見出し画像

心の奥底で、私はテッチャンを責めていた

[やれば、変わる。変われば、わかる⑥]
※この連載は、無料アプリ「題目PRO」内にて無料連載しているため、noteでも無料記事としています。

<前回までのあらすじ>
テッチャンは、やることやらずに愚痴ばかり言っている自分に気づいた。
「俺は変わる! 信心で突破口を開く!」
テッチャンの嫁さんは、信心したらカネが入ってくるのかと問い詰めた。
「俺には信心する時間はない! やっぱやめる!」
テッチャンはお世話になっている婦人に「嫁さんとちゃんと話し合うように」言われた。
男だから、こらえた。でもぶっちゃけた話、こたえた。そしていつもの通りテッチャンの連絡は途絶えた。

〈本編〉
婦人の気持ちは痛いほど分かります。
忙しい中、テッチャンのことを気にかけ、(私を折伏に参加させることも含めて)物心両面でサポートしてきました。そして何より、毎日祈り続けてきたのです。

私が初めてテッチャンと会った日、本幹を見て、彼は入信を希望しました。
その翌日には勤行も一緒にやり、奥さんの了承も得て、入会の日まで決めていました。
信心をすると決めたテッチャンの目は決意に燃え、かんばせは希望に照らされたように輝いていました。
あの日の熱意はどこへ行ってしまったのでしょうか。
私自身、対話しては決意し、ダレては連絡が途絶え、気になって会いに行けば怠けて事態を悪化させているテッチャンに辟易とする気持ちもあります。
「今度こそは」……何度そう思ったことか。
「鎌倉より京へは十二日の道なり、それを十一日余り歩をはこびて今一日に成りて歩をさしをきては何として都の月をば詠め候べき」(一四四〇頁)
「 須く心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱へ他をも勧んのみこそ今生人界の思出なるべき」(四六七頁)
「身子が六十劫の菩薩の行を退せし乞眼(こつげん)の婆羅門(ばらもん)の責を堪えざるゆへ」(二三二頁)
くじけないために御書を幾つも引きました。
しかし、「腹が立つ」んです!

いつしか腹を立てるのにも疲れ、これは暫く置いておくしかない、自分から「やりたい」と思えるようになるまで、待つことにしよう。
そう思いながら、お題目をあげていました。
お題目をあげるといつも考えが、自分の深い深いところへと沈下していきます。これが祈りが深まるということなのかもしれません。
祈りながら思い返します。テッチャンと対話するとき、自分はいつも何を考えていただろう。
「なぜ、この人は分からないんだ」
「婦人に対して恩を返そうと思わないのか」
「やらなきゃ分からないということが分かっているのに、なぜ素直に一歩を踏み出さないのか」
私は、いつも心の奥では彼のことを責めていたのです。

拙著「歓喜を取り戻す創価学会論 ストレイト・アウタ・学会員」では、歓喜のある広宣流布が大切だと言っているくせに、彼の態度に気持ちを左右され歓喜を味わうどころか一喜一憂していたのです。
自分なら、こんな信心をしたいとは思わない。テッチャンが一歩踏み出せないのは、私のこの生命をどこかで感じているからかもしれない。
いや、テッチャンは私にこれを気付かせるために遣わされた諸天善神なのだ。だからお題目をあげるほど、テッチャンは同じことを繰り返していたのだ。
そうか、同じことを繰り返していたのは私だった。私の傲慢さ、愚痴の多さを気付かせるため、テッチャンの仏性は同じことを繰り返しながら私を諭していたのだ。

そう気付くと、心は晴れ渡り、テッチャンへの感謝と信心の歓喜で満たされ、使命感にあふれかえりました。
もう一度、自分の広宣流布の原点に還ろう。
私の広宣流布は「勤行とお題目を弘めること」です。
勤行・唱題に力があるからこそ、それを弘める折伏に福運がつくのです。
テッチャンに、正しいことを上から目線で言うのはやめて、ただひたすら信心の歓喜を感じてもらいまくろう。
決まっていたと思い込んでいた肚が、今度こそ決まりました。
「もう一度、テッチャンの勤行指導からやり直そう」

婦人にお願いに行きました。
「お宅をお借りして、テッチャンに勤行指導をさせてください。『勤行・唱題すれば人生が拓ける』という喜びと確信を、もう一度体験させてあげたいんです」
「ありがとう。よろしくお願いします」
婦人は二つ返事で了承。
テッチャンに電話して「入会のことは一度わきに置いて、勤行を一緒にしないか」と伝えると、彼は驚くほど明るい声で答えました。
「えっ! いいんですか! お願いします!」
こうしてテッチャンとの勤行指導が再び始まりました。
この日からテッチャンは、目覚ましい変化を遂げていくことになります。

〈つづく〉

※これより先↓に文章はありません。つづきは、次の記事をごらんください^^
noteの設定上、有料マガジンに無料記事を載せるために、架空の有料範囲をつくっています。


ここから先は

0字
学会活動について思うところがある人のために書く。 学会員が言葉にしにくいことを、筆者自身、悩みながら整理して書く。学会員でない人が学会を理解するのにも役立つかも。 今までは楽しかったのに、なぜかモヤモヤする。これからの学会活動は、どうあるべきなのか。何をどう考えれば良いのか。 いずれ出版する内容を、先に安く読めるのがこのマガジン。これから2冊目の内容に突入。記事がたまって来たら値上がりするので、早めの購入がお得。

学会活動が、おもんなくなった(異和を感じた)人が、学会活動をおもろくしていくための本。有料だけど、無料部分だけ読んでも学会員には有益と自負…

なにぶん、いい加減なことは書けないテーマゆえ、記事を書くための取材、調査、また構想から執筆、編集までかなりお金と時間と労力をかけております。 サポート、記事、マガジンの購入は本当に助かります。いただいたお志で、更に精度の高い文体を提供できます。本当にありがとうございます。