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可愛くなったおじいさん。 息子の嫁、じいのために男風呂に!

すみません!大げさな題名で!
本当は、男風呂の脱衣場です!

ある年の春。
主人の姉夫婦や、その娘家族、友人家族などと一緒に花見に出かけた。
温泉施設の近くの桜の樹の下で温泉に入ったあと、花見をするというもの。
みんな先ず温泉に入って、宴会の場所にいそいそと移動していった。

私もお風呂に入ったあと一人で、おじいさんがお風呂から出てくるのを待っていた。
そこへ、この人のご家族の方はいらっしゃいませんか?の言葉に目をやると、腰にタオルを巻いたおじいさんの姿が。
どうかしましたか?と尋ねると、自分の服が分からなくて、よそ様のパンツを履いてしまったとのこと。

ハァーッ?そんなこと!!
施設の人が、着替を手伝って下さいとおっしゃっるが、私しかいない。
主人を呼びに行くには時間がかかかり過ぎる。
私、女ですけど入っても良いんですか?尋ねると、
温泉施設の人が、着替えている人達に、すみませんが!と説明して下さって、男風呂の脱衣場に連れられて入っていった。
もちろん、ただ、おじいさんしか見てなかったけど、とは言うものの、チラッとは見えてしまって、だからなお一層、 心臓はバクバク、頭の中はカーッと熱く汗ダラダラ!!
こんな時、年令は関係なく焦るもんなんだなと、頭の片隅でもう一人の自分が思っていた。

皆さん親切で、気にしなくて良いからね、ゆっくりでいいからね、と優しい言葉をかけて下さったのが、思いがけなくて嬉しかった。

それにしても、つい最近までは温泉に来ても、ちゃんと自分の服が分かって、着ることができていたのに、突然できなくなってしまったことにショックを受けた。
おじいさんは、ニコニコしているだけで、この状況は全く分かってない!
これを着るだか? (これを着るのか?) と言いながらも着る気はなくて、全部着せてあげないと進んでいかない。

こうして、1つずつできないことが増えていく、そのできないことが起こる間隔が短くなっていく。

おばあさんのお世話でだいぶ認知症に慣れては来ていたものの、少しずつ、少しずつ変わっていくおじいさんを見るたびに、私の仕事が増えていく、自分の時間が削られていく、いつまで続くのだろう、そんなことが頭をよぎり、気が重くなっていた…。
不思議なことに、おじいさんの認知が進んでいくほど、私も根性がすわってきたのも確かなのだけど、
この頃は、まだ、私も最後のあがきをしていたようだ。

おじいさんと、宴もたけなわのみんなの待つ場所へ行き、食べて、喋って、運転して家に帰ったけど、
その夜、家で飲んで、愚痴って、主人にクダをまいた!ような気がする🤭
主人にどれだけ訴えてもなんともしようがないのは充分、分かっている!だけど、言わなければ溜まっていくばかり。
主人も大変だったろうけどね。

私がまだ覚悟しきらず、悶えていた最後の頃の思い出でした。





 



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