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水の中。 19 を振り返る。

先日、シャワークライミングへ連れて行ってもらった。
まるで「もののけ姫」のような場所で。
目の前に広がる偉大な自然に感動しっぱなしだった。

たぶん始終ポカーンと口が開いていた。

初めて 3m くらいの高さから水に飛び込んだ。
水がとても澄んでいるので、底が見える。
底が見えるし、立っているので視点は 4.5m くらいだし。
踏み切るまでに 5 分くらい足踏みしていたと思う。

一度飛んでしまえば慣れてしまい。
ばしゃばしゃと水と戯れた。

水中に入ると、上から見えていた水底はとても深く。
水の透明度に驚く。

最近の自然災害のこともあり。
自然って癒しでもあり、同時に脅威でもある。
と、肌で感じた。

* * *

19 才のとき、写真をするために上京した。

作品らしい作品をつくったのは上京して半年のとき。
タイトルは『 Smooth Water. 』
運よく、Canon のプリンターで 3 冊だけ写真集にしていただいた。

根っからの田舎っぺだった私。
鳥取にいる時から、友だちと町へ行くより
一人、芝生の上で寝転がっている方がすきだった。

自然はいろんな事を受け止めてくれる。
Yes も No もなく。ただそこにいる。
それがすごく心地よかった。
大きな空をみているだけで、
自分はまだまだだ、と思えた。

まだ腐るにも至っていない。
何もない。
それが原動力になっていた。

そんな田舎っぺが上京してはじめに感じた違和感は
自然がないこと、だった。

街の中に水の気配を求めて
写して回ったのが『 Smooth Water. 』だった。

これには『Still waters run deep. 』という
副題をつけていた。

直訳すると、

Smooth Water ▶︎ 波立っていない、静かな水面
Still waters run deep. ▶︎ 静かに流れる川は深い

穏やかに見えている日常、人にも
見えない部分に熱いものがある。
と、当時感じていた。

水の気配と、熱の気配と
そういうものをカメラを使ってどうにかしようとしていた時期。
そうして社会との接点をなんとか持っていた時期。

自分のためだけにシャッターをきっていた。

自分のためだけ、とか
誰かのためだけ、とか
そういう写真は、やっぱりいいなと思う。

* * *

hiragi ayako
twitter : @____hrg


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