見出し画像

ふるさと納税の計算方法「へぇ~?!」

 「ふるさと納税」。自治体によって魅力的な返礼品もあり、皆さんの関心も高いのではないでしょうか。でも、ふるさと納税の計算方法(控除限度額?)について、いろいろ調べても、なかなか分かった気になれない・・・。
 そこで紐解いて行こうという事です。宜しければ、先日会社から配布されたであろう、ご自身の「源泉徴収票」もご準備の上、読み進めて頂ければ嬉しいです。

1.そもそも「ふるさと納税」って?

 「ふるさと納税」は、2008年度税制改正により導入された、寄附金控除制度です。「納税」という言葉が使われていますが、実体は「寄附」なんですね。あとで説明しますが、この寄附金の制度自体、なかなか馴染みが無く、税金計算もイメージ付きにくくなっているのではと考えています。ちなみに、総務省自治税務局市町村税課の「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和2年度実施)」によると、導入当初の2009年度には控除適用者数が約3.3万人でしたが、2020年度には約406万人と増えてきていることからも、人々の関心が高まっているのが読み取れます。
 で、「ふるさと納税」という名の寄附金控除制度について、ふるさと納税サイト「ふるなび」(furunavi.jp)にて、下図①があります。ざっくりとした説明になりますが、この「控除額」分、税金が安くなる(戻ってくる)という事です。
 例えば、ある自治体に30,000円分、ふるさと納税で寄附をして返礼品をもらったケースで考えますと、2,000円を除いた28,000円が寄附金控除額として、税金が安くなります。つまり、2,000円の自己負担額で返礼品を受け取ることが出来ます。あと忘れてはいけないのが、ふるさと納税の制度趣旨。応援したい自治体の財源になる訳ですね。

図①:ふるさと納税 控除限度額の計算方法(『ふるさと納税ガイド』より引用)

2.実際に手続き・・・確定申告の必要はあるの?

 「ワンストップ特例制度」という制度があり、下図②に該当する方は、ふるさと納税の確定申告が不要になります。あと、ふるさと納税サイト「ふるなび」 (furunavi.jp)で、受付期日を始め詳細な手順が記載されていますので、コチラをご参照ください。

図②:ふるさと納税の流れ(『ふるなび』より引用)

3.まず所得税法の寄附金控除を理解しよう!

 冒頭で準備して頂いた「源泉徴収票」。サラリーマンの皆さんが毎年もらっているにもかかわらず、中身の数値の意味が良く分からず、でも大切そうなので捨てるに捨てれず・・・の紙です。この源泉徴収の実務は、「①源泉徴収」「②年末調整」「③確定申告」の区分がポイントだったりします。

図③:源泉徴収の実務は「①源泉徴収」「②年末調整」「③確定申告」の区分がポイントです。

 そして確定申告への道は、「所得控除」の理解から始まります。生活面での個人的事情を考慮するために全15種類認められており、「人的控除」と「物的控除」の2つに大別することができます。

所得控除(全15種類)=人的控除(全8種類)+物的控除(全7種類)

 「物的控除」ですが、下図④の通り、通常サラリーマンの皆さんは必要書類を会社人事部門に提出し、会社側で所得税の納税手続きが完了することになりますが、「雑損控除」「医療費控除」「寄附金控除」の3つは年末調整で処理できず、確定申告が必要になります。

図④:物的控除(7種類)の一覧と「雑損控除」「医療費控除」「寄附金控除」。

 ふるさと納税の仕組みは、上図④の「寄附金控除」と関係してきます。

4.ふるさと納税は、計算結果を入手するのは易いが、計算方法を知るのは難しい・・・

 次に、計算方法(寄附金の限度額)について見ていきましょう。ふるさと納税サイト「ふるなび」 (furunavi.jp)でも計算シミュレーション機能があるので、計算結果だけを確認することが出来ます。下図⑤の源泉徴収票の“❶支払金額”を中心に入力すれば、いくらまでふるさと納税出来るか、シミュレーションしてくれます。・・・でも、note読者の皆さんは、せっかくなので計算方法までイメージ出来るようになりたいですよね?

図⑤:源泉徴収票から「いくらまでふるさと納税出来るか」シミュレーションしてみましょう。

 計算方法(寄附金の限度額)は下図⑥の計算式に基づきます。意外とシンプルな印象ですが、ご自身の情報をあてはめるなら話は別。お手持ちの源泉徴収票から、寄附金の限度額=控除限度額を算出するのは至難の業です。これから、この計算式を一緒に紐解いて行きましょう。

図⑥:ふるさと納税 控除限度額の計算方法(『ふるさと納税ガイド』より引用)

 ところで、上図⑥の計算。ネックになるのが個人住民税の規定所得税の知識だけでは不十分になります。詳しくは、次節でお手持ちの源泉徴収票をあてはめながら、じっくり解説していきます。

図⑦:ネックになるのが個人住民税の規定。所得税の知識だけでは不十分になります。

5.複雑な計算をシンプルに・・・寄附金の限度額はいくら?

 最後にお手持ちの源泉徴収票から、寄附金の限度額を、目安金額になりますが算出してみましょう。まず、❷給与所得控除後の金額から❸所得控除後の合計額を差し引いて(❷-❸)、「課税総所得金額」と呼ばれる金額を算出します。

図⑧:お手持ちの源泉徴収票でシミュレーションしてみましょう。

 先ほど出てきましたイラスト図⑦の式。「ふるさと納税の控除上限額の計算」を一覧化したのが下図⑨になります。先ほどの源泉徴収票から算出された“課税総所得金額(❷-❸)”をあてはめると、目安ではありますが、寄附金限度額が求まる訳です。

図⑨:ふるさと納税の控除上限額を一覧化しました。

 では、どのように一覧化したか、計算過程を確認してみましょう。上図⑨のサンプルAとサンプルBを用いると下図⑩の通りになります。最後に算出された寄附金限度額の千円単位未満を切り捨てた数値が、上図⑨一覧の数値になります。

(※計算式確認のため、図⑦の再掲になります。)
図⑩:上図⑨のサンプルAとサンプルBの計算式の根拠になります。

 如何だったでしょうか?2020年度には約406万人と多くの人が利用している、ふるさと納税ですが、実際に税金計算してみると難しい印象ではないかと思います。なんとなく、「2,000円で返礼品がもらえる制度」で、まかり通っている制度だと思いますが、実は所得制限があるんですね
 今は便利な会計ソフトも多数出てきていますので、計算結果自体は比較的容易に入手できると思います。しかし、計算プロセスが分かっていないと、この会計ソフト自体が誤っているか(もしくは旧制度のままで間違っているか)検証できない・・・。このnote記事を通じて、何らかの気付きになれば嬉しいです。

 表紙の写真は、イナガキヤストさんよりお借りしました。ふるさと富山の立山連峰、雨晴海岸、そして氷見線です。30年前になりますが、高校時代は通学に、氷見線を利用していました。

図⑪:ふるさと富山の立山連峰、雨晴海岸、そして氷見線です。(イナガキヤストさん撮影)

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?