、2人で傘を指して30分ぐらい歩いて行きました。遠かったな〜しかし。

私はクレーンゲームで何も取れない事はわかっていましたが、あえて娘と行きました。そして、ゲームをやる前に、「ひとつも取れなくても泣かないこと」という約束をしました。意気揚々としている娘は「泣くワケない。だって取れるんだから。」という感じです。

ゲームセンターに着くとたくさんのクレーンゲームがあり、一通り見てからやるゲームを決めました。100円を入れて1回やりましたが、案の定取れません。娘が1000円を使ってしまうのに10分もかかりませんでした。

帰り道、目を真っ赤にして鼻をすすってずっと泣いてました。私は泣いていることに気づいてないふりをしてましたが、娘の気持ちが落ち着いてきたところで話しました。

あれだけお手伝いをして稼いだお金を、一瞬で失ってしまったことがどれだけバカバカしいことか。1000円あれば、クレーンゲームなんかやらなくても、そこそこのぬいぐるみが買えること。キラキラした鉛筆が10本買えること。そもそも「バカバカしい」っていう考え方があるということ。そして「父ちゃんはクレーンゲームは二度と行かない。今日はわざと悔し泣きさせるために行っただけだから。」と言いました。

これがまだクレーンゲームだから良いですが、弁当屋のパートでコツコツ働いて稼いだお金を子供に仕送りしたと思ったら、一晩でパチンコですっちゃった、みたいな話は、ものすごい数あるんだと思います。想像しただけで泣けてきますね。号泣しますね。

帰りにスーパーに寄ったら、箱に入ったさくらんぼを買いたいというので、値段を見たら「いやいやいやいや!」という値段でしたが、「お、お、おう!」と言って買ってあげました。誕生日だし。

おい。バースデー特典、使いすぎだろ。

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