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生き物を飼う生活①

私のうちでは常に何かを飼っています。

ずっと飼っているのはカブトムシです。もう8年ぐらい連続で飼っていると思います。一番最初は息子と公園にカブトムシの幼虫を取りに行きました。

今までの知識と経験を駆使し、公園のあらゆる場所を掘りました。いかにも幼虫がいそうな落ち葉が貯まっているところを掘ってもいないのに、駐輪場の脇の小さな場所を掘ったらいたりしました。それを繰り返しているうちに、カブトムシの幼虫がいそうな場所がわかってきました。幼虫がいる場所には幼虫のフンがあるんです。サッと掘ってフンがなければ、どれだけ掘ってもそこにはいません。

ある日「油田」を発見しました。ザクッと手で掘ると2〜3匹出てきます。これはとんでもない事になったと思い、掘る手を止め、家からバケツを持ってきました。なんだかんだでタタミ三畳分ぐらい掘って、100匹ほど取りました。急いでAmazonでコンテナを買いました。100cm×60cm×60cmぐらいのコンテナと幼虫の餌の発酵した木くずを大量に買いました。

幼虫にエサをたくさん食べさせ、冬を越し、6月中旬ぐらいからカブトムシは成虫になって出てきます。成虫になったカブトムシは別のケースに入れ、しばらく飼ったら順番に野に放ちます。夜中にブンブンうるさい時は、ケースのフタを開けっ放しにします。あとは、まとめて公園に行って逃します。

それの何が面白いのか?

8月から11月にかけての幼虫が面白いんです。しっかりとエサを食べさせると大きくなるんです。冬の前に大きくすると、出てくるカブトムシも大きくなります。小さいまま冬を越した幼虫は、春になってからもエサを食べるとは言え、最終的にも大きくなりません。

それの何が面白いのか?

正直、自分でもわかりません。毎年毎年続けてるんですけど、何なんでしょうね?今となっては息子も大きくなり、この「家業」を継いで、一人でたくさんの幼虫を捕まえてくる様になりましたが。

毎年と言えば、毎年うちの庭にあるサンショウの木に、クロアゲハが卵を生みます。たまたまクロアゲハが来たんじゃなく、クロアゲハがやってくるようにサンショウの木を買いました。

一番最初の年に事件が起きました。

予想通りクロアゲハがやってきて卵を生み、それが幼虫になりました。もうすぐサナギになると思い、幼虫を飼育ケースに移しました。幼虫はすぐに飼育ケースの壁でサナギになりました。これで羽化の様子が見れるなと安心していたところ、数日後、サナギが爆発していたんです。数日前までモニョモニョと可愛らしく動いていた幼虫が、サナギになった途端、爆発したんです。

私もサナギの爆発は初めて目の当たりにしましたが、その飼育ケースの中には数匹のウジ虫がうごめいていました。調べてみると、アゲハの幼虫に寄生するヤドリバエというハエの仕業だとわかりました。

それ以来、幼虫を飼育ケースに移すのはやめ、すべて自然に任せることにしています。家の中に置いた飼育ケースの中で、サナギが爆発してウジ虫が出てくるというのは、毎年見たいものでもありませんので。

高さ1メートルぐらいの1本のサンショウの木で、1年で30匹ぐらいの幼虫が巣立っていく感じです。秋が近くなる頃には、ほとんど全ての葉っぱが食べつくされ、また翌年の春にものすごい勢いで葉っぱが出てきます。

アカハライモリは飼って5〜6年になります。最初にアカハライモリを捕まえたのは、妻の実家のある兵庫県でした。山奥の渓流に行った時、たくさんのアカハライモリがいました。どうしても息子が東京に持って帰って飼いたいと言うので、大きな瓶に5匹だけ入れて持って帰りました。

アカハライモリはエサをしっかり食べるのでとても元気でしたが、春になっても繁殖行動をしませんでした。一匹ずつの個体を見ていくと、全部メスだという事がわかりました。

アカハライモリは熱帯魚ショップなんかに行けば売っているので、オスを飼ってくれば簡単に繁殖出来たのですが、私と息子が気にしていたのは、別の地域のDNAを掛け合わせることでした。

外来種というと日本の外から来た生物として知られていますが、「国内外来種」という言葉もあるように、生物にとっては人間が決めた国境は関係ないんです。生物の多様性を守るというのは、ただ種のバリエーションとしての多様性が保たれればいいのではなくて、その地域に昔から住んでいた生物を、その環境とともに守るという事です。

そんな事もあり繁殖は諦めていたのですが、それから3年ぐらいした夏に、私以外の家族が兵庫県の妻の実家に帰ることになりました。息子から「前と同じ場所にアカハライモリのオスがいる」という速報が入り、1匹だけ持って帰ってくるように司令を出しました。

そして、冬を越した春、アカハライモリが繁殖行動をし無事産卵しました。卵が食べられないようにケースを移し、孵化させました。5mmぐらいの幼生が出てきました。

私はエサのミジンコを500匹買い、爆発的に増えるように飼育しました。イースト菌やほうれん草パウダーを与えることで、本当に爆発的に増えました。それらのミジンコをせっせとアカハライモリの幼生に与えました。

と同時に、その年の夏、東京で過ごした6匹を、元々いた兵庫県の川に返すことが出来ました。

ミジンコを食べて2cmぐらいになってからが大変なんです。ミジンコはよく動くので幼生の目にも止まり、本能からパクパク食べてくれるんです。1日に100匹ぐらいのミジンコを食べていたと思います。でも、2cmぐらいになると、それに相応しい大きさの活きたエサの確保が出来ないんです。

2mmぐらいのミミズとか、アカムシとか、ダンゴムシとかを与えると食べるのですが、それを確保するのが本当に大変でした。仕方がないので、乾燥アカムシをピンセットで掴んで、目の前で揺らすことで食べさせるんです。これが本当に大変でした。毎日毎日せっせとやって3.5cmぐらいになったところで、息子とエサやりを交代しました。

息子も毎日毎日、面倒くさいエサやりをやっていました。よくもまあ毎日毎日やるなあと感心すらしました。その甲斐もありどんどん大きくなりました。今では7cmぐらいまで大きくなり、乾燥イトミミズの塊や、金魚のエサを入れておくと、勝手に食べるようになりました。

やっと親離れしたな、と思いました。

生き物の話は尽きません。

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