2-8 学会員よ、自由になぁれ

チェ 今後の学会の命運を分けるのは、まぎれもなく会員ひとり一人が、師匠の指導に立ち還られるかどうかです。
 私が在学中に創価大学で学長をされていた高村忠成先生の回顧録〈私が感動した池田哲学〉に、次のような池田先生と草創の女子学生との対話があります。
「一人の女子学生が、『池田先生。私は将来、ずっと池田先生のそばにいて池田先生のお仕事を手伝う仕事をしたいと思います』と言ったんです。すると先生は、にっこりと笑って、彼女の顔を見て、『嬉しいね。その気持ちは忘れないよ。でも全ての人が僕の周りで働くわけにはいかないんだ。そうではなくて、僕の心をもって、それぞれの地において、それぞれの立場で、各人の職場で、将来頑張ってもらいたいんだ。出でよ、〈十万の池田大作〉だよ。』 と言われたのです」
 弟子のひとり一人が、師匠の心を汲んで自分の立場で広宣流布を進める時代になる。これが我々の師匠の構想です。会員各自がこれを真剣に受けとめられたならば、学会組織の構造が変われなくても、広宣流布員(地涌の菩薩)によって、広宣流布は進んでいきます。学会員が〈自分の広宣流布〉に目覚めればいいんです。それを学会がリードしつづけられるかは、構造の変革にかかっていますが。

博士 学会の成長期が終わった第二の要件は〈職員の官僚化・本部執行部の密室化〉でしたね。

チェ 学会の出納管理や人事は、現在までブラックボックスとなっています。これは「余計な勘ぐりの発生と怨嫉(おんしつ)を防ぐため」が大きな理由ですが、それで学会員が納得してきたのは、ひとえに池田先生への信頼があってのことです。
 池田先生後の時代は、任意団体であるSGIへ移管した財産も含めて出納を可視化することが倫理上、求められるでしょう。また執行部や役員人事も、選挙制にする等、会員が理解しやすく公正なシステムにするべきです。

博士 至極まっとうな話ですね。

チェ しかしこれが実現されなくとも、学会が変われなくとも、会員が変われば問題はありません。
 コロナ禍によって期せずしてオンライン化が進みました。これによって、会員がリーダーを選ぶ時代に突入したのです。
 座談会や協議会などがオンラインで行われている現在、遠く離れた組織の会合へ(誘ってもらえればですが)、誰でも参加できるようになりました。学会の組織は、もともと〈タテ線〉と呼ばれるものでした。新入会者は、折伏の親となる紹介者の組織に所属し、どんなに距離が離れていても、紹介者が相談や指導などの面倒をみる仕組みです。遠く離れていると会合にも出づらく、地域密着の選挙戦もやりにくいので、現在のブロック制が敷かれたのです。

博士 しかしオンラインがスタンダードになれば、紹介者の地域の会合に出られるし、ネット選挙が解禁されたのでSNSによるビデオ通話などで効率良く戸別訪問ができてしまいますね。

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